第28話:「復讐の果て」
陽子が信田の死の真実を暴露し、流星グループの幹部たちの不正を公にした後、世間はその情報に対して激しい反応を示していた。数時間のうちに、ネット上での議論が爆発的に広がり、流星グループの悪行が晒されるとともに、彼らの名声は急速に失墜していった。
「やっと……全てが明るみに出た。」
陽子はパソコンの前で、流星グループの株価の急落を見守っていた。彼女が公開した証拠とライブ配信によって、流星グループは世界中から激しい非難を浴び、株価は文字通り崩れ落ちた。信田の死に関わる不正行為が、ついに彼らにとって致命的な打撃となったのだ。
「これで、信田も報われる。」
陽子は静かにそう呟きながら、画面を凝視した。数日間で、流星グループの株価は半分以下に暴落し、幹部たちの不正が完全に公にされた。報道はこの事件をトップニュースとして取り上げ、社会的な注目が一気に集まった。
その中でも、最も注目を集めたのは流星グループのCEOである松田英明だった。彼は、陽子が公開した証拠によって、自身の不正行為が露見し、企業の社会的信用は一瞬で失われた。だが、それだけでは終わらなかった。松田の辞任が報じられると、その波紋はさらなる波紋を呼び、流星グループの支配層にまで及んだ。
陽子は、その知らせを新聞で知った。松田の辞任が決まったこと、それに伴って流星グループの幹部たちが一斉に辞職を表明したというニュースが、どこか静かな勝利のように感じられた。
「ついに、彼らは逃げるしかなくなった。」
陽子は口元を緩ませながらも、心の中では冷静さを保っていた。これまでの戦いが全て無駄ではなかったことを実感していたが、それと同時に心の中ではまだ完全な満足感を得ることができなかった。信田の死、その裏に隠された真実が全て暴露された今でも、陽子にはまだ終わらせなければならないことがあった。
「でも、これで終わりではない。」
陽子はその後、記者の田辺と会うことにした。彼は陽子の戦いに最初から付き合い、証拠を公にするために一緒に戦ってきた戦友だった。陽子は田辺に、自分が得た情報と新たに進めるべき手続きを伝え、最終的な結末を迎えるための準備を進めた。
「田辺さん、ついに流星グループは崩壊したわ。でも、私たちの戦いはここで終わりじゃない。」
陽子は静かに話し始めた。田辺は彼女の言葉を聞きながら、頷いた。
「信田の死を巡る闇は、まだ完全に明らかになっていない。松田が辞任したことで、流星グループの経営は一時的に空白状態になった。しかし、その中で残された問題は、まだ解決していない。」
田辺は深刻な表情を浮かべた。陽子の言う通り、流星グループの表層が崩れただけで、その内部に潜む問題は山積みだった。信田が暴こうとしていたその真実の奥には、さらに多くの陰謀が隠されていた可能性があった。
「松田が辞任したのは、今後の法的手続きを避けるための時間稼ぎかもしれません。私たちは、このまま流れに乗るだけではなく、もう一歩進んで、残された証拠を完全に突き止めなければならない。」
陽子は強い決意を込めて言った。信田が知っていた最後の真実、それを暴くためには、まだ一つ残された手があった。それは、流星グループの元経理担当者、加藤亮太が残した証言を元に進める、最終的な法的手続きだった。加藤が語った資金洗浄の詳細、その記録が全て解明されれば、流星グループの不正が完全に公にされることになる。
「残された証拠を警察に渡して、法的な手続きを速やかに進める必要があります。これ以上、誰かを犠牲にしないためにも、完全に終わらせなければならない。」
陽子はそう語り、田辺と共に警察に向かう準備を進めた。その瞬間、彼女のスマートフォンに再び通知が入った。それは、流星グループの取引先企業からの情報だった。陽子がこれまで収集してきたデータを基に、新たな証拠が浮上したのだ。それは、信田が生前に目撃した取引の記録であり、その取引が流星グループの隠された資金の流れを示す決定的な証拠だった。
「これで、全てが終わる。」
陽子は再びその証拠を元に警察に連絡し、流星グループに対して最後の一撃を加える準備を整えた。流星グループは、その犯罪行為をすべて法廷で証明されることとなり、幹部たちは法的責任を取らなければならなくなる。
そして、陽子は高橋浩一の死を無駄にしないため、信田の無念を晴らすために、最後まで戦い抜くことを心に誓った。流星グループの力がどれほど強大であろうとも、真実を暴き、正義を貫くことこそが、彼女が選んだ道だった。
その後、陽子が進めた法的手続きは急速に進展し、流星グループの幹部たちが次々と逮捕されることとなった。陽子の公開した証拠、そして加藤亮太の証言が決定的な要素となり、流星グループの不正は完全に白日の下に晒された。
「信田、あなたのために、私は最後まで戦い抜いた。」
陽子は静かに呟きながら、事件の終結を迎えた。彼女の心の中では、信田の死が無駄ではなかったことを強く感じていた。そして、信田の無念を晴らすために進んできたこの道が、最終的に正義の勝利をもたらしたことを実感していた。
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