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028[第一次バロン戦争]

028

[第一次バロン戦争]


「アングルテールの国民は私の味方だ!!

 いざ!!ケントへ!!!」


1216年5月。

フランス王太子ルイ軍は独自に船を集め、渡英の準備を進めていました。

しかしこれは、フランス国王フィリップ2世や教皇インノケンティウス2世から難色を示されていました。


  ……―――上手く出来るのか……?

     ルイは本当に軍を的確に采配出来るのだろうか。

     ブランシュに乗せられているのは明白。

     教皇は未承認……。

     この状況で、、ルイは勝てるのか?

     ルイには、アングルテール王国まで手中にする器量はあるのだろうか……?


国王フィリップ2世は期待しつつも、不安で仕方がありませんでした。


 5月中旬、ルイ軍は出航し、5月21日、ケント領サネットの海岸に現れました。


その頃、ジャンは反乱軍に悩まされてロンドンに近付く事も出来ず、

年明けは遥か北方スコットランドまで進んでから、

2月になってやっとの思いで東海岸を南下、

ケンブリッジを過ぎて、5月にやっとハートフォードに滞在出来ていました。

そこへ「王太子ルイ軍接近」の報せを受け取ったジャンは、

より一層暴飲暴食を繰り返すようになりました。


   「陛下………、向こうに見えるのが、サネットの岬です……。」


エセックスの南端、テムズ川河口北岸からその対岸を望むジャンら一行は、

ルイの艦隊が上陸してくるのをただただ固唾を飲んで見届ける事しか出来ませんでした。


ルイ軍の本隊の上陸を知ると、カンタベリーとロチェスターは直ぐに彼らに城の鍵を渡しました。


「ルイス様の勝利!!ロンドンはルイス王子の物だ!!!」


ロンドンまでの道筋は殆ど抵抗なく、

ルイは難なくロンドンを掌握すると、

1216年6月14日、ウィンチェスターに入城を果たしました。


「国民よ!!

 身勝手傲慢な王は逃げ出した!!

 これよりはフランス国王家臣たるアングルテール国王は、

 フランス国王フィリップ2世嫡子ルイである!!!」


   「ルイス王ばんざい!」

   「奴隷のような扱いはもうごめんだ!

    これからは自由民だ!!」


国民はルイを歓迎しました。

しかしこれは、戴冠式を伴わない、

教会の正式な承認の無い、僭称も同然の行ないでした。


  ―――……‥‥・・・


 ―――パリ。


   「ペルシェ伯軍は、だいぶ良い仕事をしたようですね。

    そのお陰で殿下は難なくロンドンに入れたと。」


重臣のブルゴーニュ公ウード3世がパリを訪れていました。

フィリップ2世は、重たく頷きました。


「ルイはロンドンを抑え、その周囲も皆同調しているようだ。

 ペンブルック伯の息子ウィリアム2世も造反諸侯方にある事も大きい。

 もう殆どアングルテールを治めてしまったようなものだ…。

 思ったよりも動ける、期待して良いのだろうか。

 だが、要となるドーヴァーを押さえていないのは、少々心配だな……。」


   「なんと……!

    海峡を押さえていないと?!

    それは危険過ぎますな……。

    裏口を掌握していても表玄関が開けっ放しのようなもの……。」


      「ブルゴーニュ公殿の仰る通りです……!」


そこへフランドル戦線からの報告が入りました。

フランドル戦線。

フランドル伯フェランが捕虜になってからは、

本来の伯爵であるその妃ジャンヌ女伯が未だに抵抗していました。

フランドル伯領の南のアルトワ、

その海岸に突き出た地域であるカレーの街がブリテン島との海峡が最も狭くなる場所で、

その対岸がケント州ドーヴァー。


   「では、ドーヴァーから?」


      「ええ、はい。

       殿下は、そのドーヴァーで今苦戦を強いられています。」


ドーヴァー海峡、フランス側からの呼び名はカレー海峡。

この海峡は英仏間の交易の要。

その場所にあるドーヴァー城を守っていたのが、ケント伯ヒューバート・ド・バラ。

ルイ派はまともな艦隊を準備出来ず、

大した軍備も出来ないままであったルイは、逆転され、

圧され始めていました―――……‥‥・・


 ―――1216年夏、パリ。


   「どういう事ですの?!?!」


突然やってきた女性の声に、フィリップ2世は目を瞑りました。


「なんだ?ブランシュよ、そんなに慌てて?」


   「なんだではありません!

