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そのままのキミが好き!  作者: 星名柚花


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28/31

28:ダンス・スタート!

 さあ、行くぞ!

 ダンス・スタート――!!


『♪つないだ手と手 キラリきらめいて

 こぼれた願い 空にとけてゆく』


 全身を包むリズムに合わせて、両手を前に差し出す。

 次は、身体を右にかたむけて、左肘を上げながら右手を伸ばす。

 私の右手と、雪村くんの左手が触れそうになるほど近づいた。

 これは雪村くんが提案してくれた、左右対称の動き!


『♪ピンチの時こそ 笑顔でいこうよ

 あきらめないキモチが 魔法になるから』


 雪村くんと背中合わせになって後ろへ下がり、手を広げる。

 ターンを決めて向かい合い、雪村くんと同時に親指を立てる。

 親指を立てるポーズは、アニメの主人公のアクアちゃんがよくやるポーズ!


『♪変身・マジカル・ドレスアップ!』


 ――ここが、ひとつめの見せ場!

 軸がぶれないように注意しながら、くるくるっと回転。

 私は右手を、雪村くんは左手を上げて、ふたりで同時に決めポーズ!

 イルカちゃんとオルカくんの変身シーンみたいに、ばっちり決まったっ!!


『♪カラフルリボンの 勇気をぎゅっと』


 リズムに合わせて、胸の前で手をクロス。

 雪村くんと心をひとつにして、息もぴったり!


『♪ほらね キミがそばにいれば

 怖いものなんてない!』


 腰をひねって、手足を軽やかに動かす。

 早い動きだけど、雑にやっちゃダメ!


 腕の角度、足の動かしかた、手の開きかた。

 指の一本一本まできちんと意識しなさいって、美弦ちゃんに何度も言われたもんね!


 だいじょうぶ、ちゃんと覚えてるよ!


『♪きらきら・ミラクル・レボリューション

 勇気を出して 新しい扉を開こう!』


 軽いステップで弧を描くようにしながら、雪村くんとお互いの位置を入れ替える。


『♪世界に はじける キセキのチカラ』


 両手を上げて、足を前に踏み出す。

 雪村くんの動きもビシッと決まってる。


『夢も涙もぜんぶ抱きしめて 明日へジャンプ!』


 ふたり同時に床を蹴って、ジャンプ!

 空気がいっしゅん、ふわっと軽くなった気がして、胸の奥が熱くなる。


『♪迷いさえ 飛びこえて きずなをつないで』


 曲に合わせて力強くステップを踏みながら、私たちは背中合わせになった。


『♪私たちの物語は 光の中で いま始まる』


 私は立ったまま、雪村くんは床に片膝をついて、戦闘後の勝利ポーズ!


 五秒くらい待ってから、私たちはようやくポーズを解いた。

 ビデオカメラに向き直って、笑顔で両手をぶんぶん振る。


 見てくれた人へのアピールと、感謝の気持ちを込めて!


 やがて、曲が終わった。


「――はいっ。二人とも、お疲れさまでした~!!」

 美弦ちゃんはビデオカメラを止めて、盛大な拍手を送ってくれた。


「どうだった?」

「うまくできてた?」

 私と雪村くんは、ほとんど同時にたずねた。

 ダンス練習が終わったら、美弦ちゃんに感想を聞くのがお約束になってたから、もう身体にしみついちゃってるんだよね。


「あははっ。そんなに心配しなくても大丈夫だって! バッチリだったよ! もうこれで投稿しちゃっていいんじゃないかな? 見てみて」

 美弦ちゃんはビデオカメラを持って歩いてきた。

 私たちは床に座って、ビデオカメラの映像をチェックした。


「……うん。ちゃんと踊れてる。すごい。これ、本当に私? キレッキレなんだけど……」

 映像の中で軽やかに動き回る自分は、まるで別人みたいだ。

 雪村くんは、私よりも上手!


「そりゃあもう。私がビシバシ厳しく指導しましたから!」

 美弦ちゃんは、えへんと胸を張った。


「ありがとう、美弦ちゃん」

 感情が高ぶって、私は美弦ちゃんを抱きしめた。


 ダンスの練習を始めたときは、不安でいっぱいだった。

 私は運動音痴だから、雪村くんの足を引っ張っちゃうんじゃないかって。

 踊ろうって自分から言い出したくせに、全然踊れなかったら雪村くんに嫌われちゃうんじゃないかって。

 不安で、怖くて、毎日必死で練習した。


 その努力はむだじゃなかった。

 動画の中で踊る私が、最高の笑顔を見せる私が、なによりの証拠だ。


「こんなに上手に踊れるようになるとは思わなかった。これも全部、先生役を引き受けてくれた美弦ちゃんのおかげだよ。本当に、ありがとう」

 涙がボロボロこぼれて、止まらない。


「おれもお礼を言わせてほしい。なんの得にもならないのに、一か月近く練習に付き合ってくれて、本当に……本当に、ありがとう」

 雪村くんは頭を下げた。


「お礼はもういいって。二人が本気だったから、私も本気でこたえただけ。この一か月、ほんとによく頑張ったね、ひよりん」

 美弦ちゃんは優しい声で言って、私の背中を軽く叩いた。


「うん……ありがとう」

 私は手の甲で何度も目をぬぐって、グズグズと鼻を鳴らしながら身体を離した。


「それで、どうする? まだ時間はあるけど、あと何回か踊る? それとも、これでいっちゃう?」

「おれはこれでいいと思う。でも、花崎さんがまだ踊りたいなら付き合うよ」

 巻き戻した映像を見ながら、雪村くんが言った。


「ううん、だいじょうぶ。私も、これ以上のダンスはできないと思うから。これで終わりでいいよ」

「わかった。ところで、二人とも、動画編集できるの? このままデータ渡していいわけ?」

「………」

 私は無言で美弦ちゃんの目を見つめた。

 雪村くんも、美弦ちゃんをじっと見ている。


「……私が編集してあげようか?」

 仕方ないなあ、という顔で、美弦ちゃんは苦笑した。


「「お願いします」」

 私と雪村くんはピッタリ同じタイミングで言って、深く頭を下げた。

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