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勇者になった幼馴染の回収について

作者: ゆくの

久しぶりの投稿です。よろしくお願い致します。

「なっちゃん、メットとグローブとバットどうする?」


同じ草野球チームのおじさんが、夏美に声をかけた。

夏美のフルネームは、『橋本はしもと夏美なつみ』で、商店街の酒屋の娘で高校1年の女子である。

まごうことなき女子高生ではあるが、地元商店街の草野球チームで選手をしているちょっとアグレッシブな感が否めない少女であった。

そう、あくまで選手である。けして、マネージャー的存在ではない。

整った顔立ちは、可愛いというより綺麗系に分類されるが、いかんせん本人の自覚が薄く、結果いただく称号が「男前」という今日この頃である。


「バットは、持って帰るよ。兄貴が素振りしたいって言ってたから」

「おう。じゃあ、メットとグローブは預かるよ」

「ありがと、西さん。お願いしまーす」


夏美は、バットを手にそのまま帰ろうとしたところで、やはり同じチームのおじさん達が、集まって何か話をしているのに気が付いた。


「どうしたの? 中村さんたち?」

「なっちゃん」

「おっ、もう帰るのかい?」


相手は、生まれた頃から知っているご近所さんである。気心も知れているというもの。


「うん。今日は、夕方から店番だから。で、何かあったの?」

「ああ。八百屋んとこの次男坊の勇ちゃんが、昨日から帰ってないらしいんだよ」

「なっちゃん。勇人くん、昨日学校にいたのかい?」


言われて少し考えるが、夏美は校内で確かにその姿を見ていた。


「いたよ。普通にいつも通り」

「近所で事故があったなんて話も無いし、ちょっと心配だね」

「最近は、物騒だから、男でもちょっとねぇ」

「んー、友達に聞いてみるよ」

「ああ、そうしてやると助かるんじゃないか」

「そうだね。なっちゃんも気を付けて帰りなよ」

「うん、ありがと。じゃあまたね」


話題に出た『勇人』は、同じ商店街の八百屋の息子で、フルネームを『坂下さかした勇人ゆうと』という。

夏美と同い年の幼馴染で、進学した高校も同じの腐れ縁というやつである。

男女の違いがあるため、最近はつるむことも少なくなったが、近しい友人の枠に入っていた。

夏美は、スマホを取り出して、一番近しいグループラインへ【誰か 勇人見なかった?】と流してみた。

時間を確認すると、あと2分ほどで二時さしかかろうというところだった。

夏美は、そのうち返事が上がってくるだろうと、スマホを肩から斜め掛けしていた小ぶりのショルダーバックへ戻した。


「ったく、あのバカ」


呟いて溜息を吐き出し、左足から踏み出した夏美の足下を、影が横切ったように見えた。

気を取られて、視線を上に向けるが何もない。不思議に思いながら出した次の一歩。妙に重い気がした。


「ふんっ!」


気合いと共に干渉してきた何かを振り切る様に右足を前へ出して着けた地面に、足をぴったり収める大きさの光の円が現れた。


「あ?」


呟いた瞬間、円が光の環になって夏美の足首に巻きついた。

まるで足首を掴む様に。


「なん――」


体ごと引っ張られる感覚が夏美を襲う。


「だ?」


セリフの続きがこぼれた夏美の前に広がっていたのは、視界の開けた景色だった。

この時は、すでに歩いていた土手の上から、夏美の姿は、忽然と消えていた。



視線を上げた夏美の前には、丘陵地帯であろう場所が広がっていた。

そこは、鈍色と緑と赤の混ざり合った美しいといえない場所だった。



 ◆ ◇ ◆



怒号と叫び声と重たい何かや金属がぶつかりあう甲高い音が響く。


「……は?」


首を傾げる夏美の目の前を、鈍色の塊が横切っていった。

視線で追えば、中世を思わせる汚れてしまった銀の甲冑を付けた大柄な男だった。

そのすぐ後から、倒れた男の倍はあろうかという緑色の巨体の何か現れた。それは、緑色の肌で豚のような顔の巨体の生き物だった。

夏美の美的感覚からしても『あ、不細工』と率直な意見が出る程度には醜い姿である。

