序章~始まり~2
知らない間に契約していた依頼。最悪ですねまったく。それはもう諦めてました。過ぎたことを何時までも引きずるより前を向いた方が賢明かと。それに何か面白いことにも成りそうですし。
さてこの依頼。内容が内容なだけに慎重を幾重に重ねても足りないくらい動かないと後悔することは確実だと判断しました。それと。
対象が曖昧というより不明瞭で、その言葉の意味を先に調査しないと始まらないというのは理解していました。そして何処にいるのか解らないので其も調べないとでしょうか。
さて。
『ある存在』とは何を指しているのでしょうか。
『ある存在』は目に見えるのでしょうか。
『ある存在』は動くのでしょうか。
『ある存在』は話せるのでしょうか。
『ある存在』が苦しんで悲しんで絶望しているのでしょうか。それとも笑っているのですか。
『ある存在』は大きのでしょうか。それとも小さいのでしょうか。
『ある存在』は何処に居るのしょうか。
それはそれとして一番始めに思考しないといけないのが『ある存在』は実在しているのか。この世界に。
嫌な感情が突き動かすように正直なところ。
会いたくないなぁ。
と、心で呟いていたと。
しかしですね。
「おや、会いたくない相手でもいるのかい。」
この時、不意の返答に無意識で変な声に言葉を出していたと自覚して、即座に否定しておきました。
したよね。狼狽えて変な言葉にならない音を出していたとか。無いよね。
でも、怪しむような顔をされてたし取り繕うように軽く言い分けにならない言い分けをして話を区切ったかと思います。
さてさて話を戻しまして。
そう問題が生じていました。
悩みの種というやつですよね。
悩みの種とは。
島に侵入する存在達。
そう現在居住している島。桜鈴島を自分達の思い通りにするために送り込まれた。
創作者。
気づいたのは些細で更に小さなこと。
偶然か必然か、判断できませんけど。
でも詳細に調査して島の護りが穴では済まされない脆弱すぎた事が露見しました。
露見と云っても世界にではなくて一部の関係者にですよ。
まあ確かに入る方法は決められた道しか無いですが。
その手続きには大きな穴が居座っていて防衛面では無いに等しく。だから警戒の薄くなっていたこの島は、露見した時に防護作の一つとして海域へ等間隔に発信装置という網を設置したのですが、正かですよ。起動と同時に感知して、派遣すると複数の不法者を含めた中に創作者が紛れ込んでいたらしく別に捕らえられていました。
この時の調査という形によれば、これまで数えられない規模で創作して仕掛けていたとか。
それでこの時点でですが。その1日の過去を上回る数を十は超えるでしょうか。誰かの直感ですか。助言だったかも知れないですけど。
これは何かが在るのだろう。と。
でも不足した情報を補いたいためと現状を把握するために中央への情報開示か提供を申請していましたが返答すらありませんでした。
可否でもあるなら次の手立てを考えるのですが、返答なしというのは行動に制限が付いてしまいます。
下手なことをしてしまうと不利になるのが此方側。
なのでこと時点での可能な範囲で対応をしていたのでした。
その一つが情報元の真偽不明な漏洩の伝播。
まぁ全て偽りの囮話というものですが真実なんて一切含めてない偽話。多少は真実味を持たせるために有り得る手前までの話を盛り込んでいましたけど。
これは関わる方々に全て確認して幾つかを修正して流しましたよ。
有り得るとは何かと言うつもりないですが、それはもしかしたら、仮にですけど。存在していたなら。世界の根幹を反転させる程の威力を持っているのでしょうか。
でも嘘ですからね。
真実無き真っ赤な偽物です。
なので賢明な組織とか個人でも慎重に調査したら引っ掛からないだろうと。そう踏んでいたのですけど、どうして、こうも。襲来頻度が更に高まったのでしょうか。
馬鹿ですか。阿保ですか。そうとしか言えないし出来ない頻度で、捉えた存在が全て似たような答えを持っていると考えていたのですが、どうしても答えに辿り、近づけないのですけど。
はぁ、乾いた言葉しか世界に放てませんね。
正直な話。この時は。もう眠りたかったです。不眠での作業と平行して様々な事をしていたので。普通に子供にさせる事ではないでしょうに。
えとえと、それでどうなりましたけ。
