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そのままのキミが好き!  作者: 星名柚花


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24/29

24:振りつけの問題点

 土曜日の午後三時。

 私は駅前の広場で、まほアクのオープニング曲を踊っていた。

 美弦ちゃんに教えてもらったこの広場には大きな鏡があって、多くの人がダンスの練習をしてる。

 私よりはるかに上手い人ばっかりで気後れしちゃうけど、みんな練習に夢中で、私のことなんて見ていない。

 だからこそ、曲の最初から最後まで全力で踊り切ることができた。


「ど、どうかなっ」

 ぜえ、はあ。

 私は肩で息をしながら、黙って見ていた美弦ちゃんにアドバイスを求めた。


「うーん。そうだなあ。正直な感想言ってもいい?」

 美弦ちゃんは右手を腰に当てて、じっと私を見つめた。


「もちろん」

 私は覚悟を決めて、うなずいた。


「じゃあ言うけど。全然ダメ」


 ――グサッ!!

 美弦ちゃんの言葉は矢になって、私の胸に突き刺さった。


「まず体力が足りてない。たった一分半の曲を踊っただけで、そこまで息切れするとかありえない。踊り切る体力がないから、どんどん動きが適当になって、最終的にはグダグダになっちゃってる。もし私がダンスの審査員だったら、問答無用で×するね」

 美弦ちゃんは胸の前で両腕をクロスさせて『×』を作った。


「……そんな……」

 私はヘナヘナと地面に座り込み、うなだれた。

 決して上手な踊りじゃないのはわかってた。

 それでも、毎日一生懸命練習してきたのに……。


「ひよりんのダンスって、まほアクの公式チャンネルに出てる動画と全然違うみたいだけど。振りつけは、雪村くんと二人で考えたの?」

 美弦ちゃんは私の前に屈んで、手を差し出してきた。


「うん、そう」

 差し出された手をつかむと、美弦ちゃんは私を引っ張って、立ち上がらせてくれた。


「ふむ。ひよりんって、雪村くんのライン知ってる? 知ってるなら、呼び出してほしいんだけど」

「呼び出すって、ここに?」

 私が地面を指さすと、美弦ちゃんはうなずいた。


「うん。振りつけについて相談したい。できれば、いますぐ」




 それから三十分が経った頃、雪村くんが広場にやってきた。

 雪村くんも私と同じように、動きやすそうな服を着ている。


「雪村くーん、こっちこっちー」

 美弦ちゃんは雪村くんに向かって、大きく手を振った。

 美弦ちゃんの動きに気づいて、雪村くんが歩いてくる。


「こんにちは、北園さん。花崎さん」

「こんにちは! いきなり呼び出しちゃってごめんねー」

「いや、だいじょうぶ。家でコスプレ衣装を作ってただけだったから。それより、振りつけを変えたいって、どういうこと? どこを変えるの?」

「んー」

 美弦ちゃんはあごに手を当てて、首をかしげた。


「見ていて『いいな』って思った振りつけや、二人が絶対やりたい振りつけは残したいけど、それでも順番を変えたりしたいからなー。ほとんど1からやり直しみたいになるから……うん、やっぱり全部ってことになるかな!」

「全部変えるの?」

 雪村くんは目を丸くした。


「そ。いまの振りつけには大きな問題があるの。ひよりん、スマホ触っていい?」

 私のスマホは、bluetoothでスピーカーとつながってる。


「いいよ」

「ありがと。ちょっと見てて」

 美弦ちゃんは私のスマホを操作して、スピーカーから『マジカル☆レボリューション』を流し始めた。

 そして、当たり前のように、私がさっき踊ったダンスをそっくりそのまま再現してみせた。


 ――すごい。

 私は思わず、息をのんだ。


 たった一回見ただけなのに、美弦ちゃんは私たちが考えた振りつけを踊ってる。

 しかも、私よりずっとずっと――比べるのが申し訳なくなるくらいに、めちゃくちゃ上手い!!


 でも、なんだろう。

 ものすごく上手いんだけど……なんだか、見てると疲れる……?

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