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冒険者教育論  作者: ゆきつき
1章ダンジョン探索
3/30

3.ダンジョン遠征

 俺達に出された課題はっと。


「モンスター30匹討伐。宝箱の中身を持ち帰る。どちらか、か」

「現実的なのは、宝箱の中身を持ち帰る方だろうけど。でも宝箱を探し出すって言っても、ボク達にはそれらを探し出す事の出来る術を持ち合わせていない。つまりは端から片っ端にしらみつぶし方式で探すしかない。となれば、モンスター30匹の方が楽な可能性もある」

「まーなにより、宝箱だと他のグループが先に開けている可能性がある、って事が問題だよねー。うちらは幸いにして、他よか10分早く入れたは良いけど、なんだかんだで早くダンジョンに入った訳でもなかったし」

「すみませんでした」

「別に謝る事じゃないよ。予定よりも10分は早くダンジョンに入れたんだもん。悪い事じゃない」


 それでも、こう、宝箱を他より早く探し出すって言う選択肢において、他より出遅れるってのはなかなかに痛いじゃないか。そんなのも考えれば、ちょっとばかし、いやかなり自分を責める事になる。

 だって、しらみつぶしに探していって、宝箱を見つけたとしても、先に探し当てたグループが中身を持ち出している可能性だってある。

 だからやっぱり、先にダンジョンに入れるってのは大きいんだよ。他より長く探せる時間があるってのは大きいんだよ。


「ああ、そうそう。宝箱も学園が設置した奴だから、種類があるんだよ。だから色分けがされていて、自分達の指定された色以外の宝箱の中身を持って帰っても目標達成にはならないから」

「そういえば、そういうルールもあったような」

「で、うちらは何色の宝箱を探せば良い訳?」

「紫だな」

「紫て。もっと暗闇でもわかりやすい、赤とか黄色とかの蛍光色にできやんのかよー」

「それが狙いなんじゃねえの?あえて違う宝箱の中身を取らせて、自分達は目標未達成だし、他のこの宝箱が本命のグループはスカを引き当てる事になるしで、試練を出す側、学園側にとっては良い子尽くしじゃん」

「……きみぃ、うちと同族じゃなかったか?」

「悪いね、君より頭がよかったみたい」

「むかああああ!」


 まあ、そのぐらい考えたらわかるだろ。相手の思考を読み取ると言うかさ。俺達がされて嫌な事兼試験を作る側にとって良い事はどんな事か。それは俺達は試練をクリアできずに、試練を作った側は試練をクリアされない事。

 まあ学園が作る、試練と言うよりは試験だから、何点かを決めるようなもので、クリアをさせないような作りではないだろうけど。それでもやっぱり作り手としては自分が考えたものをあっさりとクリアされるのは辛いだろうから、厄介な作りにはすると思う。


