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第八話:タイトル回収からのトラウマ復活

 ようやくタイトル回収しました。この話を書いていて作者までトラウマ復活してしまいました。


 覗き見、ダメ、絶対!!

私はノロノロと階段を上り自分部屋のドアを開けた。そして電気もつけずに布団へ倒れこむ。


「本気で今日はキツイ。マジキツイ。もー、勘弁して」


枕に顔を突っ込みモゴモゴと呟いた。今日は本当にキツかった。休憩無しで一日中伐採作業、しかも後ろで社長が激を飛ばすという阿鼻叫喚のような状態だった。

 

 阿鼻叫喚と言ったが、正式には『阿鼻叫喚地獄』の事を示す。阿鼻叫喚地獄とは大罪人が堕ちる地獄であり、文字通り『地獄に堕ちるまで』までもが地獄の一部となっているらしい。なんでも地獄に堕ちるまでに千年程時間を掛けて地獄の炎に焼かれながら落下し続けるらしい。


そこまで悪い事をした覚えはないから勘弁してほしいものである。最近私がやった悪い事など、晩御飯をつまみ食いしたり、ご飯前にアイスを二本食べたり、夜中遅くまで夜更かししたくらいだ。地獄に堕ちるにしても手加減してほしい。


そんな馬鹿な事考えつつ枕から顔を離して仰向けに姿勢を変える。そのままぼんやりと天井を見上げていた。


それから十分程たったろうか。私はボソリと呟いた


「とりあえず小説を書こう」





『物書き』か『ゲーム作り』か。どちらを趣味にするかあれからずっと考えていた。結果、私は『物書き』を選ぶ事にした。とは言え、『ゲーム作り』を諦めるわけではない。自分のやりたい事をする前準備という意味を含めて、まずは小説を書くことにした。


『自分でストーリーを考えて、自分で絵を描いて、自分で作曲して、いつか自分が想像する最高のゲームや絵本を作る』


この目標を達成するために、何から始めるのが最も効率が良いかを私は考えていた。


絵は人に誉められるレベルではないにしても練習すればもう少し上達する自信はあるし、最悪ドット絵を使用すればゲームに使う絵はどうにでもなる。なので優先順位は低い。作曲についてはハードルは高いが、音楽の知識を今から勉強するのは効率が悪い。おそらく、音楽を勉強している間に他の事進めた方が早く目標に近づけるだろう。本当は先に手を付けた方が良いだろうが、時間と私の能力を踏まえると今は手を付けないほうが無難だろう。総合評価『C』を侮ってはいけない。


 そのように自分の技能と自己評価から想定して消去法的に考え、一番短期間で自分の目標に近づけそうだと感じたのが『物書き』。つまり、小説を書くことだったのだ。


仕事の単純作業をしている時間にストーリーを考えつつ、帰宅してから執筆。こうすれば一番無駄がない。仕事の時間に趣味を絡ませる事が出来れば仕事も少しは楽しめるようになるかもしれない。なにより、単純作業をしている間は時間の流れが異様に長い。何も考えず作業に没頭していても一時間たつのが非常に長いのだ。その時間を利用してストーリーを考えれば時間も早くたつようになるかもしれないし、なにより時間の有効利用が出来る。考えれば考える程、メリットしかないように感じた。


そういった思考を経て出た結果、呟いたのが先ほどの『とりあえず小説を書こう』である。


考えはまとまった。そうと決まれば即行動である。私は布団から跳ね起き、勉強机に腰を掛けた。しかし、ある疑問が頭に浮かび固まってしまった。


『小説を書くのは良いが、書いた後はどうしよう?』


誰かに見せる? 誰に? ……母さん? 


私は母に自分が書いた小説を見せる場面を想像してみた。そして、すぐさま頭を抱えて机に突っ伏した。


いやいやいや、母さんに見せるのは無いな。絶対に『うん、面白かったよ』と当たり障りの無い事しか言われないだろうし。なにより、恥ずかし過ぎる。そんな事をしたらこの歳で黒歴史が製造されかねない。流石に死にたくなる。


誰かに見せたい。でも恥ずかしいから見せたくない。クリエイターなら誰もが一度は陥る矛盾にとうとう突き当たってしまった。なにが厄介かといえば、身近な人になればなる程に恥ずかしさが増長する事だろう。最悪、顔を見れなくなる可能性すらある。


そんな事を考えていたら、突然トラウマがフラッシュバックした。中学生の頃だったか。部活カバンに忍ばせていた小説のネタ帳を学校の先輩に勝手に見られて散々弄られた時があったのだ。それからしばらくたっても周りからつつかれた事を思い出す。


……思い出したくなかった!


私は思わず両手で顔を覆ってしまった。顔が火照っている。今、自分の顔を鏡で見たら間違いなく真っ赤だろう。なんなら耳まで赤い自信がある。よりによって、中学時代一番のトラウマを思い出してしまうとは。これで、身近な人に見せる気は完全に消え去ってしまった。


困った。せっかく趣味が見つかったのにどうすれば良いんだ?


勉強机にうつ伏せのまま、私は途方に暮れてしまった。


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