両手両足があり二足歩行で、鎧らしき物を身に着けていて、腕には棍棒だか鉄の棒だかを持っている。

夏美の声に反応したのか倒れこんだ男から夏美へ狙いを変えたそれが、手に持った武器を夏美めがけて振り下ろした。

この少女、もともと身体能力は高かったのだが、いつも以上の判断力と反射速度で、叫びながら緑の物体の腹部めがけて、手に持っていた愛用の金属バットを振りかぶった。

夏美曰く。


「出会い頭に人様を殴りつけるたぁどういう了見だっ!!」


本人の自覚なく腕力も上がっていたため、緑の巨体は文字通り吹き飛ばされていく。

勢いよく飛んで行った緑の巨体に、さすがの夏美も首を傾げる。


「……あれ? 飛びすぎなんじゃ……」


だが、やってしまったものは仕方ない。夏美は、切り替えの早い少女であった。

助けたことになった自分の後ろにいる人物を振り返って、状況判断を試みる。

どちらにしろ、落ち着かないと話にならない。


「あー、こんにちは」

「あ、ああ」

「飛んでったアレって、人間じゃないよね?」

「ああ、あれは魔族のオークだ」

「よしっ。ギリセーフ」


小さなガッツポーズをとる夏美。

魔族がなんなのかよく分からないが、とりあえず人間では無いらしいので、現在時点で夏美的にギリでセーフらしい。

周りを見渡し確認する。夏美には、目の前に広がる光景が、夢か幻か真実かすぐに判断出来なかった。

だが、鉄錆くさい臭いとバットを振り切った時に感じた重みが、自分の身に起こっている事実なのだと告げている。

夏美自身、普段からけして鈍い方では無いが、突然放り込まれた非現実的な状態に驚くほどのスピードで思考が回転していくのを感じた。

その自分自身の思考に、何故? と思わなくもないが、それすら今現在の状況から後に回す項目へと頭の隅へ追いやって進める。


「おじさん。ここは、戦場で間違いないかな?」

「ああ。どうして君みたいな子が、こんなところにいるんだ?」

「さあ? 誰かの思惑じゃないかな。とりあえず、私の意志じゃないね。ところで、私みたいなって?」

「防具も着けず、まあ、武器は持っているようだが……。君は、魔術師なのか?」


武器ではないのだが……。魔術師だとすると、すごく腕力勝負にすぎないか?


「生憎、ただの女子高生だよ」

「ジョシコウ…? ん? 君は、女の子か」


草野球の練習帰りの夏美の服装は、赤いジャージ姿だった。

兵士の男の知っている女性というのは、小さくてもドレス、もしくはスカートをはいているのが常だった。


「まあ、そこんとこは今気にしないで」

「いや。それなら余計なんでこんなところにっ」


男は、騎士や兵士でもない女性が、巻き込まれた訳でもないのに、戦場にいる事実に驚いた。

この戦場には、あらかじめ住人や通行する者がいない事を確認済みで、巻き込まれるという状況が考えられなかった。


「あー、とりあえず落ち着いて状況把握するには、一旦ここから離れるかだけど……」

「そうだ、直ぐに別のやつがくる。少し離れたところまで送ろう。こちらに来なさい」

「あ、いや。何かちょっとムカつくから、責任者はどいつか分かる?」


尋ねる女子高生。


「……この戦場の中心ということか?」


なかなかどうして、おじさんも話が早い。


「うん。知らない?」

「多分、あそこだろう」


男が指差す方向には、小高い丘のようになった先に空中のそれなりに高い位置に浮いている人影らしきものがあった。


「あれ、……人間?」

「いや。多分、魔族だろう。敵の大将か、主軸の戦力なのは間違いない。あの下に勇者殿たちもいるはずだ」


夏美は、内心『勇者っているんだ』と思った。


「ふーん。あれか」


その時、何故か夏美には自信があった。冷静に考えて、普段であれば絶対無理であると自覚できるはずなのに、今ならそれを成しえるのだと夏美の中の何かが確信していた。

夏美は、足元に転がっていた、頭頂部が槍の先みたいに尖った突起物が縦に三つほど並んだ兜を手に取ると、野球のノックの要領で、軽く宙にほおって手にした金属バットを思い切り振り切った。


