姉に奢らされる弟
僕らは再び家に向かって走り始めた。
「いやあ、さっきのはビビったわ!」
「でも、さっきのヤーさん達もしっかりビビってたね。」
「そりゃあドラえもんを熱唱してるだけでも狂気を感じるのに、窓を開けて、さあ!君も歌おう!だよ?狂ってるでしょ。」
「確かに。こんなのがいたら私でも引くわ。」
一通り笑った後、姉のスマホから通知が来たらしく、姉がスマホを見る。
「あ、母さんからラインで、スーパーで買い物をさせて欲しいだって。」
「わかった。それじゃあスーパー寄ってくか。」
「それと、ついでにお菓子とかも買ってくれない?」
「金はお前持ちな?」
「源は金あるでしょ。スパチャとかで結構お金あるでしょ?」
「まあ……でも……」
「大学生ってね……割とお金ないんだよ?金欠なんだよ?いいよねえ。源は…親の脛カジれて、しかもVtuberやってるからお金も入ってくるしね……いいなあ……」
「はいはい!わかった!奢るから!でもあんまりファンからもらった金は使いたくないんだよね……」
「まあ、配信のネタになればいいんじゃないかな?」
「それならええか。行くか。」
そうして僕らは家の近くのスーパーまで走り出した。
スーパーの駐車場に車を停める。姉は奢ってもらえると言うことで機嫌を良くしたためか、車を降り、スーパーの自動ドアを潜っていく。僕は車の鍵を閉めながら姉について行った。
中に入り、しばらく母に頼まれたものをカゴに入れながら、姉がお菓子などを入れようとするのを防ごうとする。
「オイ!何もっこりの里入れようとしてんだよ!確かに奢るとは言ったけどこんなにバンバン入れられたら流石に無理だわ!」
僕の言葉通り、もうすでにカゴは母に頼まれたものよりも、姉が入れたお菓子やカップラーメンの方が多くなっている。もうすでに姉だけで三千円は超えている。
「いいじゃん!2ヶ月ぶりに帰ってきたんだよ?少しくらいいいでしょ?」
「いくら稼いでるからってな……三千円も菓子で使いたかないわ!」
「ねえ、ちょっとくらいいいでしょ?大学生で一人暮らし……金欠で毎日バイトの日々……」
姉は泣き真似をして悲惨さをアピールしてくるが、僕はその手には乗らない。
「一応母さん達から仕送りもらってんだろ?一体何をどうしたらそんなに金欠になんだよ!」
「そりゃあ……ねえ?」
言いにくそうにする姉に僕は追撃を入れる。
「ねえじゃねえよ!一体何に使ったんだよ!」
すると姉はボソッと、
「オタ活で少し……」
「よかった〜僕はホストに貢いでないで安心したよ〜……じゃねえよ!少しって額じゃねえだろ!仕送り確か10万
くらいなかった?家賃もウチ持ちだったよな?」
「でも、タクヤ君のためだから……」
あ、コイツダメだわ。僕は実の姉にそう思ってしまった。そりゃあそうだろう。THEホス狂いって感じの言い方だよ。
「やっぱホストなのか?これはホス狂いってやつじゃあないのか?だって、〇〇ヤってホストじゃあねえのか?」
「確かにホストの人達ってタクヤとかキョウヤとかトウヤとか最後に矢がつく人が多いけど、タクヤ君は違うから!」
「今ホストの名前ん中にタクヤっていたぞ?」
「それは別のタクヤ君だから!貢がないと公式がグッズ出してくれないじゃん!」
うん。これは……
「うん……ホス狂いみてえなもんだな……うう、姉さん……どこで道を間違えたんだ……」
「黙れえ!それ以上喋んなあ!」
姉はそう言いながら僕の胸ぐらを掴み、ビンタを入れるのであった……




