32:当たった!!
6月18日の朝。天気は晴れ。
「お。このアジサイ、ハートっぽい」
登校中、私は通りかかった小さな公園の前で足を止めた。
ハートみたいな形をした青紫色のアジサイにスマホのカメラを向けて、パシャリ!
「よし。今日の『カワラブ同盟』の写真はこれにしようっと」
満足した私はスマホをカバンに入れて、歩き出した。
もうすぐ学校に着くというところで、後ろから声をかけられた。
「花崎さん。おはよう」
振り返ると、雪村くんが立っていた。
「おはよう、雪村くん」
「今日は早いね」
「なんか、目が覚めたんだよね。アラームが鳴る前に起きたのって、久しぶり」
会話しながら、私たちは一緒に昇降口へ向かった。
「そういえば、まほアクのキャンペーンから一週間が経つけど。連絡はないの?」
上履きに履き替えて、雪村くんが言った。
「うん。なんにも……」
私は、しゅん、とうなだれた。
当選したらダイレクトメールでお知らせします、って書いてあったのに。
私のツブヤイターのアカウントには、なんの連絡も届いてない。
「やっぱり、外れちゃったのかな。抽選だから、仕方ないのかもしれないけど。せっかく頑張ったのに、残念だよね……」
「うん。でも」
靴箱のふたを閉めて、雪村くんはやわらかく微笑んだ。
「毎朝ジョギングしたこと。ジョギング中に、花崎さんと花崎さんのお姉さんに会ったこと。北園さんと花崎さんと、三人でビデオ通話しながら練習したこと。自分で作った衣装を着て、花崎さんと一緒に踊ったこと。きっと、ずっと忘れないと思う」
雪村くんの微笑みは、私の胸を強く打った。
「……うん。そうだね。私もきっと……ううん。絶対絶対、忘れないよ!」
だって、雪村くんと一緒に踊った思い出は、キラキラ輝く宝物だもん!
――なんて、恥ずかしいから、言わないけどね!
昼休み。
お弁当を食べたあと、芽衣ちゃんはスマホをいじり始めた。
会話がなくなるとスマホをいじり始めるのは、多分みんな一緒だよね。
私もスマホを手に取って、そのまま、固まった。
『ダイレクトメールが届いています』って、ツブヤイターの通知が来てる!!
「えっ、えっ、嘘っ、ほんとに!?」
私は大慌てでツブヤイターを開いた。
『このたびは、『魔法少女キューティーアクアのオープニング曲を踊ろう』キャンペーンにご応募いただき、誠にありがとうございました。
厳正な抽選の結果、あなた様がご当選されましたので、ご連絡いたします。
オリジナルアクリルキーホルダーをお送りいたしますので、以下のURLをタップして――』
目をこすってみたけど、スマホの画面は変わらない。
……夢じゃない。
これ、ほんとに届いてる!
「………っ!!」
叫びたいのに、驚きすぎて、言葉が出てこない。
アクキー、当たった!!
当たったぁーーー!!




