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「ワシに逆らったらコロス」


汚い牢屋から、ゴブリン共に引っ張られて連れてこられたのは、岩肌むき出しの洞窟からは想像できない豪華で大きなお広間、その地べたに転がされたわたくしは、毛足の長い絨毯に驚き、そして人と文明レベルの変わらない内装に少しだけほっとしたのもつかの間、玉座から見下ろす黒いドレスを纏った少女に、言われた言葉がこれでした。


突然のセリフに意味を理解するのに時間はかかりました。完全にこちらを恫喝してきてるセリフですが、その内容とは裏腹に、場違いなほど可憐なお声が少女から放たれたことに、むしろわたくし驚きましたの。


「キサマ聞いておるのか?」


(な、なにか返事しなくては…)


「オイ、もう一度言うぞ、ワシに逆らったらコロス、だから逆らうなよ…」


相変わらずの可憐なお声のまま、そして最後の方はほんの少し自信なさげに、そう彼女は言ったのです。


「我が名は、暗黒竜ベアトリーチェ!!」


(暗黒竜!主人公(ヒロイン)が殺してしまったはずでは?それになぜ少女の姿を??)


「フン、矮小な人間め……、恐怖に返事もできぬか………」


(こちらも名乗ったほうがいいのかしら?)


「暗黒竜様、わたくしはシャルロット・エルミートと申します。お初にお目にかかります」


「ほう、キサマ名乗ることはできるのだな、けっこうけっこう」


いったい全体、なんでわたくしが、暗黒竜と対面してるのか、全くわかりません。

ゲームであれば、暗黒竜は学生生活最後に立ちはだかるラストダンジョンの最奥に住まうラスボスです。

おそらく転生者の主人公(ヒロイン)はそれがわかっていたから、廃プレイを経て1年のうちに奇襲で暗黒竜を倒してしまったはずでした。

しかし、目の前には暗黒竜を名乗る少女。そしてここはダンジョン。

もしこれらが真実なら、ここはラストダンジョンの最奥にあるラスボスの間ですわ。


(あ…)


冷静に考えると、わたくし、ゲームのラスボスに、パーティーも組まず一人で、しかも四肢を拘束された状態で対峙してます。

あー、これは無理ですわ。おそらく死にますわ。


そんなふうにわたくしは、頭の中で、死亡フラグは何だったのかなーって、難しい顔をしていたのですが、何故かいっこうに死ぬような深刻な事態はやって来ず、それどころかちらと見ると暗黒竜は微笑んでるようにも見えます。


「まぁなんだ、キサマも遠路はるばる、ここまで来るのは大変であったであろう」

「あ、はい、お心遣い感謝いたしますわ」


む?これはなんだ?死亡フラグなのか?油断させといてグサッと来るやつか?


「そうじゃ、キサマにここまで来た褒美にこれをやろう」

(お?なんでしょう?ご褒美ですか?)


そういって、無造作に玉座から立ち上がった、暗黒竜を名乗る少女は、わたくしの目の前まで、音もなく近づき(この音もなく近づくというの、武芸の達人ならわかるのですが、少女の姿でやられると、違和感しかありませんわ)


「え?」

と、私がご褒美なんだろうと考えていたわたくしに、首輪をつけてきたのです。

(今思えば、すごい早わざ、手際でした。きっ何度も練習したに違いありません)


「ウム、これは最高ランクの隷属の首輪じゃ、効果は、魔力上昇、物理防御上昇、魔法防御上昇、しかもちょっとやそっとじゃ解呪できない外せない、ワシが持つ至宝の一つよ」

「ええええええ?????」

「もちろん隷属の首輪なので、主人であるワシには一切逆らえない。どうじゃ素晴らしいじゃろ?」

「はあああああああああああああああああ???????!!!!!!!!!」

「これをつけてる間はワシはお前を殺さなくて済むのじゃ。キサマも安全で嬉しい。ワシにとっても素晴らしい。ハッピーじゃ」


こ、こいつ、ナニイッテンだ。いきなり隷属の首輪をつけてくるとか頭おかしいんじゃないか!?


こうして私は悪役令嬢♂(首輪付き&ご主人様持ち)になってしまったのですわ。

レモンサワー美味しいよね。


よろしければ星1からでもぜひご評価くださいませ。

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