第11話:「過去の友」
陽子は、信田の死を巡る謎を追い続ける中で、少しずつ周囲の人々が関わってきた。だが、その中で特に重要な存在となったのが、「真実探求隊」というYouTuberグループだった。彼らは信田の死に関する証拠を探し、真実を暴こうとしていた。陽子が彼らと協力する決意を固めた瞬間、彼女はそのグループのリーダーが意外な人物であることに気づいた。
「高橋浩一……あの時の彼?」
陽子は電話越しに聞いた名前に思わず驚いた。高橋浩一は陽子が高校時代に親しくしていた友人で、あの頃は何度も一緒に遊び、笑い合っていた。しかし、卒業してからはそれぞれ別々の道を歩んでいたため、ほとんど連絡を取っていなかった。それが、まさか信田の死を追い求めるYouTuberグループのリーダーとして再び陽子の前に現れるとは思ってもみなかった。
「陽子さん、覚えていますか? 高橋浩一です。」
電話越しの声が、当時の彼と変わらず明るく感じた。その声に、陽子は過去の記憶が呼び覚まされるような気がした。
「覚えているわ。でも、どうしてあなたがこんなことを?」
陽子が驚きつつも尋ねると、高橋は少し笑いながら答えた。
「実は、高校時代からずっと社会問題に興味があって、その関心が高じてYouTubeで活動を始めたんだ。信田さんの死を知ってから、これが自分のやるべきことだと思った。君が調べていることに協力できれば、僕たちの力にもなるだろうと思ったんだ。」
陽子はその言葉に少し迷ったものの、すぐに決意を固めた。信田の死に関する真実を明らかにするためには、仲間を増やし、力を合わせることが重要だと感じていた。そして、同時に心の中で高橋に対して抱いていた懐かしさと信頼もあった。
「分かったわ。あなたたちと一緒に調べてみる。」
その言葉に、高橋は明るく返答した。
「ありがとう、陽子さん。君の力になれることを嬉しく思うよ。」
その後、陽子は「真実探求隊」のメンバーと顔を合わせることになった。高橋は陽子にグループの他のメンバーを紹介してくれた。佐藤仁は冷静で頭の良い情報分析担当、岩崎結は現場取材を得意とし、人懐っこい性格で、皆陽子に対して非常に好意的だった。
「陽子さん、私たちも全力でサポートします!」
岩崎は明るく笑いながら言った。彼女の陽気な性格が、少し緊張していた陽子を和ませてくれるようだった。陽子はその時、彼女が一人で戦っているわけではないことを実感した。
「ありがとうございます。信田の死の真相を、皆さんと一緒に明らかにしたいです。」
陽子は心の中で誓いを新たにし、グループの一員として、真実を暴くための戦いに加わる決意を固めた。
その日のうちに、彼らは集まって調査を始めることにした。高橋が用意した資料には、信田が関わった闇営業の詳細な情報が含まれていた。それらの情報を元に、グループは信田がどのようにして業界の闇に引き込まれたのかを追い、そこから信田が抱えていた問題を明らかにしようとした。
陽子は資料を一枚一枚確認しながら、思い出していた。高校時代、高橋と一緒に過ごした日々、彼が社会問題に興味を持ち始めた理由など、少しずつ彼のことを思い出していった。あの頃、彼はいつも「世の中にはおかしなことがたくさんあるから、それを変えないといけない」と言っていた。陽子は、その言葉を今も覚えている。
「高橋、あの頃の話をしたいな。」
陽子は資料を見ながら、高橋に向かって言った。
「どうしたの?」
高橋は少し驚いたように答えたが、陽子は微笑んで答えた。
「あなたが社会問題に目を向けるきっかけは何だったの?」
高橋は少し考えた後、ゆっくりと話し始めた。
「実は、大学に入ってから、ボランティア活動をしているときに気づいたんだ。社会には、表に出てこない苦しみや不正がたくさんある。自分の力で何かを変えられるわけじゃないけど、少なくとも声を上げることで、その問題を知ってもらえることはできる。君が信田さんの死を追い求めているように、僕たちもこの仕事を通じて、何かを変えたかった。」
陽子はその言葉に心が温かくなるのを感じた。高橋は、昔から変わらず正義感の強い人物だった。そして、彼の周りには同じような思いを持った仲間たちが集まっていた。
「だから、信田さんのことも無駄にしたくない。君の手伝いをすることで、何かを変えられるかもしれない。」
高橋の言葉に、陽子は深く頷いた。そして、彼女はもう一度、信田の死の真実を暴く決意を新たにした。
「ありがとう、高橋。あなたと一緒に真実を暴くことができて、私も嬉しい。」
その後、グループは信田が関わった闇営業の証拠をさらに掘り下げ、少しずつ事実に近づいていった。ネット上でも、彼らの調査が注目を集め、信田の死に関する議論が活発に行われるようになった。しかし、その中で一部の人々は陰湿な批判を繰り返し、陽子を攻撃し続けた。それでも、陽子は決して挫けなかった。
「真実を明らかにすることが、信田のためにもなる。」
陽子はその思いを胸に、毎日を全力で過ごし続けた。彼女が進む道には、どれほどの危険が待ち受けているのか分からなかった。しかし、信田の死の背後にある真実を暴き、彼の無念を晴らすことが、今の陽子にとって最も大切な使命であることは間違いなかった。
その日、陽子は再びSNSをチェックしていた。新たに届いたメッセージには、またもや「黒いヒマワリ」のアイコンが表示されていた。
「すべては、君が思っている以上に深い。」
そのメッセージを見て、陽子は一瞬震えた。しかし、同時に彼女の中で確信が強まっていった。信田の死に関わる全ての真実を知るためには、この「黒いヒマワリ」と関わる何者かを突き止める必要がある。その答えを手に入れるため、陽子は再び立ち上がった。
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