第12話:「仕掛けられた罠」
陽子は、信田の死に関する真実を追い求める過程で、どんどんと深い闇に足を踏み入れていった。信田の死が単なる自殺でないこと、そしてその死に関与する者たちが裏で手を引いていることは、次第に明らかになりつつあった。しかし、それと同時に陽子の周囲には、彼女を止めようとする圧力や脅迫が強まり、彼女が進む道に影を落としていた。
それでも、陽子は一歩も引かなかった。真実を暴くことが信田のためであり、彼女自身にとっての復讐であることを忘れなかった。だが、その過程で彼女の周りで巻き起こる事件は、予想以上に激しいものとなっていった。
「流星グループの幹部、そして彼らの家族。どれもこれも、信田の死を隠蔽するために使われた駒に過ぎない。」
陽子は、YouTuber「真実探求隊」と共に調査を進める中で、流星グループの幹部や、業界の影響力を持つ人物たちが次々とその陰に現れることを感じ取っていた。彼らの家族にも影響が及んでいることを陽子は理解していたが、それをどう使うかは、彼女の手の内にあった。
「私たちの力を、もっと効果的に使うべきだ。」
陽子は、高橋浩一を中心に構成された「真実探求隊」のメンバーにそう言った。彼女は、自分が今までやってきた調査と同じように、次の一手を考えていた。
「流星グループの幹部たちを追い詰めるためには、彼らのプライベートを暴くしかない。それも、家族の弱点を突く形で。」
高橋は陽子の言葉に頷きながらも、少し警戒心を見せた。
「それはリスクが高すぎる。家族を巻き込んで、今後の活動にどう影響が出るか分からない。」
陽子はその忠告を理解していたが、それでもなお、心の中で決意は揺るがなかった。彼女の目の前には、信田の無念と、それを隠し通すために動く者たちがいる。彼女は、真実を暴くためにどんな手段を使うべきかを考えていた。
「いいえ、これは信田のためにやることだ。彼らの家族だって、隠されている事実を知ったらどう思うだろう?」
陽子は深く息をついて言った。彼女が選んだ手段は、予想以上に大胆なものだった。高橋は、陽子の決意に動かされるように、深く頷いた。
「分かった。じゃあ、私たちができる限り協力する。」
その日、陽子と「真実探求隊」は、流星グループ幹部たちの家族の情報を集め始めた。彼らの娘、息子、配偶者に関するプライベート情報を調査し、どこに弱点があるのかを洗い出した。陽子はその一部を「誘導ミサイル」というコードネームで呼び、実際に家族の個人情報をネットに拡散する計画を立てた。
「これが、私たちが最初にできる手段。もし、これで流星グループが動かざるを得ないなら、次のステップに進む。」
陽子は冷徹な表情で言った。その目には、信田を追い詰めた者たちに対する復讐心が見え隠れしていた。
数日後、陽子と「真実探求隊」は、流星グループ幹部の娘が通っている学校に関する情報を、匿名でネットに投稿した。その投稿には、学校名、娘の学年、彼女の特別活動に関する詳細などが含まれていた。また、幹部の家族が経営しているビジネスについても、情報を暴露する形で拡散された。
その投稿がネット上に現れると、すぐに大きな反響があった。流星グループの名前も、幹部たちのプライベートも一気に拡散し、SNS上で炎上が起きた。幹部たちの家族が巻き込まれ、彼らがどれほど厳しい目で見られ始めたかは、すぐに明らかだった。
「これで、彼らも少しは動かざるを得ないだろう。」
陽子は冷静に状況を見守っていた。しかし、その後、予想以上に事態が急速に進展していくことになった。
流星グループの幹部たちは、陽子が仕掛けたネット上の攻撃にすぐに反応し、家族に関する情報が拡散されることを恐れて、表向きには信田の死に関する話題を避けるようになった。しかし、その裏では、さらに強い圧力がかけられ、陽子に対しても警告のメッセージが届くようになった。
その後、陽子の元に届いたメッセージには、流星グループの「警告」として、彼女のSNSアカウントを監視し、彼女に関する情報を晒すという内容が書かれていた。陽子はそのメッセージを見て、冷や汗をかくことはなかった。
「もう引き下がるわけにはいかない。」
陽子はそのメッセージに対して、毅然とした態度で返信を送った。
「私は真実を知りたいだけです。あなたたちが隠していることを暴くまで、私は諦めません。」
その後、陽子はますます強く、決意を固めていった。彼女の目の前に立ちはだかる障害は確かに大きかったが、信田の無念を晴らすためには、どんな手段を使ってでも突き進む覚悟を決めていた。
その日の夜、陽子は自分の部屋で一人、信田の写真を見つめながら思いを馳せていた。信田の死からはすでに何ヶ月も経過していたが、彼女の心の中ではその痛みが消えることはなかった。
「信田、私は必ずあなたのために真実を暴く。」
陽子はその誓いを心に深く刻み、再び目を閉じて翌日に備えた。彼女の前に立ちはだかる闇がどれほど深くても、信田の死を解明するために進むべき道を歩み続けることを決して止めるつもりはなかった。
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