表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/31

常連客T氏の証言



やあ、ダイ君。実に久しいね。こんなかたちで会うことになるとは夢にも思わなかったけど…急だったからね。

しかし、君がゼミ長だった時を思い出すよ。まさか、君の方から連絡をくれるとは思わなかったですが…


君は話に聞いたところ、東京の方に引っ越したのだろう?見知らぬ土地で一人だけとは、大変だっただろうね。私も元上京組だから分かるさ。今は、この大学で教授をやっているのだがね。


ここの地域は面白い話や素敵な風景がたくさんあるからね。私にとってはダイヤモンドの山よりも魅力的さ。妻も気に入ってくれたしね。


さっきまで何をしていたかって?

趣味でやっている民俗学研究だよ。明治維新までの神隠しを対象とした研究にハマってしまってね。昨今は、都市伝説についての考察が最も熱いのだけれども、私もそれに便乗しているのさ。ちょうどいい場所だからね。


さて、本題と行こうか。君と馴染みの深いあのお店についてだよね。定食屋「どうかいじょう」。あれは、いい店だったよ。


最初に訪れたのはもう20年ほど前の話だ。あの頃はこっちに来たばかりで、おいしいお店なんて分からなかったからね。学生たちから聞いたおいしいと評判のお店に行っていたんだよ。その中の一つが「どうかいじょう」だった。


建物は昭和だったね、一言でいえば。あの頃のレトロな雰囲気が漂うお店だった。たしか、創業は1960年だったかな?道理でとその時に思ったよ。


掲げてある看板も、内装の統一感も、テーブルから椅子に至るまで、整えられていた。カウンター席からは、内部の店主の調理風景も一部だけ見ることができた。

おかみさんは店主から受け取った料理を、いつも忙しそうに運んでいたよ。


活気もあった。基本的に若年層が中心ではあったが、老若男女がおいしく料理を食べられる店だった。しかも、安い。妻との約束でこづかいが少ない私としては、本当にありがたいことだったよ。


最初に頼んだメニューか…たしか、チキン南蛮定食だったかな。実家が宮崎の方でね。懐かしくて注文した気がするよ。

でも、本当に美味しかった。実家の母の味を彷彿とさせるものだったよ。

胃袋は完全に掴まれてしまったね。それからは、ほぼ毎週行くようになったんですよ。


特別メニューを頼んだことはあるかって?ええ、ありますよ。何回か食べました。


一番思い出に残っているもの?

ふむ、そうですね…冷やし中華でしょうか。あれはなかなかに美味でしたね。とても暑い夏の日に食べたはずですから、余計にうまかったのでしょう。


いつかは覚えないですね。意外と昔のことなので。すみません、もう少し詳しく言えれば良かったのですが…そうですか、許してもらえるのですか。それは、ありがたいですねぇ…


…ああ、なるほど。あなたは辿りつこうとしているのですね。あの店の謎を。


確かに不可解な点はいくつもありましたが、そこに踏み込もうとしている人間はとても少ない…いい結果になるといいですね。もしよかったら、すべて終わった時に私にも教えてください。私も、まだまだ学びたい人間ですので。


ああ、そうだ。最後に、知ってますか?この町って、戦後までは、多くの変死体が見つかることで有名だったんですよ。失踪事件もかなりあったそうで…ちょっと、きな臭いんですよね。

それから、この大学にいるプロフェッショナルの連絡先も教えましょう。昔の資料も探せば出てくるはずです。色々と調べて御覧なさい。きっと、あなたの役に立つはずですよ。


「特別メニュー:冷やし中華(チャーシューは●●の肩ロース使用)」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