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第13話:「監視の告白」

陽子は桐生と一緒に過ごす時間が増える中で、彼に対する疑念が次第に大きくなっていった。桐生は信田の死に関して、何かを隠している。その直感は、次第に確信へと変わり、陽子は桐生に対して直接問い詰める時が来たことを感じ取っていた。


信田の死から幾月も経過していたが、桐生はどこか不安定な態度を崩すことなく、陽子と一緒に行動していた。彼の顔にはどこか陰りがあり、その目には不安と恐れが見え隠れしていた。それに気づいた陽子は、もう一度、桐生と向き合う時が来たのだと感じた。


「桐生、あなたが何かを隠していることに、私は気づいている。」


陽子が静かに言うと、桐生は少し驚いた表情を浮かべた。だが、すぐにその表情を引き締め、陽子を見つめ返した。


「何を言ってるんだ、陽子さん?」


桐生の声には、少し硬さがあった。陽子はそれを感じ取ると、さらに言葉を続けた。


「信田の死のことだけじゃない。あなたが私を監視していたことも、知っている。」


その言葉に、桐生の顔が一瞬で青ざめた。陽子はその反応を見逃さず、鋭く続けた。


「桐生、どうしてそんなことをしたの? あなたが私を監視していたこと、流星グループから依頼されたこと、すべて知っている。」


桐生は何も言わずに、目を逸らした。陽子はその視線の先に、何かを感じ取った。その瞬間、桐生がゆっくりと口を開いた。


「俺は、信田を救えなかったんだ……」


その言葉に、陽子の心が少し揺れた。桐生は信田の相方として、彼を守りたいという思いがあったことは分かっていた。しかし、その思いがどれほど強かったとしても、桐生が自分を監視し、信田の死に関する真実を隠していたことは許せない。


「監視していたのは、信田を守るためだ。俺は、信田が流星グループから追い込まれ、あんなことになったのが信じられなかったんだ。でも、あの日、流星グループの幹部から言われたんだ。『信田を監視して、彼が暴走しないように見張れ』って。」


陽子はその言葉に驚きと同時に怒りが込み上げた。信田が追い詰められ、あの死に至った理由は、流星グループの圧力と秘密の影にあった。桐生はその重圧に耐えきれず、自分にできることは監視だけだと思ったのだろう。


「それで、あなたは私を監視することで、何を守ろうとしていたの?」


陽子の質問に、桐生はしばらく黙っていた。だが、やがて口を開いた。


「俺が見守ることで、信田がもっと自分を大切にして、あんな死に方をしなくて済んだんじゃないかと思ったんだ。でも、俺は何もできなかった。彼が死んだ後、俺の中でずっとその思いが渦巻いていた。」


桐生は、手を震わせながら続けた。


「俺は、信田を守りたかった。でも、俺はただの相方でしかなかった。何もできなかったんだ。だから、あの時、あんな形で彼が死んだことが、今でも俺を苦しめている。」


陽子はその言葉を聞きながら、桐生の苦しみを少しだけ理解できたような気がした。彼が信田に対して抱いていた気持ち、そしてその気持ちが彼をどれほど追い詰めていたのか。桐生もまた、信田の死に深く関わっていたことは間違いない。


「でも、それでも、あなたが監視していたことは許されるべきじゃない。」


陽子は冷静に言った。桐生はその言葉を聞いて、再び沈黙した。陽子の心の中でも、彼に対する怒りと同時に、少しだけ同情の気持ちが芽生えていた。


「桐生、あなたが信田を守りたかったことは分かる。でも、それがすべてを覆い隠すわけにはいかない。」


桐生はしばらく黙っていたが、やがて低い声で言った。


「でも、陽子さん、俺は信田の死のことを知っている。あの日、信田があの場所で何を見たのか、俺は知っている。彼がなぜあんな決断を下したのか、俺は最後まで分からなかった。だけど、俺はその真実を知っている。」


陽子はその言葉に、心が揺れた。桐生が持っている「真実」が何なのか、その瞬間、陽子はそれを知りたくなった。


「桐生、信田が見たもの、何を知っているの?」


桐生は少し考えた後、ゆっくりと答えた。


「信田が最後に見たもの。それは、流星グループの幹部たちの顔だ。あの時、彼は何かを見ていた。何かを決めた。俺はその時、彼を止めることができなかった。あの時、信田が最後に見たもの。それが、すべてを決定づけた。」


その言葉を聞いた陽子は、桐生が持つ情報がこれまで以上に重要なものだと確信した。信田が最後に見たもの。それは、信田が死に至るまでに何を感じ、何を恐れたのかを示す重要な手がかりになるはずだった。


「桐生、その情報を教えて。あなたが持っているその真実を、私は知りたい。」


陽子の言葉に、桐生は少し迷うような顔をしたが、やがて重い口を開いた。


「信田は、あの場所で、流星グループの幹部に何かを脅された。そして、彼が決めたことは、もしかしたら…彼を守るために自ら命を絶つことだったのかもしれない。」


その言葉に、陽子は深い衝撃を受けた。信田が死ぬことを決断した背景には、流星グループの圧力があったのか。そして、その圧力に従うことで、信田は自ら命を絶つことを選んだのか。


「信田が命を絶った理由、それは彼の選択だったのかもしれない。でも、その選択をする前に、彼が見たもの、それがすべてを変えたんだ。」


陽子はその言葉を胸に刻みながら、桐生を見つめた。信田の死にはまだ明らかにされていない何かが隠されている。その真実を知るために、陽子は桐生と共に歩み続ける覚悟を決めた。

お読みいただきありがとうございます。


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