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そのままのキミが好き!  作者: 星名柚花


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30/32

30:放課後の決戦

 放課後になってツブヤイターをチェックすると、ダンス動画は900リツイートされていた。

 もしかしたら、まだ伸びるかも?

 どこまで行くかな?


 なんだか、打ちあがった花火を見てるみたいで、ワクワクしちゃう。

 私の投稿がバズるなんて、夢みたい!


 何より、それが雪村くんと一緒に踊った動画だっていうのが、最高っ!!


 机の中身をカバンにうつしながら、私は笑っていた。

 一人でニヤニヤしてたら変だってわかってるんだけど、どうしても頬がゆるんじゃう!


「上機嫌だね」

「わあっ!?」

 耳の横でいきなり芽衣ちゃんの声が聞こえて、私はビクッと震えた。


「あっはっは。驚いた」

 慌てて振り返ると、カバンを持った芽衣ちゃんが笑ってた。

 私を驚かせるために、足音を立てずに近づいてきたみたい。


「もうっ。ビックリしたじゃん!」

「ごめんごめん。日和がニヤニヤしてるから、つい、からかいたくなっちゃって。ま、バズって嬉しいのは当たり前か。あたしだって、900リツイートとかされたら喜んじゃうだろうし。それが頑張った結果なら、なおさら嬉しいよねー」

「うん」

 リツイートとか、いいね! をもらえるたびに、よく頑張ったねって言われてるみたいで、すごく嬉しい。


「芽衣ちゃんは、いまから部活?」

「そう。日和も自習室に行くんでしょ? 途中まで一緒に行こうよ」

「うん」

 私はカバンを持って立ち上がり、芽衣ちゃんと廊下に出た。

 そのまま左に曲がろうとして――なにかが、気になった。


 ――いったい、なにが気になったんだろう?


 私は足を止めて、右手を見た。

 放課後の廊下には、たくさんの生徒がいる。

 歩いている生徒、壁に寄りかかって友達とおしゃべりしている生徒。


 その中に、別クラスの男子生徒に話しかけられている雪村くんがいた。

 位置的に、トイレから教室に戻ろうとしたところをつかまった、って感じだ。


 ただ友達とお喋りしているだけにしては、様子がおかしい。

 雪村くんの顔が、こわばってる。

 まるで、おびえてるみたいに。


 ――雪村くんのピンチだ。

 私は直感的に、そう思った。


「日和? どうしたの?」

 後ろから、芽衣ちゃんの声がする。


「ごめん芽衣ちゃん、先に行っ……」

 言いかけて、私は続きの言葉をのみ込んだ。


 いや、違う。

 自分一人で行くより、味方がいたほうが良いに決まってる。


 困ったときは助けるって、芽衣ちゃんはそう言ってくれたんだ。

 だったら、大事な友達がピンチのいまこそ、頼るべきでしょ!!


「雪村くんがピンチっぽい! ついてきて!!」

「えっ、大変じゃん。もちろん行くよ!」

 私は芽衣ちゃんと一緒に、急いで雪村くんの元に走った。


「雪村くん。顔色が悪いけど、だいじょうぶ?」

 声をかけると、雪村くんと向かい合って立っていた男子生徒がこっちを見た。


「なに? だれ?」

 男子生徒は不機嫌そうに、にらみつけてきた。


 う……なんか、この人、怖い。

 でも、負けちゃダメだ!


「雪村くんのクラスメイトです。雪村くんの顔色が悪いように見えたから、気になって……」

「あ! もしかして、お前、動画で雪村と一緒に踊ってたやつじゃね? だっせえコスプレしてさ」

「!!」

 言い当てられて、私はビックリした。

 私の表情で正解だと悟ったらしく、男子生徒は馬鹿にしきった顔で笑った。


「やっぱり! なんなのお前ら! 中学生にもなって、子ども向けアニメのコスプレとか、ありえねーんだけど!」

「ありえないのは、あんたのその態度でしょ」

 芽衣ちゃんは私を守るように前に出て、ズバッと言った。


「さっきからずいぶんエラそーだけど、あんた、だれ? 国王様かなにか?」


「はあ? なんだお前――」

「まあ、だれか知らなくても、想像するのは簡単よね」

 芽衣ちゃんは聞く耳を持たず、肩をすくめた。


「雪村くんの知り合い、そうね、前の学校のクラスメイトってとこじゃない? それも、やたらむだに絡んでくる、すっごく嫌なクラスメイト」

 芽衣ちゃんが顔を向けると、雪村くんは小さくうなずいた。

 青い顔はそのままだ。

 でも、反応する元気は出てきたみたいで、ちょっと安心した。


「やっぱり。あんたはバズった動画を見て、踊ってるのは雪村くんだと思ったわけね。雪村くんがダンスの練習をしてたって、だれかに聞いた? それとも、直接本人に確認したの? まあ、どうやって特定したかなんてどうでもいいわ。あんたはいま、雪村くんを困らせてる。それだけで、あたしが怒るにはじゅうぶんよ」

 全身から怒気を発しながら、芽衣ちゃんは右手を腰に当てた。


「まほアクコスプレがありえない? あんたそれ、全国のコスプレイヤーさんの前でも言える? 絶対言えないでしょ。あんたみたいなタイプは相手を選ぶ。自分が一番可愛いから、勝てないケンカは絶対しない。あたしみたいにハッキリ自分の意見を言う相手は苦手だって、わかってるんだから」

 芽衣ちゃんはするどい目で男子生徒をにらみつけた。


「好きなキャラの真似をして、なにが悪いのよ。雪村くんがコスプレをすることで、あんたになにか迷惑をかけたの? だとしたら、どうやって? どんなふうに? ほら、黙ってないで、言ってみなさいよ。あんたの口はかざりなの?」

「………っ」

 男子生徒は両手を握って、悔しそうな顔をしている。

 言い返したくても、何も言えないんだろうな。


 だって、芽衣ちゃんの言葉は正しいもん。

 私たちは、だれにも迷惑なんてかけてない!

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