そでした。不法者には百の処置と簡単な検査とを踏みにじる形をもって吐いてもらいました。
言葉ではなく、残した器である身体にですけど。
普通にあれを直視していたなら心から楽しい悲鳴を聞けていたでしょう。
誰の。とは考えませんけど。
で、どうにか収集した結論が。
あぁ。何か有名な人、達が、来るとか。何、とか。
あぁあ恥ずかしいなあ。
考えていた偽の情報とは関係なかったのね。
無駄な仕事をしてましたか。そうですか。
はぁ。時間を返してよっ。
しかしですね。その有名か無名かは知りませんけどそれと島に関係在るのでしょうか。
あるのでしょうね。あるはずです。
後で解ったのですが近い内に公表される事らしいのです。
興味ないので忘れてましたけどね。
あの時まで。
で、話を戻しますと。それだけの目的であれ程を割いたというのが信じられませんので、詳細を調査しました。
すると学園から。
細かく言うなら学園長から呼び出しがありましたね。
その辺りは一騒動というより悶着かな。そういったのがありましたよね。
今回の話に関係ないと思いたいですけど。
少しは掠っているのでしょうか。
知らねえですけど。
時間にして午前だったかと昼に近かったかも。まあ。それでも。この時は。
圧し掛かる気分を払い除けられず、僕は廊下を歩いていました。
学園長からの呼び出しも在りましたけど、最後の提出物を手渡しで行うために来ていたんです。
この時はそれを終えて学園長室へ向かっていました。
提出物に関しては滞りはなく簡単に手続きを済ませて幾つかの話をしてから別れました。
向かう途中で端末が振るえたのです。
そう振るえていたのです。
無視して向かっていたのですが、何度も振るえては止まるというのを繰り返したので諦めて端末を見ると。
今でもお腹から怒りが込み上がりますよ。
始まりから喧嘩を売ってきてましたね。
《入金は完了しております。しかしながら進展が見られない場合、例外無く資産の一部をもって補填させて貰う事となりますのであしからず。これは一度目の忠告と考えてから返答をお願いしたい。》
頬が細かく動くのを認識していました。
その上での返答でした。
こう返しました。
『返答したとしても資産とかは没収の方向で調整されるのでしょう。最終的には。というよりもうしている。ていうのが正しいのでしょうか。なればこそ此方も必要経費として[隠殺の啓蒙]を用意してもらいたいのです。それと[変わらない代わり]もお願いします。』
《ほうっそれを何処で知ったかはこの際不問としましょうか。面白い。どういう用途かは知りませんが、責任払いは自己で願いたいなと。》
『ええ、責任払い誰かが負うのでしょう。では用意をお願いします。』
《はは、了解した。》
直後に手続きが完了した事を知らせる。
開くと『《完了と了承を得たので転送する。健闘を、祈らないな。はふはは。》』
端末を閉じて仕舞って。
息が詰まりそうでしたね。
そして到着して扉の前に立ち呼吸を整えて数回叩いたけども応答が待ってもなく。傾げて暫くすると突然勢い良く開いて複数の手に掴まれ強引に引き込まれました。
胸ぐらを締め上げられながらだと思われ、更には勢いをもって仰向けに倒されて、手足を壊しに掛かるかのような力で掴まれて床に固定され、頭に何か硬く柔らかい何かが触れました。
全身の痛みと頭に触れる何か。
この時、瞬時で確認しようも引き込みと同時に視界は何かで塞がれていたので解らなかったです。
「良く、来られたな。君は何をしたのか理解しているのかな。していないなら。その足りない思考を巡らせて今理解しなさい。」
んんん。これも意味不明であり返答を要したとしても迷いますよね。
「君は。世界府庁直轄機関を知っているかね。」
素直に答えました。否定の意味で。
「そうか。」
何故かの静けさ。
「その中でも異質である不均等から君への指名依頼なのだが何か心当たりは無いのかね。」
あ、続けるんだな。と。
それと答えは。さあ。だったかな。
「はっ。知っていて白を切るなら愚行と言いたい。」
そう言われてもねぇ。と小声で答えました。よねたしか。
「それではこの依頼が何か答えてみよ。」
答えてみよ。と言われても、内容を知らないというか見えないのに答えられません。と返答したと思うのですが。違っていたかな。
何か、直後に腕をへし折られました。うぐ。今思い出しても痛い。