「集中して。ここからはモンスターもいる、1階。階段と違って、安全地帯は無い」

「ヴァン、ここからは協力が大切なんだ。煽ってどうする?」

「「すみません」」


 確かに、うん。その通りございます。


「すまんフーコ、次から気を付ける」

「そう、反省してよ、痛ぁ、ちょっとフォーセ冗談言っただけじゃん」

「今は素直に謝るところ。ヴァン君にも悪い」


 うわぁ、フォーセさんから名前、呼ばれちゃったよ。うわどうしよ、嬉し。メチャ嬉しいぞ、これ。くせになりそう。滅茶苦茶嬉しい。


「ううぅ、うちも煽ってすまんかった。って、どうした?うちが謝った事がそんなに嬉しかったんか?」

「へ?」

「(顔がにやけてる)」

「はっ!いや、うん。お互い謝れるいい子だなと思って」

「自画自賛とか、キモッ」

「チョップ」

「痛い、フォーセチョップはかなり痛いからやめてーや。すんませんでした、また煽ってもた」

「俺もその程度でキレるほど、やわじゃないからダイジョブ」


 流石の俺だって煽り耐性ぐらいは会得してある。まあまだ自分の能力がどんなのか判明してないけど。


「まー、無難な感じで、しばらくは出てくる敵を倒しながら、宝箱探しで良いかな?」

「いいんじゃない?私達だと、一階のモンスターならそこまで苦戦する事はないだろうし」

「じゃ、決定だな。時間は一応懐中時計を持ってるし、確認できるし」

「え、そんなの持ってきてたの?ヴァンのくせに?」

「君は煽らないと話ができないのかな?(。´・ω・)ん?」

「売られた喧嘩は買う主義なんだよな、うちって」

「で本題に戻すけど」

「無視すんな!」

「こんな太陽も月もなにもない、せいぜいダンジョン名物の光る苔だったり鉱石ぐらいの明るさしかない場所で時間間隔を失うのは飯を食わないと生きれない事ぐらい当たり前の事だ。だからこうして持ってきた」

「ほー。確かにそこは盲点だったかもしれないな。軽めの非常食とかは持ってきてたけど、どうしても戦闘に必要になりそうなものをメインに持ってきていた」

「え、リヒトも持ってきてなかったの?」

「まあ最悪、体内時計を信用すればいいかな、と」

「そういやリヒトは時間を測る正確さは異常だったな」


 この前なんて、1分30秒を正確に止めるどころか、23分52秒とか言う絶妙な意味わからない時間を俺が指定して、これまたぴったりに当ててしまった異常者だ。

 こんな奴なら、まあ体内時計のズレが起きたとしても、せいぜい1時間とかで済みそうだ。


「私は持ってる」

「別にマウントを取れるようなものじゃないぞ、フォーセ」

「持ってきてない人に言われたくない」

「むかああああ!」

「ほら、早く行くぞ。折角規定時間より10分早くダンジョンに入る事ができたんだ。そのアドバンテージを活かそう」

「そうだね」






_____________






「うーん。うちらは出番ないな」

「前衛が優秀だから」


 だいたい3時間ぐらい経って、出て来たモンスターは三体。それも討伐対象に入ってない、よわよわモンスター。

 おかげで俺達前衛だけで片付ける事ができた。


「にしても、ヴァン、あんた、珍しい武器使うなあ。モーニングスターて。狭い通路じゃ使いにくいだけの武器じゃんか。まあどういう訳か、折角のリーチを自分で潰してる訳だけども」

「しゃーねーだろ。俺は懐が寒いんでね。母ちゃんの遺品のこれを使うしかねーの。それにまだこいつを使いこなせるほどの技量もないんでね」

「あ、いや、なんかすまん」

「ん?なに気まずそうになってんだよ。別になんもおかしな事は言ってないだろ。それよか、さっさと宝箱を探すぞ」


 まあ期間の長さから考えれば3時間なんてまだまだスタートしてすぐの時間だろうけど、それでも3時間は3時間だ。普通に結構探した方だ。

 で結果はわかる通りに、まだ一つも宝箱なんてものは発見できてない。

 モンスターも1階だからか頻繁に出て来てこないし。まあモンスターの大群が押し寄せてくるよか絶対にマシなんだけど、それでもこのペースでスカモンスターしか来なかったら、討伐依頼の方は達成できない。いやペース自体だけで考えれば、2日とあれば依頼は達成されるのか。まあスカだから討伐数にはカウントされないんだけど。


「それとは打って変わって、リヒトは王道を征く直剣。うーん。顔の良さも相まって、まさしく勇者、って感じだわ。いやぁ、眼福眼福」

「なあこいつ、本当に能力が使えんのか?使えなかったらマジでただの足手纏い、というか五月蠅いだけの厄介人だぞ」

「なんだとこのやろう。さっきも言ったが、売られた喧嘩は買う主義やで?」

「まあまあヴァン、フーコ、落ち着いて。いつ襲われるかもわからないこの状況なんだ。もうちょっと仲良く、はしなくても良いけど、チームワークを意識してくれ」

「「すんません」」


 確かにダンジョンの中だってのに、無神経な事を言った。反省中。


「休憩は終了。行くよ」

よければブックマークや評価、感想をお願いします。靴舐めるんで、ピカピカのつるつるのべとべとにするんで、おなしゃす。

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