第23話:「死者の証言」
陽子は再び動き出した。信田の死に関わる真実を暴くため、彼女は手に入れた証拠を整理し、ついに流星グループの深層に足を踏み入れようとしていた。しかし、その道は一筋縄ではいかなかった。流星グループからの圧力、脅迫、そして過去に自分が抱えていた秘密。それらすべてが陽子の前に立ちはだかっていた。
しかし、彼女は決して引き下がることはなかった。信田の死に関する真実を暴くためには、何としてでも前に進む必要があった。そんなある日、陽子に思いがけない知らせが届いた。それは、信田の死に関する重大な証拠を持っていた人物からの連絡だった。
その人物は、先輩芸人の矢口正志だった。矢口は、信田の死に関与していたことを深く悔い、最期の時を迎える前に何かを伝えたかったようだった。陽子はその連絡を受け、矢口の家に向かうことを決めた。
「矢口さんが、死の間際に何かを残していたということ?」
陽子が病院で矢口を見舞ったとき、彼は弱々しく笑いながら言った。
「そうだ。信田のことを思い出すたびに、俺はいつも胸が痛くなる。あの時、俺が止めていたら、信田は死なずに済んだかもしれない。でも、俺にはどうすることもできなかった。」
矢口はその言葉を口にしながら、しばらく黙っていた。そして、最終的に彼は陽子に言った。
「陽子、お前に渡すべきものがある。俺が信田にしてしまったことを、俺はずっと悔いていた。だけど、死ぬ前にそれを伝えなければならない。」
矢口は陽子に一冊のノートを手渡した。それは、彼が信田の死に関する秘密をすべて記録していたノートだった。陽子はそのノートを受け取ると、矢口の目をじっと見つめた。
「これは、信田の死に関する全ての真実だ。信田が知ったこと、俺がやったこと、そしてお前が探し求めている証拠がここにある。」
陽子はノートを開くと、信田の死の背後にあった資金洗浄の詳細な記録と、それを隠蔽するための手段が綴られていた。その内容には、信田が暴露しようとしていた流星グループの秘密と、それを隠すために矢口がどれほど必死に動いていたのかが記されていた。だが、その中でも最も重要だったのは、矢口が遺言として残した最後の一文だった。
「信田を殺したのは、流星グループの金と、俺の罪だ。」
その言葉に、陽子は深い衝撃を受けた。信田の死を巡る真実が、矢口の手によって明かされたのだ。矢口は、信田が死ぬ前に知っていたことをすべて暴露することを決意していた。その証拠が、今、陽子の手に渡ったのである。
「これが、信田の死の真相を暴くための決定的な証拠になる。」
陽子はその証拠を胸に抱え、再び立ち上がった。矢口の死を無駄にしないためにも、信田の死に隠された全ての事実を暴くことが、今の陽子の使命だった。
その後、陽子はノートに記された情報を元に、流星グループの不正資金流用の証拠を再度整理し、すべてを警察に提出する準備を進めた。そして、彼女はその証拠を再度公開するためのライブ配信の準備を始めた。
だが、その直後、陽子の元に再び驚くべき情報が届いた。それは、10年前の信田の死に関わるもう一つの証拠だった。それは、矢口が生前に遺した別の証言録音だった。陽子はその録音を聞くことに決めた。
「もし、俺が信田を守ることができなかったら、お前はきっと知ってしまうだろう。この業界の闇が、どれほど深いものかを。俺はそれを隠すことができなかった。信田が死んだのは、俺のせいだ。」
録音を聞き終えた陽子は、その言葉を胸に深く刻んだ。信田の死を引き起こしたのは、確かに流星グループの組織的な不正であり、矢口もまたその一部であった。しかし、矢口は最期に、信田の無念を晴らすために何かを残そうとしていたのだ。
陽子は、そのすべての証拠を警察に提出し、ライブ配信で再度公開する準備を整えた。これが、彼女にとっての最後の戦いだった。信田の死を無駄にしないために、陽子は最後まで戦い抜く決意を新たにした。
「これが、信田の死を暴くための最後の証拠だ。」
陽子はその言葉を心の中で繰り返し、再び画面の前に座った。全てを暴き、流星グループの不正を白日の下に晒すために、彼女はもう一度、立ち上がる覚悟を決めた。
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