「しゃあっ!」


兜は、掛け声と共に恐ろしい勢いで真っ直ぐに飛んでいき、浮かんでた人影っぽいものに見事命中したのだ。

兜が見事に当たった空飛ぶ誰かさんは、勢いで少し横っ飛びしながら、落ちて行った。もちろん、勢い付きで。


「よっしゃ」


飛距離、速度ともに満足いくものだったのと、見事に命中したのに夏美が軽く握った拳を方の辺りまで上げて、小さなガッツポーズをとる。

飛んでた魔族以外に宙に浮いているモノがいないのを確認すると、兵士の男を振り返る。


「おじさん」

「……ああ」


ちょっとどころでなく驚いてる男は、それでも律儀に答える。


「他に、責任者がいそうなとこって知ってる?」


小首を傾げても、やった事実は可愛らしさに程遠い……。


「あ、ああ。今回は、あの一帯が間違いなく勇者殿一行が魔族と対峙している場所だ。勇者殿は、責任者では無いが、魔族の将軍は確実にあそこだろう」

「ありがと」


微笑んだ顔は、少女らしい可愛さがあった。

だが、……以下略。


「私、あそこに行くけど、おじさんも気を付けて」


夏美が、兜を飛ばした方向を指さしながら言うと、男は、顔を引きつらせた。


「いや、行くってどうやって行く気だ? あそこへたどり着くには、この魔族のひしめく戦場を抜けていかなければならないんだぞ」

「あー、多分いけるかなって。何か体が軽いんだよね。まあ、ダメならまた考えるよ」


夏美は、その場で軽く飛び跳ねながら、調子を確認してそう言った。


「じゃあ」


夏美は、男へ声をかけると、落ちた獲物目がけて飛ぶような勢いで飛び出した。

取り残された男は、一連の流れがスムーズ過ぎて、何も言えずに見送ってしまった。


「……なんだあれは?」


男は、次の瞬間に気が付いて戦闘へ戻る。

戦場では、状況判断のスピードが、確実に生死の分かれ目になるのだ。



 ◆ ◇ ◆



時間を少しだけ巻き戻す。夏美が落とした人影っぽいものと相対する一行の直前の様子である。

丘陵から小高い丘になり、反対側が崖のように切り立った場所で、この戦いの先端である両陣営のトップが、睨み合っていた。

勇者一行と、魔族の将軍である。

崖の上に立つ勇者一行と、その高さに合わせて宙に浮く魔族の将軍と名乗るワニのような見た目の二足歩行してるらしき人物である。

腕を組んで余裕の表情で立ちふさがる魔族の将軍が、勇者達を睥睨しながら宣う。


「こざかしい人間如きが、さっさと滅んでいれば楽に死ねたものを」

「そんな勝手な言い分が、許される訳ねえっ!」


叫ぶ勇者に、油断は無い。


「弱いモノは淘汰される。これは節理だろうが」


その顔に浮かぶのは、嘲笑。


「絶対に、許さねぇ」


力強く言葉を吐き出す勇者の男を先頭に、控えているその仲間たちも瞳に強い光を込めながら、静かに頷いた。

それは、覚悟というもの。

女魔術師のアレーナが、直ぐに魔法を打ち出せるように杖を掲げ、女騎士であるカリナは、光魔法を付与されている剣の切っ先を将軍に向ける。

猫の獣人で女盗賊のジェシカは、ナイフを片手に油断なく周りを警戒し、エルフの少女で弓使いのマリアナが弓を引き絞り将軍を狙う。

一番背後には、巫女のナーリアがいて、全員のフォローを出来るように法力を高めていた。

……見事に女子ばかりである。

個々の能力は高いのだが、人の印象は見た目である。

簡単にいうと、……ハーレム状態だなおい。


「安いっ! 安い意思であるわっ!!」


気分よく勇者に向かって高笑いする魔族の将軍に、勇者一行は重心を心持ち沈めて力を籠める。

そんな緊張感が高まる状況で、高笑いを続ける将軍の左横腹へ、いきなり飛んできた何かがぶち当たって衝撃に見まわれる。


「ぐはぁっ!!」


将軍は、叫びながら横へ吹き飛ばされて落ちて行った。




突然すぎて、驚きのあまり固まる勇者達。

ぶっちゃけ正体は、夏美の打った兜が見事命中して、その横腹にめり込んだのだが……。


「……何? 今の……」

「……どういうこと?」

「えっ?……」

「吹き飛んだ……」


アレーナ、マリアナ、ジェシカ、カリナのが順番に呟いた。


「くの字だった。……リアルでくの字だった」


勇者も、別の理由で思わず呟く。


「くの字って?」


初めて聞いた言葉に、アレーナが首を傾げる。


「俺の故郷の文字で、こう立てになった一本線を真ん中で折って矢の先の角度みたいになってる『く』っていう字があってな」


勇者が剣の切っ先で地面に『く』の字を書いてみせた。


「ああ、さっきのヤツみたいね」

「なあ」


崖の下を覗き込む一行。


「ベルガ将軍っ!!」


別の魔族が、地に倒れている将軍へ駆け寄るのが見えた。


「落ちてるな」

「本当に落ちたんだ」

「てか、まだ気が付いてないね」

「何があったんだ?」

「もしかしてあれがあたったのか?」


将軍のすぐ脇に、ひしゃげた兜が転がっている。


「兜?」

「兜ね」

「ふむ、兜だな」

「……とりあえず、降りてみるか?」


戻ってこない将軍に、仕方なく崖下へ降りる勇者一行。




落ちた将軍のところまできて、少し距離をとりながら、様子を伺う勇者一行。

