表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者教育論  作者: ゆきつき
1章ダンジョン探索
2/30

2.注意喚起を真面目に聞かない人っているよね

「はぁ。今日からダンジョン入りかぁ。緊張するなぁ」

「緊張って言っても、学園側が一応は見守ってるって話だし、死ぬこたぁないだろ。大丈夫だろ」

「それでも、だよ。いまからいつ襲われるのかもわからない場所に1週間程度身を置くって考えると、武者震いが止まらないよ」

「そりゃ武者震いじゃなくて身震いってんだよまぬけ」

「ぶー。気を紛らわせようとしただけじゃーん」


 現在、幼馴染であるアロウ。

 アロウの父さんがいなけりゃ、俺はこうして学校へ通う事なんて叶わなかった。だからとても感謝している。

 アロウ自身は、なんというか、とても男っぽい女だな、と。いや活発ってだけで、男っぽいってのは違うか。まあとにかく、俺が言えた話じゃないけど、他人に対して馴れ馴れしいというか。なんというか、同族嫌悪っての?なんか好きになれない。まあいい奴ってのは確かなんだけど。なんとなく、こう、うーん。なんか嫌いになれるキャラじゃあないんだけど、付き合い方的にもそこまで好きになれない、なんか稀な人。


「じゃ、アタシはヴァンとは違うグループだから、またね」

「ああ、ちゃんと五体満足で会えるように祈ってるよ」

「不吉な事言わないでよー」


 そうだ。話している時に俺のペースにできないから嫌なんだろうな。自分の好きなようにできないから嫌だと思うんだ。いや別に嫌いって訳じゃないんだけど、好きにもなれない稀なパターンなんだけど。


「ヴァンが男子に嫌われる根本的なところって、運動ならそつなくこなす運動神経じゃなくて、登校時になんだかんだで人気のあるアロウと一緒に登校してくるからなんじゃ、と、今更ながらに思った」

「ん、なんだって?」

「いや。ところで、もう女子達来てるぞ」

「げぇ、俺が一番最後?」

「そ。まあ集合までまだ10分以上あるし、フォーセさんとフーコさんは家がこの辺りにあるらしいからね。なんだかんだで早く着いちゃったみたいだよ」

「それでも最後は最後かぁ。待たせるなんて、男の恥だろ」

「そう思うならアロウさんと一緒に来なけりゃいいのに。その方が出発時間とかも色々自由なのに」

「いや、なんか、一緒に行く事が当たり前すぎて、その考えに至らなかったわ」

「これだから馬鹿は」

「馬鹿で悪うございんした」

「でもそのおかげでうちらが一緒のグループになれた訳なんだし、成績が悪いのも悪い事じゃないだろ?」

「あのな、フーコ。確かにこういう場で成績が悪かったら、成績のいいフォーセさんやこいつと一緒になれるかもしれないけどな?成績が悪い事は悪い事なんだよ」

「何言ってんの?」

「お前が振った話題だろ、せめて分かろうと努力してくれよ。確かになんか同じ事を二回言った気分だけど、それでも理解しようとしてくれ」


 成績が悪い事は悪い事、うん。なんかバカが話しているみたいでいい気はしないけど。けどちゃんと意味はわかるでしょ、これ。というか、これ以外に言い方なくない?