    王陛下!

    援軍を送らないというのは本当なのですか?!

    ルイの要請が聞けないというのですか!」


「本当だとも。彼は私の反対を押し切って勝手に渡英した。

 自身で決着を付けさせる。」


   「夫は今艦隊が欲しいと言って来ているのよ!」


「ブランシュ、何度言ったら分かる。

 私からは援軍は送らないよ。」


   「そう!分かったわ!

    お義父様が軍を出さないというなら、私が行きます。」


「ぇ?!、おぃ、ブランシュ?!」


フィリップ2世の制止も聞かず。

王室を出ていった王太子妃ブランシュは、直ぐに実家カスティリア王国の力も得て艦隊を用意しました。

そしてブランシュが一人で艦隊を指揮し、渡英してルイを援護したのでした―――……‥‥・・。


「……まったく…、あの娘は祖母に似て、なんと戦争好きな女なのだろう…。」


フィリップ2世は苦虫を噛む思いでいました―――……‥‥・・


 さて、教皇権の全盛期を築いたインノケンティウス3世も、1216年7月16日、その生涯を終えました。


 次の教皇は、ホノリウス3世。

前神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世の嫡子でシチリア王フェデーリコの家庭教師も務めた事のある枢機卿です。

この時既に68歳。

インノケンティウス3世よりもだいぶ高齢の人物が選び出されたのでした―――


    ・・・‥‥……―――


  ・・・‥‥……―――


「‥‥…。あの艦隊は王太子妃が連れて来ていただと?」


それを聞いてジャンは食事の手を一瞬だけ止めました。

散々艦隊が痛めつけられた報告を受けた直後、その原因がフランス王太子妃ブランシュであるとの報告を聞いたのです。


   「はい。

    まさかフランス王の反対を押し切ってまで出てくるとは、思いも寄りませんでした。

    艦隊の指揮までしていたそうです。」


「くそ………!!!あいつめ!!!

 母の怨念でも乗り移っているのか!!!

