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「キサマにはワシの仕事を手伝ってもらう」
「は?はい?」
そういって、言うべきことはすべて言ったと言わんばかりの満足げな顔でわたくしを見つめる暗黒竜。
「もう少し詳しくお教えいただいてもよろしいでしょうか?」
これだけでは何のことかさっぱりわからないわたくしは詳細をお尋ねしたのでした。
「あ?なんだ、そうか、うん、わかった、だが、めんどくせーな」
そう言って、わたくしを釣り上げて手を離した暗黒竜(もちろんわたくしはドサッと落ちる)は、空いた手で虚空から本を取り出しました。
(ぐぅ……いたい……この暗黒竜……いちいち乱暴。ほんとガサツですわ)
「これはダンジョンマスターブックじゃ、これをキサマも使えるようにしてやろう」
そういって暗黒竜はぐりぐりとわたくしの顔に本を押し付けて、ブツブツ何かを呟いたかと思うと、本が一瞬光り、もう1冊の本が生まれ、そしてわたくしのもとに落ちてきたのでした。
「オイ、その本を使って、仕事を覚えておけ」
いまだ四肢を拘束された状態で絨毯に転がされたままのわたくしにこの暗黒竜はどうしろというのでしょう。
「あの……よろしければこの拘束をといていただいてもらってもよろしいでしょうか?」
「ム……すっかり忘れておったわ。すまんすまん、キサマのその芋虫みたいに地をはっているのがのー、とても板についておるのー、だから忘れておったー、悪気はまったくない!!許せ!!」
(ふぇー、横暴ですわ、定番ですし、気づいてましたけれど、横暴ドラゴンですわこの子)
そう言って暗黒竜はただの腕力をもって、わたくしの拘束具を引きちぎり、私の身を自由にしてくれました。
(何という腕力……、あぁ、手錠のあとが手首にのこってますわ……擦れていたかった……、うぅ、つらいですわ)
「ほれ、拘束は解いてやったぞ感謝いたせ、そしてとりあえず、その本読んどけー」
わたくしは手首をさすりながら、落ちている本におそるおそる手を伸ばし、本を開いてみてみたのですわ。
『サブダンジョンマスターの登録をいたしました』
「お、キサマ、自ら開いたな〜、いや〜、よかった。これでキサマはこのダンジョンの、サブダンジョンマスター、略してサブマスじゃ!!!このダンジョンではワシの次に偉くなったぞ〜。よかったな〜」
「は、はい、ありがとうございます」
(ふぁあああ!!罠でしたわー!!これ、まじで罠でしたわー!!!もしかしてわたくしがこの本を開かなければ、拒否できたのではなくて!?)
「あー、それでな、サブマスがなんなのかとか、今このダンジョンがどうなっておるのかとかは、その本を読んでくれー」
「わ、わかりました」
展開の速さにいまだ若干の混乱を覚えます。
「あとなーいろいろダンジョン権限というのがあるんじゃが、だいたい渡しておくから、いろいろ、よろしくしてくれなー。たのむぞー」
「え、あ、はい、わかりました」
(あれーー?どんどん巻き込まれて、深みにハマっていってる気がしますわ……これはいったい??わたくしはいつ帰れるのかしら??)
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