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冒険者教育論  作者: ゆきつき
1章ダンジョン探索
5/30

5.男女でのダンジョン探索は危険

 休憩とは言え、いつ、どこからモンスターが襲ってくるかもわからないダンジョンって環境だから、基本は見張りが必要になる。まあフーコレベルでばてられたら、流石に見張りなんてさせれないけど。


「にしても、ヴァンのそれ、珍しいよな。普段から、先の球体に棘とか付いてるものなんじゃないの、モーニングスターって」

「ん?そなの?俺はこれしか見てこなかったから、他を知らないけど」

「いや、剣に刃が付いている事ぐらい当たり前の事じゃないの?」

「へー。」


 まあ確かに、刃のない剣は考えられないな。練習用とかじゃない限り。


「でもさ。それで攻撃されたモンスターって、血が出てたじゃん?それも突き刺されたと言うか、抉られたと言うかさ。そういう感じの怪我。一体どういう仕組みなの、それ」

「まあ、俺もほとんど理解できてないけどさ。どうやら、攻撃した瞬間、まあ敵に当たったインパクトの瞬間に、針、棘?が出てくるんだよ。だからただの打撃の攻撃じゃない」

「インパクトの瞬間に、棘が出るのか?マジで?そんなのどういう仕組みでできるっていうんだ?そんなの簡単にできちゃうものなの?どうなのフォーセ?知ってる?」

「知らない。そんな技術あるんだ、って驚いているぐらい」

「ちょっとボクも知らないかな。一体どういう仕組みをしているんだ?」

「俺が知るかよ。遊んでたら怪我して、色々試したらそうだってわかったぐらいなんだから」

「そんな危険なもので遊ぶなよ」


 とは言ってもな。幼い頃の俺の手元にあったのは、これだけだったし。必然的に遊ぶにはこれになるし。


「じゃあちょいと話題変えるけど、なんでヴァンってば、リーチが長いようなそれで、あえて剣とかと同じぐらいの距離で戦ってんの?もっと遠くから攻撃できるじゃん。鎖もだいぶ長そうだし」

「前にも言ったけど、俺にはまだ遠くからぶんぶん振り回すのはそんなに得意じゃねえの。それにこんな狭い場所だと、振り回すだけ無駄だって。俺にはこんな狭い通路でぶん回せるほどの技量はまだねえの。わかる?」

「そんなんでよくその武器を使おうと思ったね。戦力外になるかもしれないのに」

「おめえには言われたくねえよ。それに前にも言っただろ。懐事情が悲しい事になってるから、新しい武器どころか、中古品すら買いたくねえの」


 毎日の食費で少ないお小遣いが無くなるんだ。貯金、とかしてる余裕はないし、そもそも金を溜めておいておけるほど安心できる場所もないし。時々アロウのうちへお呼ばれしたりするけど、アロウの母さんの方がね。俺の事を嫌ってるからね。ほとんどキャンプ生活だから。

 だから大切な物なんてのはほとんどないし、あっても常に持ち歩くから、うん。まあ余計な物は増やしたくない。

 で、今なんの話してんの?


「そんな、中古も買えないぐらいの懐事情なんて、よよよ。わたしゃ悲しいよ」

「どこのポジションなんだよそれ。ってか元気だなぁ、もう休憩いいか?」

「あと1時間」

「長すぎる。30分経ったら出発するよ」

「はい、」


 フーコってこう、フォーセさんには強く出れてないよね。というか俺に対して当たりが強すぎるってのがありそう。あいつ、俺にだったらなんでも言って良いと勘違いしてない?


「で、だ。ヴァン、そんなものを持っていた母と言うのは、一体どういう人物なんだ?」

「さあ。それを知ってたら、こいつの使い方ももっと詳しいって」

「まあ、確かに。だが名前ぐらいは知らないのか?」

「さあ?興味ないからな。まあ気になるってんなら、今度アロウの父さんに聞いてみるけど」

「まあボクも名前を聞いたからと言って、なにかわかる訳ではないけどな」




________________





 現在、6日目。フーコ、休憩とか関係なく、ガチバテ状態。ほとんど喋らなくなった。まあしゃーない。熟睡できないってのが6日も続けば、まあ結構限界が近づいてきてもおかしくはない。まああいつの場合、そもそも運動が苦手な節があるから、それも影響してるだろうけど。

