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第7爆

「貴女は……」

「おっと、僕のことは気にしないでくれ。それよりも、今は君のことだ」


 少年はそう言いながら、アイシアの元に近付いてくる。


「君は……一体、何をしたんだ?」


 少年は興味深げに訊ねてくる。


「君は、この大蛇たちに噛まれ、投げ飛ばさ、地面を転がされ、挙句の果てには木にぶつかった。普通なら即死してもおかしくないはずだ。それなのに、君はこうして生きている。最低でも、骨折レベルの大怪我をしていたはずなのに、だ。……ほら、君はこんなに血塗れのにもう傷が塞がっている」


 そう言って少年はアイシアの頬に触れ、その顔に付着している血液で自らの手を汚しながらアイシアの傷を確認する。

 そして確かに、傷一つ残っていなかったことを改めて確認して、その事実に少年は驚く。

 同時に、アイシアは目の前にいる謎の人物を警戒する。


(この人は……)


 一見すれば普通の人間のように見える。だが、彼女の直感が告げていた。

 この人物は只者ではない、と。


「君に質問したいことがある」


 少年は真剣な表情でアイシアを見つめてくる。


「えっと、私に答えられることでしたら」

「では、単刀直入に聞こう。……君は、『女神スキル』を持っているのか?」

「……はい」


 アイシアはしばし逡巡したが、隠し切れないと悟り正直に答えた。


「……やはり、そうか。……それで、どんな能力なんだ?」

「えーっと、私の能力は『不老不死』です」

「不老不死?……なるほど、そういうことか。道理でおかしいと思った」


 少年は納得がいったという様子を見せる。


「あのー、あなたは一体……」

「おっと、すまない。自己紹介がまだだったな」


 少年はそこで一度言葉を区切ると、続けて自分の名を口にする。


「僕の名前は、リオ。君と同じ、『女神スキル』の所有者さ」

「なっ……」


 アイシアは驚愕する。


「お、驚いた……。まさか、こんなところで同じ『女神スキル』所有者に出会うなんて……」

「それはこっちのセリフだよ。ちなみに、僕の『女神スキル』は、念じるだけで生き物を殺せる能力……『即死』だ」


 リオと名乗った少年は、アイシアの反応を楽しむかのように言う。

 その言葉を聞いたアイシアは絶句してしまう。

 しかし、すぐに気を取り直すと、さっきの謎が解けたことに気づく。


「じゃあ、さっきの大蛇は……」

「ああ、僕の『即死』によって殺された」


 リオは淡々と答える。


「…………」


 アイシアは言葉を失う。

 そんな彼女に構わず、リオは話を続ける。


「僕も驚きだよ。まさか、こんなに早く『女神スキル』所有者に出会えるなんて……しかも、『不老不死』とはね。これって、とても運命的だと思わないかい?」

「……はぁ」

「まあ、とりあえず、お互いの事情を話し合う前に、まずはここから移動しよう。ここはまだ魔物が彷徨いているかもしれないからね。いつ襲われるかわからない」

「あ、はい。わかりました」


 アイシアは素直に従う。


「よし、決まりだ。……あっ、そうだ。僕のことだけど、他の人には内緒にしてもらえるかな? 色々と面倒なことに巻き込まれたくないんだ」

「はい、誰にも言いません」

「ありがとう。それじゃあ、行こうか」


 そう言うと、リオはアイシアを連れて歩き出す。

 アイシアは黙ったままその後ろをついていく。


(不思議な雰囲気の子だな……)


 アイシアは思う。

 見た目は、ただの幼い男の子だ。

 だが、なんだろう。どこか達観しているような……年上のアイシアよりずっと自身ありげに見える。

 それに、何よりもアイシアを驚かせたのは、彼の強さだ。

 先程の大蛇との戦いでもわかっていたが、彼は強い。それも、かなり。

『即死』という聞いたことのない『女神スキル』を有していることもあるが、彼は何度も修羅場を乗り越えてきたかのような立ち振る舞いをしているように思えた。

 アイシアがそんなことを考えていると、不意にリオが話しかけてくる。


「ところで、アイシア。君はどうしてここにいるんだ?」

「えっ?」

「君みたいな女の子が、一人で森の中にいるのは危険だ。だから、何か理由があるんじゃないかと思って……」

「お、女の子……。えっと、こんな見た目ですけど私一応、23歳なんですよね……」

「23歳!? 同じ歳くらいかと思っていたよ……」

「うぅっ……」


 アイシアは自分の容姿について気にしていた。

『不老不死』である彼女にとって、年齢など意味のないものだが、それでも彼女は自身の成長が止まったことに少なからずショックを受けていたのだ。


「ごめん、悪気はなかったんだ。……そっか、君も苦労してきたんだね」

「いえ、別に、そこまで気にしては……」


 こんな小さな男の子に気を使われていると思うと、アイシアは恥ずかしくなってくる。

 すると、リオが突然足を止める。


「どうしました?」

「……誰か来る」

「えっ……」


 アイシアが振り返ると、そこには二人の男女がいた。

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