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第22話:「過去の過ち」

陽子が信田の死に関する真実を暴露し、流星グループの不正を広めるために進んでいたその時、突然思いもよらない問題が立ちはだかった。流星グループが反撃に出たのだ。陽子が公開した証拠により、世間の注目が集まり、流星グループは自らの影響力を回復するために、陽子に対して逆訴訟を起こした。


「訴訟……?」


陽子は電話でその知らせを受け取ったとき、思わずその言葉を繰り返した。流星グループが彼女を訴えた理由は、公開した証拠が「名誉毀損」であるとして、損害賠償を求めるものだった。だが、その訴訟の背後には、陽子に対する更なる圧力が含まれていることは明白だった。


「流星グループが、私を脅すつもりだってことは分かってる。」


陽子は心の中でそう思いながら、冷静に状況を整理し始めた。彼女が公開した証拠には、流星グループの経営陣が関与していた不正取引や、信田の死に関する情報が含まれていた。しかし、流星グループはこれを公にされたことを許さなかった。彼女が進んでいる道を阻止するため、さらなる攻撃を仕掛けてきたのだ。


だが、陽子の心は決して折れることはなかった。彼女はもう引き返せない地点に立っていた。信田の死の背後にある闇を暴くこと、それが彼女の使命であり、復讐であった。


その翌日、陽子は流星グループから送られてきた訴状を手に取り、改めてその内容を確認した。その訴状には、陽子が公開した証拠に関して、流星グループの名誉を傷つけたという主張が記載されていた。その中でも特に注目すべき点は、陽子の家族の過去が引き合いに出されていたことだった。


「なんてことを……」


陽子は驚愕した。訴訟の中には、彼女の父親が暴力団の幹部だったことが暴露されていたのだ。それは、流星グループが陽子を追い詰めるために利用した卑劣な手段だった。父親が過去に関わっていた組織の名前や詳細が、彼女にとって最も触れられたくない部分だった。


陽子は深いため息をつきながら、その事実に再び直面した。父親が暴力団の幹部であったことは、彼女が長年抱えていた秘密であり、心の中でずっと封印してきた部分だった。陽子はその過去を恥じ、家族が関わったことで自分がどれほど傷つき、苦しんできたかを理解していた。しかし、今、その過去が再び自分を襲ってきた。


「父親が関わったことを今さら暴露されるなんて……」


陽子は、手にした訴状をぎゅっと握りしめた。流星グループがこの戦いにおいて、どれほど無慈悲であるかを、改めて感じた。しかし、彼女は心の中で一つの決意を固めた。これ以上、流星グループの圧力に屈してはいけない。信田の死を無駄にしないために、絶対に立ち向かうべきだと。


その日の午後、陽子は再び記者の田辺に連絡を取った。田辺は陽子の味方であり、彼女が公開した証拠に対して真実を追求し続けていた。


「田辺さん、聞いてください。流星グループが私を逆訴訟しました。しかも、私の父親が暴力団幹部だった過去を持ち出して、私を攻撃してきています。」


陽子はその事実を伝えると、田辺はしばらく黙っていたが、やがてこう答えた。


「流星グループのやり方は、相変わらず汚いですね。でも、それが彼らの本性だということは、僕もよくわかっています。あなたの父親が何をしていたとしても、信田の死に関する真実が変わるわけではありません。」


その言葉に、陽子は少しだけ安心した。田辺は、どんなに厳しい状況でも真実を追い求める姿勢を崩さなかった。それが陽子にとって、大きな支えとなっていた。


「ありがとうございます、田辺さん。これからも、真実を追い続けていきます。」


陽子はその後、警察に連絡を取り、流星グループの不正に関する証拠を改めて提出する準備を整えた。しかし、彼女が考えている以上に、流星グループは手強かった。彼女の周囲には、まだ数多くの危険が潜んでいた。


数日後、陽子は再びテレビをつけると、思わず目を見開いた。ニュースの速報で、流星グループの幹部が記者会見を開き、陽子に対して訴訟を起こしたことを発表していた。


「私たちは、名誉毀損により訴えを起こしました。これ以上、事実無根のデマを広めないように警告します。」


流星グループの幹部は、冷徹な表情でそう述べていた。陽子の心に沸き上がったのは、強い怒りだった。このままでは、彼女が信田の死を暴こうとしたことが無駄になってしまう。しかし、陽子はその思いを胸に、冷静に行動しなければならなかった。


その夜、陽子は一人で考え込んでいた。自分の過去が暴露されることへの恐怖と、それでも信田の死の真相を暴きたいという強い意志。どちらも否定できない感情だった。


その時、陽子の元に田辺から再び連絡が入った。


「陽子さん、少しだけ話を聞いてほしい。」


陽子はその言葉に応じ、田辺と会うことにした。彼はこれからの戦いについて、陽子に助言をしてくれるはずだった。


「田辺さん、どうしたんですか?」


陽子が尋ねると、田辺は静かにこう言った。


「流星グループの逆訴訟は、ただの脅しに過ぎない。彼らが本気であなたを追い詰めることはない。むしろ、あなたが公開した証拠が、本当に彼らを追い詰めている証拠だ。彼らはその証拠を無視することができない。」


田辺の言葉に、陽子は少しだけ安堵の息をついた。それでも、まだ解決しなければならない問題が山積している。陽子は、これからも戦い続けなければならないことを自覚していた。


「ありがとうございます、田辺さん。信田のためにも、最後までやり抜きます。」


陽子の決意は揺るがなかった。流星グループの脅迫や圧力がどれほど強力でも、彼女は立ち止まらない。信田の死の真相を暴くために、どんな手段を使ってでも前に進むことを決意していた。



お読みいただきありがとうございます。


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