将軍に駆け寄ったこれまた二足歩行のトカゲの様な魔族が、勇者の方へ数歩踏み出し、怒りをあらわに叫ぶ。


「貴様らっ!! げふっ!!!!」


叫んだ瞬間、その魔族に向かってすごい勢いで飛んできた何かが、ぶつかった。

というか、ぶつかって地面にめり込ませていた。

同時にあがった土煙が薄くなって様子が露わになると、そこには、魔族を地面にめり込ませて佇む少女の姿があった。


「あ。……ごめん」


少しも悪いと思っていない口調で軽く手を上げる夏美だった。


「はっ?」


勇者の口から、驚きの声が出ていた。


「ユウト?」

「どうしたの?」


仲間の少女たちから勇者へ向けて声がかけられる。

勇者ユウトに向けて。


「あ?」


誰何の対象である夏美が、勇者一行を見て零れた疑問を込めた声だった。




夏美が、この状況に至った経緯は……。

夏美は、いきなりトップギアで飛び出した瞬間、『これ、ヤバいかも』と冷静に判断した。

それもそのはず、それなりに力を込めて踏み出した一歩で、それなりに距離があった目的地までの三分の二くらいまで来てしまう勢いだったのだから。

ちなみに距離は、目測で三キロ前後といったところであった。夏美は、二キロくらいを一歩で進めたことになる。

左足で踏み出していたので、必然的に右足が地に着く。その一連の動きは、なめらかにして一瞬。

瞬時に判断を下す夏美は、目的の場所を飛び越えないように脚力を微調整して、着地点付近に人が密集していないことも確認した。

驚くことに、確認できてしまった。

一応、気は使ったのだが、状況は動くものである。

文字通り現場へ飛んできた夏美の足元には、もう一人の魔族が地にめり込む結果となったのであった。

そんな夏美の目の前には、実に見知った男が立っていたのだ。

そう、昨日から行方不明になっていた夏美の幼馴染が、勇者の勇人だった。


「夏美っ!? 何でお前がここに?」


呆然と立つ勇人。


「てか、ここ何処よ」

「うおーーっ!!」


もめてる二人の横で、気づいた将軍が大きな声を上げて立ち上がろうとする。


「うるさいっ!!」


大音響と共に夏美がバットを振り下ろし、もう一度気を失う将軍。

弁明すると、普段の夏美は、いきなりバットを振りかざすような危険人物では無い。


「……とりあえず、暴れないように縛り上げよう」


つい、とっさに手にしていたバットで殴ってしまったので、とりつくろう夏美だった。


「暴れる暇が、今どこにあったよ」


幼馴染のツッコミは、適格である。


「あぁ?」


しり上がりな濁点つきの『あ』が夏美から出る。


「縛っとこっ!」


幼馴染の対応は、以下同文。



 ◆ ◇ ◆



将軍が落ちて、魔族たちの勢いが落ち、魔族軍がいったん引いて行ったので、陣をはった場所で一息つきながら丁度よく立っていた狩猟の時の休憩に使われているらしい小屋に落ち着いた。

この場には、夏美と勇者一行と人間側の軍を率いていた将軍と軍師の大柄な男二人が揃っていた。

部屋の隅には、縛られた魔族二人が転がされた状態で。


「素晴らしいお力です。さすがは、勇者殿の幼馴染殿」


魔術師のアレーナが、にこやかに夏美を褒めたたえる。


「ただの女子高生なんだけど……」

「……いえ、魔力だけで言えば、勇人より大きいかもしれません」


巫女のナーリアが、怪訝そうな声で呟く。

そこへ、扉をノックする音が響いた。


「なんだ」


将軍が誰何すると、男の兵士の声が答える。


「はっ! たった今、大神官さまがおみえになりました。お通ししてもよろしいでしょうか」

「お連れしろ」


しばらくすると、扉が開き白く長い髭を蓄え、白く長いローブを見にまとった老人が部屋の中へ入ってきた。


「ジャロウ大神官さま」


ナーリアが恭しく頭を下げて礼を示す。


「巫女ナーリアさま、お勤めご苦労様です」


大神官も、礼を返す。

少し首を傾げる夏美に、幼馴染からのフォローが入る。


「細かい説明は、後でするけど、まあこの二人は立場的に同等なんだ」


夏美の『どっちが偉いんだ?』の思考へ軽い回答である。

大神官は、部屋を見渡し夏美を見ると、安堵の溜息らしきものをこぼした。

さらに夏美の疑問が上乗せされる。


「貴女が、勇者殿の異世界からの新たなお客さまですな。初めまして、大神官を務めますジャロウ・ロス・アーバスと申します」

「はあ。ご丁寧にありがとうございます。そこの、勇者になったらしい坂下勇人の幼馴染の橋本夏美です」


夏美の挨拶に、好々爺の笑顔で小さな頷きを二度繰り返して、その口から問題発言が零れていくことになる。


「女神アルアトゥース様のお告げ通り、勇者殿に近しい方がいらっしゃったのですな」

「大神官さま? お告げとは?」


寝耳に水だったのか、ナーリアが首を傾げて大神官へ確認している。


「はい。穢れた瘴気の為、ナーリアさまへお告げが届かなかったらしく、神殿の【水鏡の間】へお告げの【御言葉】が、光の球体となって現れました。第二巫女のマセスさまにご確認頂いたところ、召還の儀式をするご指示があったのです」