突然で前ぶれなく行われた抉いもので認識が遅れて痛みが折れた部分から大きく、そして全身から嫌な汗が吹き出てきました。
まあ普通に絶叫しましたよ。痛かったですし。
学園長の表情は侮蔑と屈辱が同居してたと思います。見えなかったので。
それでも。
うん。理不尽っっっっ。
その依頼内容を聞かせるか、見せてください。と涙を流しながら聞きました。
と押さえていた一人が見えるように目隠しを取って端末を見せてきました。
うん。視たことある文面でした。
正確には近い文面でした。
それはある調査をしろ。という拒否権のない命令指示書。最期には連盟というのですか。多数の人物の直筆で記してありましたね。誰一人知りませんけど。
簡単に言うと。関連施設を回って別項にて関連した調査をすること。報酬は現物支給とする。
だったかな。
現物支給が一番嫌な報酬ですよね。
これは普通に大変だし。使えるかどうかも判らない物を報酬として支給されても扱いに困ります。なのでやる気が落ちていきますよね。
そして悩んでも意味はないので当然ながらそれに自分の名前を書いて送りましたよ。
なんだろうなぁ。平穏無事な生活が、又遠退いた音がしたよね。
はは、は。
でもさ。どうしてか、な。学園長含めた全員の表情が驚きと笑いに呆れ顔だったよね。なんでだろ。
折られた腕をそのままに簡単な治療さえされず部屋から出て行けっ。と怒られながら出ていかされ、腕の痛みと戦いながら廊下を歩いていると。
そうでした。見知った顔を見て、逃げました。
ええ。醸し出す雰囲気はどれ程離れていようと鬱鬱と向かってましたよ僕に。なので逃げたのに。
追いかけてきました。
形的には追い詰められる様に四方を囲まれ観念しました、よ。
目がすんごい。据わってたような。
そんな表情を僕に向けながら近づいてきた。
身構えていると。1つの何か。何だったかなぁ。そうだ画面を見せてきたんですよね。
何の画面でしたっけ。
忘れました。たかが。悪意ある文面と次々に流れる搦濁な映像と画像でしたか。
驚かない。
いえ否定します。驚きはなかったかと。選ぶなら。狂気にして狂おしい喜び。
くはっ。くはかか、くかかかか、かか。それは正に。誰にしても絶望なもの。
でも僕にしては得るものない淡白な平行な単純な平常心。
言葉にしたのは。
「で。」
という1つ。
瞬間にその顔は悲しさ二割。怒り三割。後は知らない。
「そうだ。渡されたものは確実に渡したよ。あれで良かったのかは、知らないけど。」
「そう、か。だから。」
その先は声が小さくなっていて聞こえなかったけど、聞く気もないからどうでもですけどね。
「で、どうしたいのですか。君は蒔ける種は蒔いたんでしょ。なら良かったじゃないですか。それと、君に対した約束、じゃなかった。まあそう言ったのがあるから取り次いで欲しいんだけど。」
「ぐ、誰にだ。」
「後で知らせるよ。」
「わ、わかった。だが、だ。それとは別に此だけは教えろ。」
「え、やですよ。何かを聞きたいのか知りたくもないですが、僕と君には渡りきれない渡るのも拒絶される谷が存在しているんだよ。飛んで越えようとしても拒絶は虚無となって全てを飲み込むだろうね。降りたとしても登ることは不可能だよ。おや怒りのままはお勧めしないよ。では、行って良いですか。」
何かを言おうとしていたけど何も無かったので、そのまま別れました。
でも背後から。
「お前は去年にやらかしているんだ。周囲に気をつけるんだなっ。」
と判らない事を言われてもあえて軽く手で返答し歩き続けていました。
返答に困りそうな質問をされそうでして、相手に反論させないよう不理解な言葉を用いていましたが、実際には何を聞こうとしていたのか理由は知りません。
ですが、彼の忠告はとある場所で現実のものとなりました。
そう『周囲に気を付けるんだな。』という言葉はその意味通りに僕の前に立ち塞がったのです。
本当に迷惑な事です。
誰の差し金ですか。思い当たりすぎて原因も根幹と根元が錯綜してますね。
もう平凡とは遠くの位置に立っている一種の諦めに近い感情を浮き上がらせ、表出するようで逆に冷静であり感情を底に落として俯瞰するように相対していたと思います。
ふふん。これは一つの解消に成ったんじゃないかな。相手全てに申し訳ないと。思いませんね。
それはそれとして。
成る程ね。