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第5爆

 それから翌日。

 ギルドの依頼を受けたアイシアは街を離れ、とある森の中に来ていた。

 アイシアが受けた依頼の内容は、薬草採取だ。

 この森は、街から比較的近い場所にあるため、冒険者の間では人気のスポットとなっている。

 だが、同時に危険な魔物も生息しているので、決して油断できない場所でもある。

 アイシアも冒険者としての経験を積みたいと思い、危険を承知の上でこの場所を選んだ。

 早速、アイシアは森の中へと入る。

 しばらく歩くと、アイシアはある違和感に気づく。


(おかしい……)


 そう思ったのは、彼女の目の前にゴブリンが現れたからだ。

 本来なら、ゴブリンは山奥などに生息する低級モンスターである。それが、このような街中に近い場所にいるのは、明らかに異常事態だった。

 さらに、アイシアはもう一つ異変に気付く。それは、ゴブリン達の様子だった。

 まるで何かに怯えているかのように震えていた。

 アイシアはその原因を探るべく、周囲を見渡す。すると、その理由はすぐに見つかった。


「……いた」


 アイシアの視線の先には、巨大な蛇の姿があった。

 大蛇は、ゆっくりとした足取りでこちらに向かってくる。

 アイシアは、すぐに逃げ出そうとするが、その前に大蛇が立ち塞がった。


「……っ!?」


 アイシアは驚きながらも、咄嵯の判断で『自爆』を発動する。


「『自爆』!!」


 次の瞬間、凄まじい爆発が起こり、辺り一面が煙に包まれた。


「はぁ……はぁ……」


 アイシアは荒くなった息を整える。


「ふぅ……」

「凄いよアイシア! あの大きなヘビをやっつけちゃうなんて!!」


 ピグマリオンの言葉を聞いて、アイシアは振り返る。

 一面が焼け 野原となったその場所には、大蛇の死体は影も形もなかった。爆発に巻き込まれた大蛇は跡形もなく吹き飛んでおり、その姿は見当たらない。

 自分自身を犠牲にして高火力の爆発を広範囲に放つアイシアのスキルによって、大蛇は倒されたのだ。

 しかし、アイシアの顔色は優れなかった。

 彼女は不安げな表情を浮かべる。


「あれれ? どうかしたの?」

「いやだって、このスキルって私の身体を消滅させるんだよ?」

「そうだけど……それが?」

「……いや、普通に考えて嫌じゃない?」

「えぇ~そうかな? むしろ格好良いと思うけど?」

「そ、そう?」


 アイシアは戸惑っていた。

 人工精霊であるピグマリオンにとって、自分の命を懸けた攻撃手段というのは、格好良く映るものらしい。価値観の相違というものだろう。


「……それにしても、こんな場所に大蛇が現れるなんて。こんなこと、前はなかったのに。一体何が起きているんだろう?」

「うーん……あっ!」


 ピグマリオンが突然声を上げる。


「どうしたの?」

「ねぇ、アイシア。あそこに誰か倒れていない?」


 ピグマリオンが指差す方を見ると、そこには一人の少年が地面に横たわっていた。

 その少年は意識を失っているようで、ピクリとも動かない。

 アイシアはその少年のもとへ駆け寄る。


「大丈夫ですか!?」


 アイシアは声を掛けるが、返事はない。


「ダメみたいだね」

「うん……」


 アイシアは困り果ててしまう。


「うーんどうしよう。このまま放っておくわけにもいかないし……」

「そうだね。ひょっとしたら、さっきの爆風に巻き込まれちゃったのかもしれないし、見過ごすのは良くないよね」

「……とりあえず、連れて帰ろうか」


 アイシアはそう言うと、少年を抱きかかえる。


「よし、行こう」

「おぉ~」


 こうして、アイシアは少年を連れて帰ることにした。

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