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一章〜夢か記憶か記録か〜

果てのない闇色の空間に幾つもの彩られた光が浮かんでいた。

近くにあった中の一つに触れる。


凍結された計画の中に人体向上を謳ったものがあった。

最終的には一つの弊害を解決できず凍結処分となってしまったが。

しかし他にも向上方法はあり諦めるのは早計すぎる。

そう訴えたが上に届くことなく握りつぶされ別の計画が採用された。

後で知った。周囲の大多数が敵対者側に回っていた上に手の付けようがない程に根回しされ挽回も出来ることなく泣き寝入りしかなく。更に相手は上の何人かを抱き込んで盤石にしていた。

持っていた様々も強奪の形で取り上げられ。

表向きは譲渡という形になっていたが。

手には何も残らず。

そして畳み掛けるように理不尽に晒され最後は非ぬ疑いを被せられ永久追放処分となった。

まあ尽くした物事には全て注いだし、やりたい事も無くなってきた。これ幸いに良い機会だとして不信招くことなく無抵抗で去ることになった。

まあ無抵抗なのはそれまでの理不尽が原因でもあったが。

去り際に見た完全勝利に酔いしれていた表情は呆れるしか無いし取り巻きも同様に。だがこれまでの負け顔を見せずに言葉には形容し難い表情を見せて姿を眩ませた。

さてアレ等は何を思ったかな。


これは夢だ。

と言いたいけど。それにしても現実感がある。

でも。

知らないけど知っていて知っているけど知らない。

誰かも知らないけど。理不尽を受け入れるというよりそれ自体が流れに沿って最後は関係する何かを後腐れなく捨てるまでが計画なのだと。

そう思えた。

思えたけど。

自分なら絶対にしないししたくもない。

したとしても後悔しか残らない。

この行為はこれまでの行動や生き方考え方全てを否定するもの。

自分自身の何かを捨てるようなものだ。

そんなの絶対に嫌だ。

自分で自分を終わりにするなんて。それは世界から弾かれるに等しい。

んぐ。

元に戻っていた。

気分は重い。


又。光が近くに。

触れる。


幾つかの記憶を観ていた。

しかし別々と思ったものは全てが同じであり同じ結末を迎えていた。

長いようで短い時間の中でこういった事を何度も繰り返して目的の無いような行動に心こ削り取られていく。

何度も立ち上げて裏切られ。それでも命までは取られない。そんな事を数えられない程に繰り返して。満足も不満足もあって尽くした最後にはそれぞれに残していた集積装置。その内部。

最後の組織追放から暫くの時間経過をもって忍ばせた破壊装置起動は世界に対する絶望。そへが引き金の合図でもあり集め尽くした情報全てを消去するように組み替えていた。

情報集積装置は経年劣化で処分されている初期型も在ったがその初期型は雛形として様々に応用が利くと喧伝していたので初期の組織内には分散という形で残っていた。

そして造った全てに破壊装置は適用され例外一つ漏らさず痕跡すら残さないように組み立てていた。

これが情報集積装置を媒体にした仮想情報の消去法。

ては現実の消去方法は。

それも抜かりなく。色々な方法で印刷された書類等は埋もれさせていた短命種と呼ばれるものを改良した極小の見えない存在を施設内の様々な場所に隠し破壊装置起動と同時に覚醒するよう調整。全ての情報を食い尽くすと役目を終えるように設計していた。

そうして記録媒体は仮想も現実も消去し終えると痕跡を残さないように世界へ同化するように設定し全ての情報が世界から消えていった。


記憶が終わると元の空間に戻っていた。

光は無数にあるように見えるが。


身体が精神疲労に侵食されているからか動かせない。

しかし考えることは出来る。

都合何十もの組織を立ち上げては裏切られ追放され奪われる。

その果が痕跡の消去。

意趣返し。反乱。復讐。

様々な言い方はあれど結果を見るとそれは奪った者に対する金銭要求。とも言える。

現実的には金銭は支払われていないが。

しかし忘れてはならない。

それら全てを織り込んだ目的のための組織立ち上げだったのだから。


光が近づき額に触れると意識はまた光の先へ落ちていく。


疲労が蓄積している。動く気配すら。ない。

見る記憶全てが嫌な終わり方だ。

時間差で落としているけどそれまで心がすり減っていく。

そう。時間差。

それは長い年月を要して前兆もなく全てが消える。構築した奥の奥の更に奥の底より先に潜ませた情報消去装置。 一度起動したら留められない上に止まらない。

勿論、主電源を落としたとしても内部で進行して消していく。

そうして多大な損害を被って奪ったものは全ての責任を被せられ地獄へと落ちる。

そんな装置を設置しも誰も気づかないように細工され気づいたとしても多数の奥の先の先。更に先を見つけなければ何もできない。見つけたとしても取り外す事も出来ないように組み立てている。

