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「それは、キサマが一番美味そう…じゃない、一番強かったからじゃ」
(ひぇ、いま「美味そう」って言いましたわ)
「聖白竜のやつがな。自慢しておったんじゃ。うちの学園には強い子がたくさんいますよ〜とかなんとかな」
聖白竜様というのは、私達の住む王国を守護する竜ですよね。
人の前に姿を表すことはほぼないのですが、たしかゲームでは主人公があるイベントをクリアすると聖剣を聖白竜様から与えられるという設定でした。
「それでワシのダンジョンの手伝いをなぁ、あの生意気な聖白竜のところから連れてこようと思ったわけだ。ワシの竜眼はまだ弱いが鑑定スキルが使えてな。それで学園を見たところ一番強そうなのはお前だったのじゃ〜」
(こ、これは、あのとき、主人公が攻略対象連れて温泉イベントなんかに行って無ければ、わたくしの方に暗黒竜が来なかったパターンなのでは???また、主人公!!!!主人公なのね!!!!!)
「いやー、あいつの配下を削りつつ、ワシの勢力を拡大するというわけじゃ!頭良いじゃろ〜?」
見た目だけは可憐な少女なので、首を傾げながら「頭良いじゃろ〜?」はたしかに可愛いい。
わたくしの主人公へのヘイトで染まった心は浄化されました。
「なるほど、たしかにわたくしもあの学校では優秀な成績を修めておりましたので、ベアト様のお眼鏡にかなえたこと喜ばしく思いますわ」
とはいえ、わたくしもこんなところに長居してしまっては、命がいくつあっても足りないような予感がひしひしとしますわ…。
ベアト様が故意じゃなくても、事故で十分に……死にえますわ。
「それで、ベアト様、わたくしどうすればおうちへ帰れますの?」
とりあえずしれっと、帰れるか聞いてみますわ。
わたくし小細工が苦手なので…
「む?何を言う、シャルはもはやワシの家族みたいなものではないか?このダンジョンを好きなように使って住む場所を作って良いぞ〜」
(うぁ、これがドラゴン流なのでしょうか?そういえば肉親の情もないとか言っておりましたし…)
「ベアト様、普通人間は人間と暮らすものです。ドラゴンの皆様はダンジョンに住まわれるのかもしれませんが、人間がダンジョンで過ごすのは、いささか不自由があるものなのですよ」
(よし!どうだ、この言い方なら、自然な感じで人間がダンジョンに住むのは普通じゃないですよアピールができた気がする)
「む?何を言っておる。シャルはもともとダンジョンに住んでおったではないか?」
「へ?」
「む?」
「ベアト様?それは一体どういうことですの?」
「シャルは学園におったんじゃろ?あの学園というか、王都全体がダンジョンじゃよ?」
「えええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
昨日は予約投稿に失敗したけど、今日こそ予約投稿チャレンジだゾイ!
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