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掌編小説集10 (451話~最新話)

眠くなる

作者: 蹴沢缶九郎

ガシャン!!


雨の降りしきる交差点で信号待ちをしていた車に後続車が追突した。追突してしまった後続車のドライバーは慌てながら車から飛び出すと、前方の車に駆け寄り呼び掛けた。


「すいません!! 大丈夫ですか!?」


呼び掛けに応じる様に車のドアを開け、姿を現した追突された側のドライバーは、「大丈夫です」と一言答えた。見た所、大した怪我を負っていない様子の被害者に胸を撫で下ろした加害者のドライバーは、直ちに警察へ連絡をし、やがて現場にパトカーがやって来た。

パトカーから降りた警察官は、被害者の顔を確認すると、耳を疑う言葉を口にした。


「またあなたでしたか。これで事故に遭うのは何度目です? こんな雨の降る日に何故か事故に遭う」


警察官の言葉に、これは何か訳がありそうだと感じた加害者ドライバーは思わず警察官に尋ねた。


「今、何度目かと仰いましたが、失礼ながら私が言うのも何ですが、この方は何度か事故に遭われているのですか?」


「ええ、そうですよ。私がこの人の事故現場を担当するのは初めてではありませんからね」


警察官はあっけらかんと答えた。加害者ドライバーは、「そんな、つきのない不運な人間もいるのだろうな」と思った。

警察官は続けて加害者ドライバーに言った。


「因みに、あなたが事故を起こした原因は睡魔でしょう?」


警察官にズバリ言い当てられた加害者ドライバーは面目なさそうに額を掻き答えた。


「その通りです。よくわかりましたね。前方車のワイパーの動きを見ていたら、何故かだんだん眠くなってしまって…」


加害者ドライバーの言葉に警察官は、


「今まで事故を起こした方達も皆同じ事を言っていたのでね」


と、慣れた様子で被害者である催眠術師の車を見た。

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