第二って、……巫女って何人いるんだよ、と思ったのは夏美である。


「そのご指示のもと、わたくしが自ら召還の儀を執り行い、夏美殿にお越し頂いたのです」


その言葉に、局地的現場は一瞬にして凍り付いた。

場所的には、勇者とその幼馴染の辺りが。


「……は?」


夏美の呟きと同時に、勇人の血の気が頭から一気に下がる。


「じーさん。あんたが元凶?」


夏美が、静かにバットをかまえようとする。


「待てっ! 夏美っ!」


即反応した勇人に驚いて、他の同席者達も一斉に、全員で止める。


「え? 何!? 何で怒ってるの?」


夏美を見て、女盗賊のジェシカが驚く。


「待って、待って、危ないからっ!」


魔力感知に優れたエルフのマリアナが、突然膨れ上がった夏美の魔力に驚く。


「落ち着け、ナツミ殿っ!」

「お待ちくださいっ、お客人!」

「お静まりをっ!」


騎士のカリナと将軍と軍師の三人は、理解が早い。夏美の動作に危機感を走らせる。


「夏美っ! ちゃんと帰れるからっ!」


勇人の叫びに、夏美の動きが止まった。

そのスキに、勇人が夏美の手からバットを取り上げて、女騎士のカリナに渡して遠ざけた。

夏美は、すんなりバットを手放した。本人も、多少動きが何時もより早くて咄嗟に殴りそうだと思っていた為で、実際には、魔族とはいえ殴ってしまっていた訳だが。

未だ殺気のこもった視線で、大神官に視線を向けてはいた……。


「本当です。元の世界へちゃんとお戻りいただけますっ」


自分の不用意な発言が不味かったことを理解した大神官が、ちょっと震えながら追随して宣言する。

ただし、直後に勇人の肩が落ちてしまったのだが。


「でも、いつになるか……」


勇人は、力無く呟いた。


「どういう事?」


勇人の落ち込み具合に、夏美が首を傾げる。

人間、自分より状態の悪い人を見ると、少し冷静になる事もある。……多分、あったりなかったりしたりする……はず。


「俺は、こっちにきて二年二カ月とちょっとになる」

「正確には、二年二カ月と二十日ですね」


勇人の言葉に、ナーリアが悪気は無いのだが、補足する。


「……は?」

「だから、俺がこっちに呼ばれて、二年以上たってるんだ。いつ帰れるかは……」

「あんたがいなくなったの、昨日の夕方だって聞いたけど」


夏美は、実にあっさりと事実を告げた。


「はぁ!?」


初めて、時間の流れが違う事に気づいた勇人だった。




「人間ごときが、我らを倒せると本気で思っているのか。思いあがるなよ」


緩めの会話をしていると、漸く気が付いた魔族の将軍らしい方が、会話に水を差した。

漫画に書いたように『わはは』と笑ったところで、夏美にまた殴られる。今度は素手で。

素早い、見事な一発であった。

素手だが、やはり衝撃を受けて殴り飛ばされる将軍。


「じゃかあしいっ!」


一応、夏美なりに手加減していた。小屋の壁を破って飛んでいかなかったのが証拠であるが、その事実は夏美以外まだ知らないので、分かりずらい気遣いではあるのだが……。


「帰る条件ってなんなの?」


まだ打ちひしがれ中の勇人をほっといて、話を進める夏美だった。


「……今は、召還の儀でこちらへ来ていただく扉だけしか開けられないのですが、魔王と配下の魔将を浄化できれば、瘴気と魔王たちの魔力で異界へお送りする為の扉を開けることができるそうです」