それを一度に一斉に一切を漏れることなく壊して砕いて潰して消して何も残らない。

でも

ああ。

追放された瞬間は心に小さな穴が確実に出来ていって何時かは塞ぎきれない程の大きさになるだろう。

残ったのは結局。

虚しさだけで終わる。


光が一つ近づいてくる。

動かない身体でも嫌な音を出しながら腕は何とか動いた。

触れる。

どうせ。拒絶する事も。出来ないのだから。

光に包まれ又()()()()に落ちていく。


見開いた目に映るのは。はて。見たことのない部屋だった。

記憶にも夢にも記録にもない景色。

此処は何処か。動こうとして動かせない。当たり前か。これは何時かのなにかの過去の時点。

世界に刻まれた記録。

だけども可笑しい。これまでと何かが異なっている。

根源というか根幹というか。何か別のような。

そう考えながらも身体は意識と関係なく動く。

これは追体験のようなものでこれまでと同様。

しかし。何かが違っていた。


部屋を出て廊下を歩いて何処かの部屋に入ると沢山の画面には何処かの映像が映されていた。

しかし記憶にない。見たこともない。

その映像には進行する戦闘が。違う虐殺が繰り広げられていた。

懇願する女性は頭をかち割られ頭の中を露出させながら前に倒れながら漏れる中身。暫く痙攣した後動かなくなり、側にいた小さな子供は縋り泣き動こうとせずその後ろから無慈悲に腹を串刺しにして持ち上げ勢いよく放り投げると頭を貫通させて地面に放置した。

酷い。

何の映像なのか。

その様な映像が全ての画面に映し出されていた。

吐き気がする。

だが入っている人物の感情は平坦で。

感情が読み取れない。

こういうのは普通、感情が流れてくるもの。

なのに、感情が無いように何処までも平坦だった。

無い喉が鳴る。

次々に移り変わる映像の全てが陰惨なものだった。

一人の命を奪う為に複数人で取り囲み続けられる残酷な行為。

性別種族年齢関係なく根絶やしにする様に蹂躙されていく。

声は聞こえないがその苦しみは見るのに憚れる。

だが目を離さず見続けている。

感情はないに等しいが見続けている。

なのに罰を受け入れる様に動かず見ている。

無い口に痛みがあった。

勘違いしていた。この入れ物は感情が動かないのでは無く無理やりに抑え込んでいたのだろう。

唇を噛み締めている。

唇は抉れるように。

血が流れているだろう。


長い時間映像を見続けていたが満足したのか違う決意したんだ。だから全ての装置を壊して部屋を出ていく。

何かの願掛けのように後戻り出来ないように。

出て悪意を感じ咄嗟に反撃をして鈍く嫌な音と共に壁に叩きつけられる相手は動かない。近づかず持っていた武器で両手足を使い物にならなくする。

質問すると相手が何かを言って命を絶った。

聞きたくもない言葉か。

或いは。


長い廊下を歩き続けている。何度か昇降機を利用して地下へ降りているが。降りた先には一本の何処までも長い廊下だけ。

何度か繰り返していると行き止まり。

左右に扉は無く。

天井は明かり。

床にも蓋らしきものは無い。

しかし手を正面の壁に着けると光が手の形を取り上下左右に何枚も開かれる。

多重の防壁なんだろう。と推察しながら壁の向こう側を歩いていく。

端末を取り出している感覚があるが目線は廊下の先を見ているため画面は見えない。しかし伝わる感覚で何かの連絡。もしくは別の事をしているのだろう。

そうして端末を仕舞い。扉の前まで到着した。

呼吸を整える。

意を決して扉に触れようとして勝手に開いていく。

この瞬間の感情は無から様々な感情が溢れ、限界を超えている。しかし踏みとどまっていた。

まだ。

その時には遠い。

抑えながらも歩き出す。

目的のために。

果たすために。


長い長い通路を歩き不思議と疲労を感じずに到着した。

その場所には簡単な扉。

取っ手に手を掛けて押しても動かず引いても動かず。左右に動かしても動かなかった。

不意に言葉が出た。無意味と思いながら。


上げてみたら行くのでは。


独り言だった。

だが、憑依した身体は従うように取っ手と反対側も押さえて上に上げると。

扉が開いた。


嫌な感じがした。

何かを変えたような気分を味わいながら受ける感情は喜び。

一塩の喜び。


扉の向こう側へ歩いていく。

身体が全て入り切ると扉は落ちて鍵が閉まる。

これまでの記憶が入ってくる。


おぉう。またなんと言えば言いのか困る記憶。

そして最終目的地点。

世界を玩具に変えて替えた張本、人。

それは培養液だろう何かに浮かぶ目を開けた人の形をした何か。

その何かは目を大きく見開いてから細め口を裂けるかのように端を上げて称賛した。

「『ブラヴォー。エックセレント。コングラチュレーション。』」

腕は動いていない。

が拍手の音が聞こえる。

口は口端を上げた状態で固定され動かず音を出してさえいない。

しかし。

「『よくぞ此処までこれた。称賛しかない。しかないが。詰まらない面白味もない。限界だろう。限界状態で来られても、何もできないだろ。なので終わり』」

その瞬間に目の前の全てが消えた。

自分も何か喪失した感覚と共に何かに吸い寄せられる様に身体に入っていった。

《はうっっあ。》

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