 宝箱を見つけた数、12個。どれも色違い。流石に俺達の目当ての宝箱を見つかってもおかしくはない数を探し出した気がする。けど目的の宝箱は未だに見つかっていない。

 倒したモンスターの数、26匹。このペースだと、なんとか間に合いそうで、ギリギリ間に合わないという、絶妙な数。でもフーコがバテバテのせいで、あまり無茶もさせられない。


 という訳で。かなり目標未達成が現実味を帯びて来た頃合いである。


「一攫千金の宝箱を見つけれれば良いんだけどなぁ」

「宝箱は恐らく、もう2階にはない。諦めるべきだな」

「そーなんだよなー。もうあらかたこの階層は探しつくしたしなー」

「どうする?危険だけど、3階に進む?その方がモンスターも襲ってきやすくなるだろうし、目標達成が早くなる」

「う、うちは勘弁してほしい。ただでさえ、もう限界なのに。これ以上強いモンスターと、戦いたくない」

「なんかフーコが実技で最下位近いって言われる理由が分かった気がする。よくそんな体力でこの学園に入れたな」

「よくそんな頭でこの学園に入れたな」

「お互い長所が長所すぎたんだろ」


 まさかの煽り返されるとは思ってなかった。ってか今頭の出来の事は関係ねえじゃん!


「まあとにかく、宝箱を見つける、ってのは無理なんだろうなぁ。フーコもつべこべ言わずに、モンスター討伐に付き合えよ。じゃないと目標達成できないから」

「確かに目標未達成って言う不甲斐ない称号をフォーセやリヒトに与えるわけにはいかないけど、ヴァンには言われたくない。うちと一緒のくせに」

「確かに俺は成績は悪いが、別に足手纏いにはなってねえかんな?」


 内なる怒りが沸々と湧いてくる。なんでこんな疲労してる奴と一緒にされなきゃならんのら。


「ちょ、うちトイレ」

「このタイミングでですか」

「ちょっとフォーセ、ついて来て。そして見張ってて」

「わかった」


 このダンジョン探索は、まあこういったダンジョン内での男女トラブル的なあれも工夫する必要がある。


「覗くなや?」

「覗かないから安心しろ。そして謎の脅し口調やめーや」

「うちに魅力がないって言うんか!?」

「お前はなんて言って欲しいんだ?」


 男同士のパーティーだったり女子同士だった、それこそ自分のを見られたとろこでなんてことないんだけど。男女混合になれば、ちょーっと胸を眺めてた程度でも難癖付けられるから、結構大変なのである。


「……」

「……」

「もうちょっと遠くでしてもらいたい」

「……」

「しかも洞窟内ってのも相まって、普通に聞こえるのがダメだよな、これ」

「まあ、あまり離れすぎて襲われでもしたら大変だからな」

「そーだよなー。こーゆーのがあるから、男女混合パーティーは大変なんだよなー。気を遣うのは両方だろうけど、なんだかんだ男の方が苦労すると言うかなんというか」

「女子も苦労しているだろうけどな」


 マジで耳を澄ませば、じゃなくとも聞こえて来てしまうの、どうにかならない?なかなかに恥ずかしいと言いますか、いたたまれない感じになってしまう。


「あったー!?」

「ん?なんか叫んでない?」

「俺知ってる。ここで言ってトラブルに発展する流れだろ」

「まあ、本当に緊急なら、多少の事なら許されそうな気もするけどな」

「いやまあ、本当の緊急事態なら、あったーとか叫ぶんじゃなくて、助けて―とか、襲撃―とか叫ぶんじゃないの?」


 俺は別に、他人に対してそこまで気を遣えるような、器用な人間じゃない。でもトラブルを避ける事はなんとなくできる。

 というか、女子のトイレ中にお邪魔します、はどんな理由があろうと覗いちゃダメなシーンじゃん。俺は二度とそんなへまはしない。


「ちょ、二人とも!はよ来いや!宝箱があったって言ったやろがい!」

「……」

「そんな事言ってたか?」

「少なくとも、ボクは行くべきだと言った」

「他人に責任をなすりつけようとしてもさ。お互い女子がトイレしていた場所に行くの、躊躇ったでしょ?」

「……」

「同罪だ」


 まあどうやら、フォーセとフーコが宝箱を見つけたようだし、そっちに移動しますか。

 今更ですが、くだらないギャグや小学生レベルの下ネタが大好きな私です。


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