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そのままのキミが好き!  作者: 星名柚花


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29/32

29:私たち、バズりました

 次の日の昼休み。

 私は自分の席でスマホをいじっていた。

 私の周りには雪村くんたちが立っている。


「ついに投稿かあ。なんか、ドキドキするね」

 横から私のスマホ画面をのぞき込んで言ったのは、美弦ちゃん。

 美弦ちゃんは今朝、私たちのダンス動画を送ってくれた。

 きっと昨日の夜は、頑張って動画編集してくれたんだろうな。


 美弦ちゃんには最後までお世話になりっぱなしだ。

 今度、なにかちゃんとお礼をしようって、雪村くんと相談中なんだ。


「あんなに頑張ったんだから、バズるといいな」

「うん。バズったら、当たる確率も上がるかもしれない」

 久城くんの言葉に、雪村くんは真剣な顔でうなずいた。


「昨日は踊ったあと、花崎さんと神社に行って、当たるようにお祈りした」

「そこまでやる!?」

「どんだけほしいの!?」

 久城くんと一緒に、芽衣ちゃんがツッコんだ。


「できることはしておきたかったんだもん。後悔しないように」

 やりとりを聞いていた私は、スマホに文字を打ち込みながら言った。


「ふふ。本当に、当たるといいですね。私もお祈りしておきます」

 聖華ちゃんは口元に手をやって、穏やかに笑った。


「ありがとう、聖華ちゃん」

 お礼を言いながら、私は文字を打ち込み続けた。


『友達と踊ってみた!

 アクキーが当たりますように~!!(*>人<)


 #踊ってみた

 #マジカル☆レボリューション

 #まほアクコスプレ

 #マジ☆レボで踊ろうキャンペーン』


 キャンペーン応募用のタグもしっかりつけてから、私はダンス動画を貼りつけた。

 動画の中で踊る私たちの目には、個人が特定されないように、カラフルなサングラスがかかっている。

 このサングラスは、美弦ちゃんが動画編集で付け足してくれた。

 派手なコスプレ衣装に、派手なサングラスがばっちりハマってる。

 美弦ちゃんって、ほんとにセンスがいい。


「できた。いくよ」

 私はみんなの顔をぐるっと見回した。


「うん」

「いっけー!」

「バズれー!」

「アクキー当たれー!!」


 ――えいっ!

 みんなの声に背中を押されて、私は投稿ボタンを押した。


 みんな、ワクワクした顔で私のスマホを見てる。

 でも、三十秒経っても、一分経っても、私のスマホは静かなまま。


「……。リツイートされないね」

 美弦ちゃんはガッカリしてる。


「そもそも日和のフォロワーって、あたしを含めて4人しかいないもん。日和は普段、全くツブヤイターに投稿してないし。前回の投稿なんて、一か月も前だよ? しかも、『今日は満月だ』なんて、どーでもいい内容! これじゃ、反応なくて当たり前だよ」

 芽衣ちゃんは自分のツブヤイターのアカウントを開いて、私の投稿をリツイートしてくれた。

 私のスマホの画面に『投稿がリツイートされました』という通知が出る。


「ありがと、芽衣ちゃん。なんか、ごめんね。ツブヤイターじゃなくて『バーチャル・ドール』のSNSなら毎日使ってるんだけどな。フォロワーだって、50人はいるし……」

『カワラブ同盟』を作ってから、私も雪村くんも、どんどんフォロワーが増えていってるんだよね。

 ツブヤイターじゃなくて、『バーチャル・ドール』のSNSで投稿してたら、バズってたかも?


「オレも花崎さんのアカウントフォローするわ。リツイートしとく」

 久城くんはポケットからスマホを取り出して、いじりはじめた。


「理玖もリツイートしろよ。お前と花崎さんの動画なんだからさ」

「うん。でも、おれのフォロワーって天馬しかいないんだけど」

「リツイートの意味ねー!! もっと友達作れよ!!」

「……『バーチャル・ドール』なら200人以上いるし……」

 ムッとしたのか、雪村くんは小声で呟いた。


「え? なんて?」

「なんでもない」

「私もリツイートしよっと」

「私も、日和さんのアカウントフォローさせてもらいますね」

『アカウントがフォローされました』、『投稿がリツイートされました』。

 そんな通知が連続でやってきた。


「ありがとう、みんな」

 応援してくれることが嬉しくて、私は微笑んだ。




 五時間目と六時間目の間の、短い休み時間。

 次の授業の準備をしていると、美弦ちゃんが叫びながら走ってきた。


「ひよりん!! ツブヤイター見た!?」 

 美弦ちゃんは私の机に両手をついて、身を乗り出した。

 美弦ちゃんに呼ばれたらしく、少し遅れて雪村くんもやってきた。


「え? ううん――」

「見て!! 早く!!」

「わ、わかった」

 私は勢いに押されて、カバンに入れっぱなしだったスマホを取り出した。

 画面をつけると、ツブヤイターの通知がたくさん来ていた。

 昼休みのときには残り80%はあったはずのバッテリー表示が、赤くなってる!


「えっ!?」

 ツブヤイターを開いた私は、目を丸くした。


 ダンス動画が、800リツイート!?

 1000いいね!?

 コメントもたくさん来てる!!


『可愛い!』

『ダンス上手! キレッキレ!』

『マジ☆レボのダンス動画で一番うまい。冗談抜きで』

『最後の笑顔がいい!』

『↑笑顔って、目隠ししてるじゃん』

『↑目隠ししてても、笑ってるのはわかるだろ』

『コスプレ衣装、どこで買ったの? 手作りだったらすごい! 神!』


 ……まだまだ続いてて、すぐに全部は読み切れない!


「……なにこれっ!?」

 びっくりして、美弦ちゃんを見上げる。


「ひよりんたちの努力が世界に認められたってことだよ! おめでとう!!」

 美弦ちゃんは笑顔で両手を上げて、私と雪村くんに手のひらを向けた。

 

 私と雪村くんは顔を見合わせて、ほとんど同時に笑った。

 それから、三人でハイタッチ!


 ――パチンっ!

 気持ち良い音と感触が、手のひらで弾ける。


「やったね、雪村くん!」

 私は心の底から笑った。


「うん」

 雪村くんも、とびっきりの笑顔を見せてくれた。

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