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第30話:「終幕のヒマワリ」

陽子は信田の死に関わるすべての真実を暴き、流星グループの不正を白日の下に晒した。数ヶ月にわたる戦いの末、彼女は自らの復讐を果たし、信田の無念を晴らすことができた。流星グループの幹部たちは次々と法の裁きを受け、企業の悪事は世間に知られることとなった。信田の死を巡るすべての謎が解き明かされ、陽子は長い間続いた戦いの終焉を迎えようとしていた。


だが、その終わりを感じながらも、陽子の心にはまだ一つの重い思いが残っていた。それは、信田の墓前に立ち、彼に何を伝えたら良いのかということだった。これまでの戦い、すべてを終わらせた今、陽子は信田のもとに赴き、最期の言葉を届けるべきだと強く感じていた。


陽子は深呼吸をしながら、車のハンドルを握った。外は晴れ渡り、穏やかな風が吹いている。陽子の目の前には、信田が眠る墓地が見えてきた。その場所は、信田が好きだったヒマワリ畑の近くにあり、彼女はその場所で最期の挨拶をする決心を固めていた。


「これで、信田に報告ができる。」


陽子は静かにそう呟きながら、車を墓地の前に停めた。車を降りると、陽子は少し震える手で墓地の入り口をくぐった。彼女は信田のことをどれだけ愛していたか、どれだけ彼のために戦ってきたかを思い出しながら、その足を進めた。墓地の奥には、ヒマワリの花が揺れる場所があり、そこが信田の最期の眠り場所だった。


陽子は墓前に到着すると、膝をついて信田の名前が刻まれた石碑に手を当てた。その手が震えているのは、彼女の心がまだ完全に解放されていない証拠だった。しかし、それと同時に、彼女は確かな達成感も感じていた。


「信田、ようやく、あなたに報告できる日が来たわ。」


陽子は目を閉じ、静かに語り始めた。その声は、風に乗って墓地の周囲に広がっていった。


「あなたが命を懸けて暴こうとした真実は、私がしっかりと暴いたわ。信田が知っていたこと、その背後に隠された闇、そして流星グループの悪事。それらすべてが明るみに出た。そして、あなたが望んだ通り、真実が世間に知られた。」


陽子は深呼吸をし、手を石碑から離して立ち上がった。信田の墓前に立つと、彼女の目に涙が浮かんだが、それは悲しみの涙ではなかった。それは、信田に対する深い感謝と、彼の無念を晴らすことができたという安堵の涙だった。


「信田、私があなたを守れたわ。あなたが死んでから、どれだけ辛かったか、どれだけ苦しかったか、でも、あなたが望んでいた真実を明らかにするために、私はここまで来た。」


陽子は、墓前にしっかりと立ち、静かに微笑んだ。今、ようやく全てが終わったという実感が湧いてきた。そして、彼女は心の中で信田に最後の言葉を送った。


「これで、あなたの無念も晴れたわ。あなたが願った通り、流星グループは壊れ、幹部たちは法の下で責任を取ることになった。そして、私たちが求めていた正義が、ようやく実現したの。」


陽子はその言葉を墓石に向かって呟きながら、静かに涙をぬぐった。彼女は一度深呼吸をし、手を合わせて再び信田に感謝の気持ちを込めて祈りを捧げた。


その後、陽子は墓地の奥に目をやると、そこには広がるヒマワリ畑が見えた。ヒマワリは、信田が最も愛していた花だった。陽子は、信田と共に過ごした日々を思い出しながら、ゆっくりとヒマワリ畑に歩み寄った。太陽の光がヒマワリの花びらを照らし、その明るい黄色がまぶしく輝いていた。


「ここが、あなたの好きな場所だった。」


陽子はひとしきりヒマワリ畑を歩きながら、信田と過ごした日々を振り返った。二人で笑い、時には悲しみを分かち合った時間。そのすべてが、陽子にとってはかけがえのない思い出だった。


そして、陽子は心の中で、再び信田に向かって語りかけた。


「あなたのために、私がやるべきことをやった。もう、あなたが抱えていた全ての重荷を、私が引き受けたわ。信田、あなたの死は決して無駄ではなかった。」


陽子は静かに立ち上がり、振り返った。彼女の目には、完全に晴れ渡った空と、光輝くヒマワリの畑が広がっていた。それはまるで、信田の無念を晴らしたことを象徴するかのようだった。


「ありがとう、信田。これからは、私一人で歩いていくけど、あなたがいたからここまで来られた。だから、これからも前を向いて進むわ。」


陽子はその場で立ち止まり、しばらく静かにヒマワリ畑を眺めていた。その風景は、彼女の心に強い力を与え、次に進むための決意を新たにさせてくれた。


陽子は、信田の墓前で最後の祈りを捧げた後、ゆっくりとその場を離れた。彼女はこれから新たな一歩を踏み出し、過去の戦いを胸に刻みながら、未来に向かって進んでいくのだった。


その背中を見送りながら、カメラは空を映し、広がるヒマワリ畑の美しい景色を捉えていた。全ての伏線が回収され、復讐の物語は静かに幕を閉じた。

お読みいただきありがとうございます。


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