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第18話:「裏切り者」

陽子は矢口の告白を受けて、信田の死の真相に一歩近づいたと感じていた。矢口が自らの過ちを悔い、ついに真実を語ろうとしている。それは信田が死ぬ直前に知ったこと、流星グループの暗い部分に関わる証拠を暴露することになる。しかし、その直後、思いもよらない出来事が彼女を待ち受けていた。それは、信田の死を追い求める中で手を組んだYouTuberグループから、予期せぬ裏切りの報告を受けることになった。


陽子は「真実探求隊」のリーダーである高橋浩一と連絡を取る。彼は信田の死に関して、これまで一貫して彼女をサポートしてきた。だが、最近、高橋からの連絡が少なくなり、その様子に陽子は違和感を覚えていた。


「高橋、どうしたの? 最近、何か変だよ。」


陽子は電話で高橋に直接問いかけた。しばらくの沈黙の後、高橋がようやく口を開いた。


「陽子さん、すみません。実は…流星グループから脅迫を受けてしまいました。」


その言葉に、陽子は息を呑んだ。流星グループはあまりにも手強く、彼女の身の回りの人々にまで圧力をかけてくる力を持っていることはわかっていた。しかし、高橋がそのターゲットになったことは、陽子にとってショックだった。


「脅迫? どういうこと?」


「流星グループから、君と関わり続けることは危険だと言われた。もし今後、信田の死に関する情報を暴露するなら、私の家族にも何か影響が及ぶと言われたんです。」高橋は声を震わせながら続けた。「最初は、脅しだと思っていた。でも、どうやら本気らしい。」


陽子はその言葉に胸が痛んだ。信田の死を追う者たちが、次々と脅迫や圧力を受け、ついには家族まで巻き込まれていく。このような状況に対し、陽子はますます怒りを募らせた。しかし、それ以上に、ある疑念が彼女の胸に湧き上がった。


「高橋、あなたが言った通り、流星グループの脅迫は本気だとしても…何かおかしい。どうして急にあなたがそんな脅迫を受けたの? あなたが何か、裏で情報を流したのか?」


その問いかけに、高橋はすぐに答えなかった。数秒の静寂が流れ、やがて低い声で彼が言った。


「すみません、陽子さん…僕は、流星グループに情報を渡しました。」


その言葉に陽子の心は凍りついた。まさか、彼が裏切るようなことをするはずがないと信じていた。だが、現実は違った。


「裏切ったって…どういうこと?」


陽子は、冷静さを保とうとしながらも、言葉が震えていた。


「僕は…最初、信田さんの死を暴くために力を貸すつもりでした。でも、流星グループから家族を脅されて、結局…」高橋は声を絞り出すように続けた。「僕は偽の情報を流したんです。本当のことを言うと、家族が危険にさらされると思った。信田さんの死に関する証拠を握ったとしても、それを公開した瞬間、僕の家族にも何かしらの影響が出るはずだったから…」


陽子はその言葉を信じたくなかった。信田の死を追い続けてきた高橋が、今になって流星グループに加担したことに対する失望と怒りが湧き上がる。しかし、それ以上に高橋が背負っている恐怖と葛藤に、陽子は胸が痛む思いを感じた。


「あなた…私を裏切ったの? 信田のために戦おうとしていたあなたが、今、信田を裏切ることを選んだのか?」


陽子の声は、次第に感情を抑えきれずに震え始めた。


「裏切りなんて言わないでください。」高橋は必死に弁解しようとした。「僕はただ、家族を守りたかっただけなんだ。信田さんが死んだことで、俺はもう限界だった。でも、信田さんの無念を晴らすために、今すぐすべてを修正したいと思っているんだ。君に、これからでも協力したいと思っている。」


「どうして今さら? もう遅いよ、高橋。」


陽子の声は冷たく、何もかもが終わったような気がした。彼の裏切りは、彼女の心を深く傷つけた。しかし、同時に陽子の中である感情が芽生えた。それは、信田の死に関するすべてを暴き出すために、誰もが危険を冒しているという現実だった。


「でも、私はまだあなたを信じている。信田の死の真相を暴くために、私と一緒に戦ってくれるのなら、もう一度だけやり直せるかもしれない。」


陽子は冷静さを取り戻し、そう言った。その言葉には、裏切りを許すわけではないという強い意志が込められていた。


「ありがとう、陽子さん。僕は絶対に償いたいと思っている。もう一度、全力で協力する。」


その言葉に陽子はうなずき、電話を切った。裏切り者を許すことは簡単ではなかったが、今は信田の死の真相を暴くことこそが、最も重要なことだった。


その後、陽子は高橋と再び手を組むことを決め、信田の死に関する証拠を集め続けた。しかし、陽子の心の中には深い疑念と不安が残っていた。高橋が再び裏切らないか、そして信田の死にどれほどの闇が隠されているのか。それは彼女が一番知りたいことであり、今後の彼女の命運に関わる重要な問題であった。


陽子は一つのことを心に誓った。それは、どんな手段を使ってでも、信田の死に関する真実を暴き、流星グループの悪行を暴露することだった。彼女が進むべき道は、すでに決まっていた。

お読みいただきありがとうございます。


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