勇者の理由
異世界から現代日本に転生してしまった悪魔の王子アレス。人間に転生し魔力も魔法も失ってただの人間になってしまっていた。そこに同じく転生してきた勇者を名乗るライオンハートと出会い魔力と魔法が存在する事を確認する。
二人はサタンの転移魔法を使えば元の世界に戻れるかもしれないと希望を持つのだが・・・・
そこでライオンハートが勇者になった理由が明かされる。
魔力判定に反応した植物はドクダミのほかに、セージ、ローズマリーというものらしい。
こんな魔力のある植物を世話しながら煎じてお茶なんか飲んでるんだから、ばあさんは相当な魔力を持つ魔女かと疑ったがまったく魔法は使えなかった。
魔法の習得をしていないからまぁ当然かもしれない。
だが・・・オレも使えなかった。
あるだけのドクダミ茶を鼻をつまみながら飲んでやったのにだ。
まじかよ!なんでだよ!!
チャポーン。
「しかし、こんな小さい家でも風呂があるんだな。」
「そうだね。僕らの世界では王族でもなければ自分のお風呂を持つなんて考えられないよね。」
「って!なんで一緒に入ってんだよっ!!」
ライオンハートが向かい合って入っている。
「ええーいいじゃないかー風呂ってみんなで入るもんだろ?」
「まぁ魔王城下にも公衆浴場もあったからな。魔族も人間も風呂は他人と入るのは普通か。」
「そうだよ!君には興味があるしね!」
ライオンハートが近づいてきた。
「おっおい!何をするっ!!」
コイツ!オレの体をまさぐりやがるっ!!てコイツあっちなのかっ!!!???
「アレス君いいからだしているね。」
ザバァ!オレは立ち上がった!!コイツ危険だ!!
「あれ。それはちいさいんだね」
ガバッ!オレはライオンハートの眼前に露になってしまったそれを隠した!!
「小さくねぇ!!これは一般的なサイズだ!!」
ザバァ。ライオンハートが立ち上がった。
「いや、ホラ。」
オレのそれとライオンハートのそれは同じそれなのかと目を疑うほどの差があった・・・
「・・・・・ほん・・・とだ・・・ってお前がでかすぎんだよっ!!!」
「え・・そうなの?」
「そうだっ!オレは小さくない!!一般的なんだ!!」
そうだ。決して小さい訳ではない!一般的なはずだ・・・・他人のは初めて見たけど・・・
側使えにも心配する必要はないって言われたんだ・・心配する必要のないサイズなはず・・なんだ
「本当に人間なんだね。」
ライオンハートは湯船に戻った。
「なんだ・・・」
「悪魔の称号をもつ魔王ディメトリアスと女王ノクトーンの子。第一王子アレス。そして魔王国レムリアの次期王・・・だった。」
オレも湯船に戻った。
「お前勇者の称号を持っているって言ってたな。」
オレは同郷だってことで浮かれていたがライオンハートは勇者の称号をもっていると言った。
「悪魔が転生して人間になったっていうから本当かどうか確認したくってね。ごめんね。」
勇者の称号は魔王の加護をもつ闇のドラゴン『ウンブラ種』を倒す事で得ることが出来る。
魔王の加護が反転してその人間を加護するようになるんだ。
同時期に複数体存在するから複数人勇者がいることになる。
どちらにしろ人間がドラゴンを倒すのは普通不可能だ。
だからライオンハートが本当に勇者の称号を持つならばとんでもない奴という事になる。
つまりいくら転生して元の力を持たないとはいえ人間としてドラゴンを倒すほどの強さを持つ。
「そうだよ。魔王ディメトリアスを倒したくってね。」
オレは体が強張った。
「なんで・・・魔王を倒したいんだ。」
ライオンハートの目が強くなった。
「不思議なことをきくね。まあ君は悪魔だからね。魔王を倒すのは人類の総意だ。サタンとベルゼブブがいなくなってから人類の脅威は魔王ディメトリアスを頂点とする魔族だ。」
「それがウンブラを倒すほどの修練をした理由か。」
「・・・・・」
ライオンハートはオレをじっと見ている。
「魔王ディメトリアスに家族を殺された。村ごとね。」
まずい!この狭い浴室では逃げられない!攻撃を防ぐにも近すぎる!
「同じことをしてやりたい。家族を皆殺しにして、悪魔を国ごと滅ぼしたいんだ。それが・・僕が勇者になった理由だ。」
オレは・・魔王ディメトリアスと女王ノクトーンの子。悪魔の称号を持つ第一王子アレスだ。
「ライオンハート。・・・・オレは魔王国レムリアの王子アレスだ。ばあさんには元の家に帰ったと言っておいてくれ。・・・さぁ殺れ!」
オレは覚悟を決めた。
「ぶはははは。何を言っているんだアレス!」
「な・・なにって・・お前の目的は・・」
「人間になった君を殺してどうする?」
「だけど・・」
「それに僕も元の世界に戻りたい。」
「ライオンハート・・・」
「君がサタンの世界をまたぐ転移魔法を見つけて僕は元の世界にもどる。」
ライオンハートは手を伸ばしてきた。
「フッ。おう!サタンの転移魔法を見つけて元の世界に戻ってやる!」
オレはその手を握り返した。
「二人で力を合わせればきっと見つかるな!」
「見つけよう!!それまでは君を殺さないよ。」
「えっ?・・・・」
なんだよ!やっぱ殺す気なのかよっ!!
チャポーン・・・・
天井が低い。
部屋も狭い。
野営のようにマットを敷いて寝るなんてな。まあ寝心地はいいけどな。
しかし木でできた家だ。こんな家、魔物の襲撃で一発で壊されちまう。
だが、この世界は魔法がない代わりに科学が発展している。
人類の歴史書もとても興味深い。元の世界と全く違う進化をしている。
人類同士での戦争もあるようだがこの日本という国は平和らしい。
魔法陣の起動と魔力の存在、そして魔法が使えることはわかった。
元の世界と同じように魔法が使えるかはわからないが何かしらできるはずだ。
まずは、魔力を大量に扱えるようになる必要がある。
ばあさんに聞いたら大量の植物を煮こめるような鍋はシチューに使った鍋だけらしい。
腹いっぱいでこれ以上食えないから明日の朝シチューを平らげて魔力を抽出する実験をしよう。
それに、サタンの転移魔法だな。サタンの資料、痕跡なんかを辿ってみるか・・・・
見当もつかないが、あの教科書類をもっと調べてみよう。
やることがいっぱいあるな・・・・
こっちに来たときは訳が分からなかったけどどうにかなる気がする!
ライオンハートもいるしな!
オレは隣で寝ているライオンハートに目をやる。
「なんだい。アレス。」
ライオンハートは気づいてこちらに顔を向ける。
「イヤ、これ変だよなと思って。」
「なにが?」
「悪魔と勇者が一つの部屋で寝ている。」
ライオンハートは天井に顔を向ける。
「そうだね。こんなことが起こるなんて元の世界では考えられなかったね。」
「そうだな。こんなことが起こるなんてな。」
・・・・・・・
「こんなことが起こるなんて!!??」
二人は起き上がって同じ言葉を発していた。
「アレス!元の世界で君にいったい何が起こったんだ!?」
「ライオンハート!お前に何が起こったんだ!?」
オレたちは元の世界で何が起こったのか。お互いの知っている事を話すことにした。
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