「あ、来てたんだ。いつから着いてたの?」

「ま、まあ今来たところなんだけど。待たせたようでなんとも気分が悪い」

「そう。まあまだ集合時間まで10分もあるし、どちらかと言うと早く着いた方なんじゃないの?」

「でもグループ三人は既に集まってたんだし、うんまあ別に悔いる事でもないんだけど」


「ねえヴァンの馬鹿、うちのフォーセと話す時、なんかこう、歯切れが悪いと言うかさ。話がたどたどしくない?」

「まあ色々あるんだよ。あの馬鹿には」

「えっ、まさか、そういう事?」

「まあフーコさんが思ってる事であってるんじゃないの?あいつは馬鹿だけど、まあ諦めが悪いところは良いところだからな。素直に羨ましい気はする」

「まあ、普通は学園一の人気者になんて手を出そうとは考えるもんじゃないもんなぁ。高嶺の花でいるから、うちが独占できた訳やけども」

「大丈夫。あいつは馬鹿だけど、流石に勝機がない状態で告ったりするような馬鹿じゃない、はずだから」


 はー。フォーセさんと話すのは緊張する。アロウとは別の意味で、自分のペースで喋る事ができない。

 でもこれをストレスだとは思わない。心地いいとは思えないけど、でもワクワクすると言うか、いややっぱ心地いいかも。

 こんな事前まで経験したことないから、うん。新たな刺激って奴。


「そうそう。グループが揃えば、もう入って行っても良いらしいよ」

「えっと、じゃあつまり?」

「結局はヴァン待ちだったって事だな」

「そんなぁ」


 待たせたなんて、男の恥だ。この恥は、まあ、適当に捨てておくけど。


「ってな訳で、先生から携帯を貰いに行くぞ」

「うぃっす」




________




「この携帯は、私達にヘルプを求める時に使用する事。そして可能な限り、このヘルプは使用しない事。この携帯は、ここにある親機としか通話できない特別なものですので、ここへ連絡をする事以外は何もできません。また期限である1週間を過ぎれば、こちらから連絡を入れます。それが鳴れば、ミッション未達成でも帰ってきてもらいます。いくら実戦経験を積む為だとは言え、安全確保ができない1週間以上のダンジョン探索は学生にはまだ早いので、連絡が来たら探索を切り上げて帰還する事。わかりましたか?」


 あー。つまり、こういう事だな?

 この携帯は助けを乞うか、期間切れを知らせる事に使う。何が何でも1週間で帰還する。まあそういう事、で、良いんだよな?


「はい、わかりました」

「では、気を付けて」


「おい、例のグループが出発するぞ」

「ああ、あの、中等部ながらモンスターがダンジョンから出て来た百鬼夜行の撃退に参加したって言うフォーセに、学年で実技はフォーセにギリギリ負けるものの、座学合わせた総合成績学年1位のリヒトがいる班か」

「マジか。あのグループなんて、今回のミッションなんて楽々クリアできんだろ」

「いや、それがわからないんだよ」

「は?マジ?」

「まずは成績が下から数えた方が早いヴァンに、座学はトップレベルだけど実技が最底辺にいるフーコって言う足枷があるんだ。いくら優秀二人組だとしても、そんな足枷ありでなんとかなるような甘いミッションじゃなかったはずだろ」

「でも言ってもヴァンって実技の方、かなり優秀じゃなかったか?」

「いや、どうだったかな?実技と座学は10位までしか発表されないし、その中にヴァンの名前は無かったはずだが」

「まじか。そんな足枷を背負わされるなんて、可哀想ー」

「まあそうでもしないとあの二人の無双になるから」


 なんか。俺の悪口を言われた気がした。まあ気にしない。俺の事を悪く言う連中も一定数居るのは確かだし、まあ、うん。俺の事を嫌ってる奴とわざわざ仲良くなろうとは思わない。だから俺には関係ない。

 まあ、俺の悪口をわざわざ言いふらすような事態になったら、考えもんだけど。まあ基本は半端なデマとかなんで、気にするだけ負けよ。


「ほら、ボク達と関係ない話を耳にしても無意味なだけだよ。早く行こう。意識の切り替えもできないようなら、この先、生き残れないし」

「おっ、そうだな」


 まあ、ダンジョンに行くんだ。確かにモンスターがわんさかいるような場所へ、意識が逸れたらそれこそ死が待ってるだろうからな。

 ……まあ、俺達が行って良い階層は三階までだし、なんなら目標は一階で達成できなくもないし、学園側が三階までって決めたって事は、どんなグループだろうとも三階までなら死ぬ可能性は薄いと判断したって事だろうし、大丈夫だろうけど。


「じゃ、行こっか」

始めましてまたあったな、ゆきつきです。このくだらない事をこの先もやってみたいと思う馬鹿な私がいます。


よければブックマークや評価、感想をお願いします。靴舐めるんで、ピカピカのつるつるのべとべとにするんで、おなしゃす。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