大神官の説明は、テンプレ感満載だった。


「ほう……」


夏美が腕を組んで呟くと、一同は、あからさまに慄いた。


「まあ、色々ツッコミ所はあるが、とりあえずその魔王をぶん殴ってからにすればいいんだね?」


一同、大きく頷く。何度も。少し必死で。復活した勇者ももれなく。

なにせ、この勇者、夏美に勝てたためしがない。……ただの酒屋の娘なのに。



 ◆ ◇ ◆



「じゃあ、魔王殴りに行くには、どうしたらいい?」


今後の夏美の(・・・)方向性が決まった所で、ざっくりとした夏美の質問が出る。

質問への回答は、この場の指揮官である将軍から説明という流れの中、突然、巫女のナーリアが宙を見つめて動かなくなった。

その姿に、夏美以外の人間い緊張が走ったのが分かる。


「勇人。彼女どうしたの? 何か病気?」

「ナーリアは、巫女なんだ。あれは、女神様からのお告げを受けてるらしい」

「え? 電波系?」

「をい」


夏美のツッコミに、一気にありがたみが消し飛ぶ勇人だった。


「賜りましてございます」


ナーリアがそう呟いて、漸く動き出した。


「巫女殿。女神アルアトゥースはなんと?」


将軍が、ナーリアへ問いかける。


「ナツミさまとユウトを近くの神殿までお連れするようにとのことです」

「は? 私?」

「俺も?」

「はい。直接お話しなさりたいそうです」

「え?」


ナーリアがにこやかにそう言った。

夏美は、胡散臭いなぁとちょっと不敬なことを思っていたりしたのだが、空気は呼んで言葉は飲み込んだ。




結局、勇者一行全員で近くの神殿へ移動することになった。

一行が神殿へ着くと、先に早馬で連絡していたらしく、その神殿の神官長だという人物が出てきてややこしい事になりそうだったので、夏美の機嫌を心配した勇人によって、とりあえず要件を済ませる段取りを急がせ、夏美と勇人は、『祈りの間』という部屋に通されたのだった。

