自称悪魔の王子
「ゾラン・・・・オレは生きている。」
手を握り締めてみる。
「そうだ。生きているんだ。人間になっちまったけどな。」
「ねぇー。お茶を入れたよー。おりてきなー」
「おお!ばあさん気が利くな。ちょうど一息つきたいと思ってたんだ。」
ズズズ・・・・ぐばぁーーーーー
「おいおい!全部吐き出すんじゃないよっ!」
「ばあさん。これスゲー匂いすんな。なんて茶だ?」
「ドクダミ茶だよ。匂いはきついけど体にいいんだよ。」
ばあさんはオレの吐き出してドクダミ茶を掃除しながら言った。
「どくだみ?」
「年を取るとね。お茶にも気を遣うのさ。自家製だよ。ほれ。庭にあるだろ。」
ばあさんが指し示した先に
「ぬおッ!!」
どう見てもたちの悪い植物のジャングルが広がっていた!!
何だこれ・・・庭なんか気にしてなかったから今まで気付かなかったけど色んな植物が勢いのままに溢れているな!
「ばあさんが育てているのか?」
「趣味さね。土いじりをしていると穏やかな気持ちになるんだよ。」
「穏やかというかなんか獰猛な感じだな。」
「ホレ。その白い花がドクダミだ。」
「あれがどうやってお茶になるんだ?」
「葉っぱを乾燥させて煮出してお茶にするんだ。」
「ふーん。薬草みてえなもんか。」
「薬草?まあそうだね。薬草とかハーブとか色々だね。」
オレはカップを置いた。
「なあ。ばあさん。人を殺したいほど憎んだことはあるか?」
カチッ
ばあさんがカップを置いた。
「なんでそんなことを聞くんだい?」
「お前たち人間は仲間でも平気で殺すか・・」
「有るよ」
「あんのかよっ!」
オレは思わずのけ反った。
「ま。人間長いこと生きてりゃいろんな事があるさ」
「仲間を殺しちまったら戦力が落ちるだろうが。」
「戦力?」
「そうだ。俺たちの場合は魔王様に忠誠を誓った魔族同士で殺すなんて事はありえない。」
「ああ。悪魔の王子って設定だったね。」
「設定じゃない!」
「それは魔王様がいるからじゃない?」
「魔王様が?」
「みんなが魔王様を信じているんだろ?」
「当たり前だ!」
「信じるものがあるってのは幸せな事なんだよ。」
「ほあぁ・・・」
「お茶お代わりするかい?」
ばあさんがお茶を入れに立ち上がったので
「いやいい。こんなまずいお茶飲めるわけねえだろ。」
オレはその場を切り上げて外に出ることにする。
「ばあさん。そこの広場なら追われることはないんだよな?」
「公園かい?まぁた実験かい?」
オレがこの世界に来た直後警察?に追っかけられて大変だったからな。アイツらオレが何言っても通じないし。
「そうだ。あんた名前教えてくれる?聞いてなかったよ。」
ばあさんに言われて気づいた。そういえば昨日からばあさんに世話になってから名前名乗ってなかったな。
「オレは悪魔の王子!アレスだ!」
「アレスね。夕飯までには帰ってくるんだよ。
今日はシチュー作ってあげるよ!」
「おう!夕飯までには帰る。大体日没だよな?」
「大体そうね。」
・・・シチューて何だろう?・・まっ楽しみだな。
「よし。」
この公園は森と池があるし見晴らしもいいから森林魔法や水魔法の実験も出来る。素材採集にも都合がいい。
オレは公園の地面に大きな魔法陣を描いた。
召喚魔法に使うサイズだから5メートルぐらいか。
魔法陣の大きさは使う魔法の強さに関係する。
乾電池を魔法陣のエネルギー吸収部にブッ刺す。
パンパン
オレは砂を払って呪文を詠唱する。
「闇の奥深く、権力の源よ、我が呼び声に応えよ。」
フィィィィン
魔法陣が起動した。
よし。ここまではさっきと一緒だ。
電気を魔力の代わりに使おうとしたが魔法陣の力が弱くて力を吸い出せなかった。
魔法陣の大きさはその魔法の強さに比例する。
この魔法陣はさっきの約20倍の直径だ。
シュオォォォォ
4本の乾電池から電気を吸い出す。
順調だ。やっぱり吸い出す力が大きい。ここからが問題だ。さっきはここで電気が魔法陣に拒否されて止まってしまったんだ。
ブオン
大丈夫だ!機能している!!よし!
「冥界の門よ、この世界へと開かれ!
我、闇の王子が命じる、血と火により新たな道を切り拓け!」
よしこれはいけるぞ!
ゴゴゴゴゴ
「デモニック・ゲート、永遠の絆をもって今、解き放たれよ!」
これで魔界に帰れる!!!
「よし来い!デモニック・ゲート!!」
ブッンンンン・・・
「あれ?なに?・・・」
魔法陣から光が失われた。
「と・・・止まった・・」
ドン
オレは拳を地面に打ちつけた。
「出来る・・・絶対に出来る。」
確信した。一歩一歩進んでいる。この世界と魔王国には共通点がある。この世界のことわりに従って魔法に力を与える事が出来るんだ!
「魔族魔法か。」
後ろから声がした。
振り返ると銀髪の男がいた。
「お前誰だ?魔法を・・魔族魔法を知っている。」
「君と同じだよ。悪魔の王子アレス。」
「オレを知っているのか?お前も魔族か?悪魔なのか?もしかしてオレと同じく転生して来たのか??」
嬉しさのあまり駆け寄った。
「そうだ。僕は魔王討伐を目指している勇者の称号を持つもの。勇者ライオンハートだ。」
「ゆ・・勇者?・・ライオンハートォ?」
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