表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そのままのキミが好き!  作者: 星名柚花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/25

20:助け合おう

「そんなことしたら、お母さんにもお父さんにも怒られちゃう! かかったお金はちゃんと払うよ! だいじょうぶ、お母さんたちには『友達と一緒にコスプレ衣装を作りたい』って言ってある! お金出してくれることになってるから!」

「そう? 別にいいのに……」

「良くないっ! お金の問題は、ちゃんとしなきゃダメ! たとえ友達でも、トラブルのもとになるの!」

 私がにらむと、雪村くんは目をパチクリしてから、苦笑した。


「わかった。自分の衣装代は自分で払うってことで。じゃあ、衣装も頑張って自分で作るの?」

「……それは……その。できれば、お願いしたいです……」

 私は蚊の鳴くような声で言ってうつむき、お腹の前で手をもじもじさせた。


「不器用な私が作ったら、布がむだになっちゃいそうだし……それに、雪村くんは絶対、プロレベルの綺麗な衣装を作るでしょ? そんな雪村くんと、ボロボロの衣装を着て一緒に踊りたくない……」

「ボロボロって」

 その一言で私の裁縫レベルを察したらしく、雪村くんはおかしそうに笑った。


「わかった。衣装作りはおれがやるよ」

「……ごめんなさい……よろしくお願いします……」

 私は頭を下げてから、急いで顔を上げた。


「もちろん、まかせっきりにするつもりはないから! 手伝えることがあれば、手伝うから! なんでも言ってね!」

「いいって。言っただろ? 裁縫は好きなんだよ。まほアクの衣装を作るなんて、楽しみ。フリルとかリボンとかも、こだわりたいし」

 雪村くんは微笑んでいる。

 無理をしてるわけじゃなく、本当に楽しみなんだとわかって、私はホッとした。


「ありがとう! もしアクキーが当たったら、絶対あげるからね!!」

「うん、ありがとう。あのアクキーが手に入るなら、衣装作りなんて大したことじゃないよ。必要な布とかはおれが買いに行くから、後でお金払ってくれる?」

「えっ。買い物まで、まかせちゃっていいの?」

「いいよ。一人でじっくり選びたいし」

「……そう」

 一人でじっくり選びたいなら、逆に、私がついていくほうが迷惑になっちゃうかな。

 荷物持ちなら、雪村くんの家のお手伝いさんがしてくれそうだし……ついていかなくても、だいじょうぶかも?

 考えて、私はうなずいた。


「わかった。じゃあ、お願いするね。あ、ちゃんとレシート見せてね。ちゃんと、きっちり、かかった分のお金、払わせてね!」

「わかったってば」

 雪村くんが笑ったときだった。


「――あれ? それって、まほアクのダンス動画じゃね?」


 声が聞こえて、私と雪村くんは右手を見た。

 教室の後方から歩いてきたのは、右手にカバンを持った鈴本くんだった。

 どうやら、たったいま登校してきたばかりみたいだ。


「そうだけど……」

 さっきまで笑っていた雪村くんの表情が、警戒するように強張った。

 もしかしたら、からかわれた辛い過去を思い出したのかもしれない。


「なんでそんなの見てんの? まさか、踊る気じゃねえよな~」

 なんだか馬鹿にしたような言い方だったから、カチンときた。


「――踊る気だったら悪いの?」

 気づいたら、そんな言葉が口から飛び出していた。

 私の頭の中は、雪村くんを守らなきゃ!! という思いでいっぱいだった。


「私たち、まほアクのファンだから。一緒に踊るつもり。悪い?」

「……いや、悪くはねーけど……」

 いつもはおとなしい私が強く出たから、鈴本くんは戸惑ってるみたいだ。


「じゃあ、放っといてくれないかな。私たちはやりたいことをやってるだけなの。だれにも文句は言わせない!」

 私がにらみつけると、鈴本くんは気まずそうに、口をもごもごさせた。


「……ごめん。馬鹿にするようなこと言って、悪かったよ」

 ギリギリ聞き取れるくらいの小さな声でそう言って、鈴本くんは自分の席へ向かった。


 ……あれ?

 てっきり、反撃が来るとばかり思って、身構えていたのに。

 私は拍子抜けしたような気分で、遠ざかっていく鈴本くんの背中を見つめた。


 ……そういえば。

 四月のオリエンテーションのときも、鈴本くんは雪村くんの顔が赤いのを見て、心配してた。

 ちょっとからかおうとしてきただけで、根は悪い人じゃないのかも?

 私、強く言い過ぎたかな……?


「……花崎さん。ありがとう、言い返してくれて」

 雪村くんの声が聞こえて、私は鈴本くんから雪村くんに視線を戻した。


「ううん。言いたいことを言っただけだよ。でも……ちょっと過剰反応しすぎたかも。あとで謝っとくよ」

「うん。おれも、それがいいと思う。ごめん。守ってもらって」

 雪村くんは眉をハの字にして、申し訳なさそうな顔をしている。


「気にしなくていいよ。友達なんだから、困ったときはお互いに助け合っていこうよ」

 私がそう言うと、雪村くんは驚いたような顔をして。

 それから、ふっと頬を緩めて笑った。


「そうだね。助け合おう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