十二畳ほどの窓の無いその部屋の正面には、五段の階段があり最上段に祭壇らしきものがあって、階段下の床に敷物が敷かれている。


「それでは、私たちは外でお待ちしていますわ」


ナーリアがそう言うと、両開きの扉が閉じられた。


「勇人は、女神様ってのに会ったことあるの?」


今の所、面倒事に巻き込まれた感の強い夏美にとって、女神と言われてもありがたみが感じられない存在である。


「ああ。この世界にくる直前に直接会ってる」

「へー」


実は、勇人も少しだけ疑問に思っていたことがあった。


「夏美は会ってないのか?」

「会ってない。土手歩いてたら、いきなり鎧着た人たちがわらわらしてる場所に出たんだよね」

「は? んー、おかしいな」


夏美の話を聞いて、勇人が首を傾げる。


「何が?」

「いや、俺がこっちの世界にくる時に聞いた話じゃ、この世界へ移動する場合、他の世界から来た人間は必ず女神様が自分の空間に一度呼び寄せるって言ってたんだ」

「知らんがな。私は、通ってない」


とりあえず話しながら二人が祭壇に近づいて階段の下で止まると、祭壇の中央にあった水晶が突然光を放った。


「なに!?」

「うっ」


眩しすぎて、二人が腕をかざして光をやりすごすと、今までと違う空気になった。

あからさまに何かが変わったのが、二人にも分かった。


「お久しぶりですね、勇者ユウト。そして、………初めまして、異界の少女ナツミ」


優し気な声がして前を見ると、先ほどまでいた部屋ではない真っ白い空間に、金髪碧眼の長い髪の美女が立っていた。

その美女が、話しかけてきたのだが、勇人へ向けた言葉の後、大変気になる『間』があった気がする夏美だった。


「あんた誰?」

「おいっ、夏美っ! この人は、この世界の女神様だから」

「あ? じゃあ、……元凶?」

「待てっ! 落ち着けっ! まずは、話だっ!」


だてに幼馴染をやっていない。とっさに止めに入る勇人だった。



 ◆ ◇ ◆



「本来なら、貴女をこちらへ呼ぶ時に、私から説明をする予定だったのです」


女神アルアトゥースが、少し悲し気にそう言うと、夏美が首を傾げた。


「じゃあ、何で呼ばなかったの?」

「呼びました」

「は?」


女神の即答に、夏美が逆側に首を傾げる。


「私は、貴女を呼んだんですー!」

「女神様っ!?」


いきなり叫んだ女神に、勇人の方が驚いていた。


「こちらへ来ていただくのに、一度この空間へ引き寄せようとしたのですが、ナツミは力づくで私の干渉を振り払って行ってしまったんですー」


女神様、もう半泣きである。

そこで夏美が、思い出す。


「……あ」

「夏美、心当たりあんのか?」


夏美は、確かにあの時一瞬何かに引っ張られた感じがして、思いっきり振り切った事を思い出した。


「引っ張られた感じがして、力いっぱい……」

「振り切ったんだな……」


謎は、ちょっとだけ解けた。


「たぶん、最強は、ナツミだわ…」

「は?」

「……ユウトより強いと思うわ」

「なんでっ!?」


唐突な女神様の言葉に、またしても勇人の方が驚いた。


「私の力を振り切ってしまった時点で、色々振り切ってしまったのよー!」


女神様、ガチの泣きが入っている。


「お前……」

「私が悪いみたいに言うな。れっきとした被害者だろうが」


理不尽な話に、夏美さんがちょっとお怒りモードで魔力の圧力が跳ね上がった模様。


「だいたい、私ってなんで呼ばれたの? 勇者は、勇人なんでしょ?」

「ユウトの気力が落ちてきているのを感じたのです」

「え? 俺ですか?」


この流れは、何だかまずいと勇人の緊張が一瞬にして高まった。


「ユウトを助け、巻き込まれても最後は許してくれる器の大きな人物を条件に、ユウトの近しい間柄の中から呼び寄せたのです」

「……は?」


微妙なその状況と条件に、夏美の機嫌がまたぞろ一機に下降する。


「ユウトに近しい人なら、元の世界に戻る時も、より正確に時間軸とかが捉えられるし……」

「ん?」


女神様の発言に、引っかかる夏美である。


「早い話、私は、勇人が帰る為に呼ばれたの?」

「……簡単に言うと……、はい……」


俯きながら応える女神様の声が、尻すぼみで消えていく。


「これの回収用に呼ばれたって事なの?」


「夏美っ! 待てっ! ほら、この世界の状況も切羽詰まってたんだから、ちょっと落ち着け! そんでごめんなさいっ!!」


完全に誤爆もいいところのとばっちり感に、夏美のこめかみに青筋が立つというもの。

その怒りによって、また魔力の放出が跳ね上がる。


「ひっ! ご、ごめんなさい~」


女神様も空気は読むらしく、素直に謝っていた。


「あんたねぇ。勇者の癖にモチベーションに振り回されてんじゃないよ。じゃあ、あんたは、なんちゃって勇者か?」


イラッとしたので、勇人にも矛先を向ける夏美だった。


「はっ!? ちゃんと勇者だっつーの!」


勇人にだって、2年以上がんばってきた自負が多少なりとも有るわけで。


「そうです。ユウトは、普通の勇者ですぅ」

「普通?」


はたして、勇者に付く枕言葉が【普通】で大丈夫なのか?

更にちょっとイラっとしていた夏美は、悪くない悪くない。

大事なことなので2回主張。


「じゃあ、あんたは、勇者【笑】でいいな」

「なんだよっ! そのちょっと残念な感じはっ!」

「ちょっとじゃない。あんたは、普通に残念な男なんだよ」

「ナツミ、それはユウトがちょっと可愛そうだわ」

「あっ!?」


尻上がりに出る夏美の声。もれなく「あ」に濁点が付いてる勢いで。


「ひぃっ!」

「あんたも女神【笑】だろうが」

「そんな、ひどいー」


女神様だと言われても、現状で夏美に迷惑をかけた女としか認識されていない残念な女神様である。


「まがりなりにも神なんて大層な名前名乗るなら、きっちり段取れっての! 一般人に振り切れる干渉力ならゴミの日に捨ててしまえっ!」

「うぅ、ごめんなさいー」


女神様的には、夏美あなたが規格外なんですと切に訴えたいのだが、今それを言うと藪蛇必至である。

いくら女神【笑】でも、その位は分かってる。




とりあえず、夏美の怒りが一旦収まったところで、本来の本題が女神様から説明がされた。

曰く、魔王や魔物は、循環できずに溜まった魔素が濁り淀んむ事で悪性のモノへ変貌する。

曰く、魔族達の瘴気に侵食された魔力を浄化し、大きな魔力の循環を目的としている。

曰く、魔王と四大魔将を浄化できれば、転移用の魔力が溜まるので二人とも元の世界に返すことができる。


「さっきもそんな話聞いたけど、なに、そのどっかの店のポイント制みたいなノリ」

「ポイ……?」

「ありがたみねーな、おい」


夏美は、あくまでマイペースだった。




祈りの間へ戻った二人が部屋から出て、さらに会議に使っていた部屋へ戻る。

実は、上位魔族を監禁しておける施設がこの建物付近に無く、仕方ないので実力者が多い場所で監視となり、そうなると現在会議に参加している人物達となって、捉えた魔族二人は、会議室の隅に転がされていた。

