続
…そうだ、思い出した。
結局、言えなかったけど、おじいちゃんにどうしても聞きたいことがあったんだった。
ねぇ、おじいちゃん。おじいちゃんはどうして亡くなるとき、ぼそぼそと、枕もとで何を喋っていたの?
誰と何を話していたの?
っていうか…そもそも、あそこに誰かいたの?
誰もいなかったはずなんだ。オレ以外は。
だって、おばあちゃんはおじいちゃんが亡くなる四カ月前に老衰で死んじゃったし、うちにペットはいないはずなんだから。
両親もおじいちゃんたちを怖がって会いにも来てくれない。
おじいちゃんの友人さんたちはもう死んじゃってるか、遠くの方にいるはずだし…
宗太郎叔父さんも違う。いるわけがない。
あとさ、おじいちゃん。おじいちゃんは、「祠を破壊してくれ、店の存続のために」って、あれほど言っていたけど、どうしてもう忘れられているはずの祠の場所を、あんなに正確に地図に記せたの?
どうして、あんなに頭から血を流して、涙をダラダラ流して、何度も床に頭を叩きつけて、「頼む、お前しかいないんだ!?」と、狂気的に懇願していたの?
怖かったよ。正直に言って。いつものおじいちゃんじゃないみたいだった。何度も何度も情けなく頭を下げて、やらなきゃ死ぬとでもいうように。
ねぇ、一旦どんな感情で、オレの目を見ていたの?
オレもどうして従ったんだろう?
いくらおじいちゃんの頼みだからって、どうして自分はあんな残忍なことができたんだろう?
全く記憶がないんだ。本当に。
気づいたら壊した感触だけが、手に残ってたんだ。
…それとさ、オレ、一回も大地にメールなんて送ってないんだよ。
大体この時代でさ、メールなんて全然使わないよね。
今って、みんな通話用のメッセージアプリでやり取りしてるし、オレと大地は連絡先も交換している。
だから、「メールが来て…」って言われたとき、オレは何かと勘違いしているのかなって思ったよ。けど、実際に見せてもらって、ひどくオレは不気味に思った。
だって、オレがメール出すにしてもさ?あんな堅苦しいメール出す?絶対アプリの方が早いし、もっとラフに相談乗ってくれって送っているはずなんだ。
しかも、なんでこんな、オレが調べる人を探そうとしているときに、ピンポイントで…
あまりにも都合が良すぎるよ。
…ねぇ、おじいちゃん。俺さ、今回調べるにあたってさ、あなたのことを調べてたんだ。
あなたの戸籍や過去の出来事もできる限り。家族だって、たくさん調べた。一睡もせず、ただひたすらに。
だから、井澤氏にも辿り着けたんだ。
けどさ、オレはおばあちゃんが昔一回失踪してるのなんて。初めて知ったよ?
なんで?どういうこと?
ねぇ、どうして教えてくれなかったのおじいちゃん?
ねぇねぇ、おじいちゃん。おじいちゃんってば。
「ああ、良かったよって…」誰に向かってぶつぶつ言っていたの?




