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第15話:「隠された証拠」

陽子は、信田の死の真相に迫るために歩みを続けていた。しかし、その道は日に日に険しくなり、敵は彼女の予想以上に巧妙に動いていた。流星グループの幹部や関係者たちの隠蔽工作が、次々と明らかになっていく中で、陽子は新たな証拠を手に入れる必要性を強く感じていた。


「信田があの時何を見たのか。『車で送ってくれた』という言葉が一体何を意味しているのか。」


陽子はその言葉を繰り返し、頭の中で整理しながら思いを巡らせた。そのとき、突然、後輩芸人である大和田光司から連絡が来た。大和田は陽子が信田の死に関して調べていることを知り、何かを持っていると言って、彼女に会いたいと申し出た。


「大和田、どうしたの?」


陽子が電話を取ると、大和田は声を震わせて言った。


「陽子さん、あの事件当日、信田さんが最後にいた場所について、重要な証拠を見つけたんです。これは、おそらく信田さんが何を知っていたかを証明するものかもしれません。」


その言葉に、陽子は心の中で何かが動き出すのを感じた。信田の死に関する証拠。今まで手に入れられなかった、決定的な証拠。それを大和田が持っているというなら、これは重要な一歩となるに違いない。


「すぐに会おう。どこで会う?」


「地下のカフェで。すぐに行きます。」


陽子はすぐに車を走らせ、指定されたカフェに向かった。カフェの隅で、いつも通り緊張した面持ちで座っていた大和田が彼女を見つけ、手を振った。


「陽子さん、来てくれてありがとう。」


陽子は軽く頷き、席に座った。


「何か重要な証拠を見つけたって言っていたけど、何なんだ?」


大和田は、少し戸惑いながらも、静かに鞄から小さなUSBメモリを取り出し、陽子に手渡した。


「これが、信田さんが最後に録音したボイスレコーダーのデータです。俺、あの時、ボイスレコーダーを仕込んでいたんです。信田さんが何かを話すかもしれないと思って。」


陽子はそのUSBメモリを受け取り、目を見開いた。大和田がボイスレコーダーを仕込んでいたという事実は、予想外だったが、それが重要な証拠になる可能性があると感じた。


「それ、どういう内容が録音されているの?」


大和田は深呼吸をしながら言った。


「実は、あの日、信田さんが最後に乗った車に関して、先輩芸人が関わっていたんです。信田さんが死ぬ前に、先輩芸人が彼を車で送っていた。その時に、先輩芸人が信田さんに言っていたことが録音されています。」


その言葉を聞いた陽子は、再び驚きが広がった。先輩芸人が信田を車で送っていた? それは、信田の死に関する重要な証拠になるかもしれない。


「その音声を今、聞いてみてもいいか?」


大和田は頷き、USBメモリを陽子の手に渡した。陽子はすぐにパソコンを取り出し、そのUSBメモリを差し込んだ。データを開くと、音声ファイルが一つだけ入っていた。陽子はそれを再生し、耳を澄ませた。


最初に聞こえたのは、車のエンジン音と、かすかな会話の音だった。その会話は、陽子にとって衝撃的なものだった。


「信田、君には黙っていてもらうよ。あの件、もし暴露したら、君の未来は終わりだ。」


その声は、陽子にとって馴染みのあるものだった。先輩芸人の矢口正志だった。陽子は息を呑んだ。矢口が信田を脅していたのか? その言葉が、信田の死にどれほど関わっているのかを示しているとしか思えなかった。


「矢口が信田に脅しをかけていた?」


陽子は声を震わせながら、大和田に尋ねた。


「そうです。矢口が信田さんに『黙っていろ』と言って、脅していた。信田さんは、その後、何かを決意したかのように、車を降りていった。その後、信田さんが自殺したと言われているけど、私はそれを信じられません。」


大和田は、続けて言った。


「信田さんが車を降りる前、矢口が言った言葉には、ただの脅し以上のものがあったと思います。矢口は何かを隠そうとしていた。それが、信田さんの死に繋がったんだと思います。」


陽子はその音声を何度も聞き返した。矢口の声に、明らかな脅迫の意図が込められていた。その声からは、信田が暴露すれば命を狙われるような恐怖を感じ取った。


「信田は何か大きな秘密を知っていたんだ。そして、矢口はそれを守るために、彼を脅し、最終的に彼を殺すことになった。」


陽子は心の中で、真実が少しずつ明らかになっていくのを感じた。信田が暴露しようとしていたこと、そしてそれを守ろうとする矢口の必死の抵抗。そのすべてが、この音声データの中に詰まっていた。


「これで、矢口が信田の死に関わっていたことが証明された。次は、彼を追い詰める番だ。」


陽子は冷徹な目で音声を聞き続けながら、心の中で決意を固めた。これで、信田の死の真相に一歩近づいた。矢口が何を隠していたのか、その全貌を暴くために、陽子は再び動き出すことを決めた。


「これが、信田の無念を晴らすための最後の鍵になる。」


陽子はその思いを胸に、再び立ち上がった。信田の死の真相を暴くために、どんな危険も恐れずに進む覚悟を固めた。



お読みいただきありがとうございます。


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