そんな魔族の二人は、夏美と勇人が会議室へ戻ると同時に目が覚めたらしく、またぞろ騒ぎだそうとする。


「うぅ……、この……」

「くっ、……閣下……おのれ人間風情がっ」

「あ?」


間髪いれずに、夏美が唸る。もちろん濁点付きの『あ』である。

いや、唸っているわけでは無いが、その場にいる全員には、夏美の濁点付き『あ?』が危険な生物の唸り声に聞こえてしまうのだった。


「「うっ……」」


どうやら、魔族の二人も逆らってはいけない何かだと本能で理解した模様。


「良し、とっとと始めるぞ。それ魔将とかいうやつだろ? 勇人、やれ」

「はやっ! 展開はやっ!」

「あんたが、さっさとしないから二年もかかってるんだろ。いいからやれ」

「くそー。俺だってガンバってたっつーの」

「は? 何だって?」

「何でもねーよ!」


勇人は、やけくそ気味で魔族達に近づいた。


「何をする気だ!」

「このっ、卑怯な!」


慌てる魔族に夏美が、ため息をついた。


「こっちは、忙しいんだよ。手間かける時間が惜しいんだっての。死なないんだから、ぷすっとやられときなよ」

「悪いな。あれ恐いからさー。だいたい、存在自体が卑怯なお前らに言われたかねーっつのっ!」


言いながら、勇人が聖剣を振り下ろした。


「あぁーっ!」

「あぅっ!」


魔族は、叫んで安らか? に倒れた。


「えぇ……」


続けて魔族二人に聖剣を突き刺した勇人が、若干いやそうな顔を隠さない。


「げっ、何あれ」

「なんか……気持ちわる…」

「うっ……」

「うわぁ」

「ちょっと、視覚の暴力ですね」


見ていたこちら側の女性陣の感想が、容赦ない。

なんだか、恍惚とした顔で正直キモイと全会一致。


「よし。あと魔将が3匹と魔王な。とりあえず、魔王は一発ぶん殴ろうか」

「なして、魔王だけ殴る気まんまん?」


勇人が、聖剣を布で拭きながら首を傾げる。


「ちょっと腹いせに。一番文句言われなさそうなヤツだから、いいかなって」

「……そうでつね」


これは、邪魔すれば自分が標的になると確信する事で、やはり全会一致。



 ◆ ◇ ◆



そんなこんなで、主人公たちは、今まさに魔王城の前にいた。もちろん勇者もその取り巻きも。

容赦ない夏美のスケジュール管理で、進む進む。

結果、夏美が現れた日から数えて八十日目。この世界で二ヶ月と二十日であった。

何やかや ―――魔将とかその配下とか――― をなぎ倒し、今まさに魔王残すのみという状況。

しかも魔王は、肩で息をして大変お疲れのご様子。

魔力も魔法も腕力すら桁違いな相手 ―――ぶっちゃけ夏美なのだが――― を前に、なすすべも無かった。


「ありえん! ……き……貴様らたかが人間風情が、この私、魔王たる私を倒すなど……あるわけが無いっ!!」

「はあ? 現実見なさいよ。私が言うのもなんだけど、そんなだから後手に回ってどーでもいいトコから足元すくわれんのよ」


プライドとかそんなもので現状を認識することを拒む様な魔王の発言を、心底呆れた声音で夏美が叩き落す。


「こざかしいわっ!」

「じゃかあしいっ!!」

「ぐはあっ!!」


さらに御託を並べようと口を開く魔王に向かって、夏美がかぶり気味の一言あびせ、そのまま魔王を殴り倒した。

この間、勇者ほかご一行様も、動けずじまいのありさまで。


「あ、なんかヒクヒクしてんな。死にかけてるみてぇ」


吹き飛んだ魔王が、床でちょっと身じろいでいるのを見て、勇人が呟いた。


「よし。勇人、やれ」

「え? ちょ、早くね?」

「あ? さっさとしろ」

「さーせんっ! 今やりますっ!」


魔王も気の毒だが、勇者【笑】のもつ聖剣でなければ魔王の浄化ができないため、勇人が止めを刺すしかない。

自分も気の毒になりたくない勇人は、速攻で魔王に聖剣を突き立てた。


「ああーー!!」


ゲームの様な光のエフェクトが広がり、魔王の中の魔力が無事浄化されたのだった。

やっぱり何だか恍惚とした感じで……。


「よし。完了だな」


清々しい顔の夏美に、ご一行様も安堵の一息をこぼした。


「でも、やっぱ、何かキモイ」

「うん。気持ち悪い」

「何なんでしょうね、あれ」

「うぅ……きもっ……、でも良かったよー」

「はい。何とか早く終わってよかったです」


勇人だけが、膝をついて疲労困憊の体。


「うう……終わったよー。でも、俺の二年は? 三ヶ月未満で終わるって、俺の二年ちょっとの努力は?」


いろいろ残念な愚痴を零していた模様。残念。



 ◆ ◇ ◆



物語は、こう締め括られる。

《かくて魔王は浄化せり》



もちろん、夏美と勇者【笑】の勇人も平和になった異世界から無事に帰還することができた。

二~三日残ろうとした勇人が、夏美に引きずられながらではあったのだが……。

因みに、二人が帰還したのは、夏美が異世界に呼ばれた二時間後の午後四時だった。


お読み頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 二年後くらいに、 勇人が、センター試験の前々日の塾の帰りに、また別の世界の男神に召喚されて、受験ノイローゼとか言われて、 その次の日に夏美(酒屋を継ぐので受験無し)が召喚されて、男神を謝るま…
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