 まだ俺を恨んでいるというのか!!!!!」


ジャンは再び怒りに任せて酒を飲み干しました。


   「ウェールズまで戻り、体制を立て直しましょう。」


ブランシュの率いた艦隊によって、ジャンの軍は撃破され、

再び劣勢となってしまっていました。

仕方なくジャンは西へ退却し、体制を整えます。


  ―――ドーヴァー城では、包囲戦が続いていました。


   「南側は崖、東西は入り組んだ谷で要害だ。」

   「やはり尾根続きである北からしか攻める方法はあるまい。」

   「だが、篭城方も分かっているから北門の守りを強化している。」

   「実に攻めにくい事になったな……!」


7月から開始されたドーヴァー城包囲戦でしたが、なかなか進展はありませんでした。

ブランシュの艦隊はジャン軍の侵攻から守るのに手一杯で補給を行なう手段もありません。

真夏の攻城に、兵達は不安と不満が募ってきていました。


ジャンはウェールズで軍を調達した後、

1216年9月、グロスター東端のコッツウォルズから東進。

既にルイに占拠されているロンドンと、

同じく大都市であるリンカンとの補給路を断つべく攻撃を開始しました。

リンカン城はまだ保持していた事もあり、この作戦はある程度の成功を収めます。


「よし!!功を奏しているようだな!!」


高らかに笑って再び骨付き肉を齧りつきました。


「ノリッジまで行って、大陸と連絡を取るぞ!」


ジャン軍はさらに東進してノーフォーク州ノリッジに向かいます。

その途中、同州キングズ・リンでウーズ川を渡る必要がありました。

広い河原を進んでいた時でした。


  ゴゴゴゴゴゴ………


   「むむむ、地震か?」

   「気のせいか。」「いや、地震かもな。」


そして一行は川を渡り始めていました。


  ザザザザザ…………


   「なんだ………???なんだこの音は???」

   「んん??水量が??」

   「どんどん増えているぞ??」

   「な?!なんだ!?」

   「川が増水する!!!」

   「高台に逃げろ!!」

   「増水が!!早く荷物を運べ!!」

   「食糧を確保しろ!!」

   「迷うな!早く渡れ!!」


そう思ってから、瞬く間に川が溢れ、辺り一面が海水で溢れてしまいました。

海岸からだいぶ離れていたはずなのに、海水は腰程の高さにまで増えていました。


   「おい!!大丈夫か??荷物は流されていないか??」

   「まずいぞ!引潮が来る!!」

   「足をすくわれるぞ!!!」

   「来た………!!」「何かにしがみつけ!!!」


本当の被害はこれからでした。

物が連れ去られるのは一瞬の出来事でした。


   「「ぐわわっぅ………っ!!」」


上る時はゆっくりだった海水は、引潮の速度は何倍も速く、

轟音と共に、多くの兵と荷物を海までさらって行きました。


   「酷い………!!なんだ??」

   「高い所へ!!波に連れ去られるぞ!!!」


   「陛下!!何をしています!!!早く高い所へ!!!!」


「俺のっ、俺の、あの鎧はどうした??指輪は??

 あぁぁ!!

 あのエンブレムが入った箱が無いじゃないかぁぁ!!」


   「陛下っ、まだ潮が来る危険があります!!

    早くこの場を離れましょう!!お願いします!」


「金が…!!俺の財産が…!!!!」


   「陛下!早く!!」


高潮は、ジャンの財産の殆どを浚ってしまいました―――…‥‥・・・・


  ・・・‥‥……―――――


   「陛下…、気を確かに…。

    また職人たちに作らせれば…」


「ぁぁぁ…、お気に入りだったのに…。。。あの剣は宝物だったのに………」


失意のジャン。

この財産の損失が大変ショックだったようで、

もともと栄養過多だったジャンでしたが、さらに暴飲暴食を繰り返します。

それが祟り、赤痢に罹ってしまいます。

リンカンの南西25km、ノッティンガムシャー州ニューアークに退き治療を試みましたが、

1216年10月18日、甲斐無く、死去―――……‥‥


 あまりに突然の悲劇でした―――


      ―――……‥‥・・・


   ―――ウィンチェスター。


摂政ウィリアム・マーシャルら重臣たちはウィンチェスターに帰還しました。


   「え………??父上が……??」


「申し訳ありません。急な病で、医師の力も及ばず……。」


残されたのは、妃イザベル・ダングレームとその間に生まれた、

アンリ(1207-)、リシャール(1209-)、ジョーン(1210-)、イザベル(1214-)、エリナー(1215-)の五人。


   ――なんと痛ましい事……!――

   ――ヘンリー王子はまだ9歳だ。――

   ――娘さん達もまだまだ小さいのに……――

   ――これは、そうそうにヘンリー様に戴冠して頂き、

     正式に即位していただかなければ……!――

   ――しかし、どうやって??――

   ――おお、これはこれは、ビッキエーリ様!!――

   ――教皇使節のビッキエーリ様です!――


   「国王ジャンの死を聞きつけ、急いでやってまいりました。」


「おおお、教皇使節と……。

 これは心強い味方が現れた。」


   「ここウィンチェスター司教を始め、

    周辺諸侯はアンリ殿下の即位に賛成、

    もとい、それが正統と考えております。」


「ですが、使節殿。

 ロンドンがルイ殿下に奪われており、

 ウェストミンスターでの戴冠が行なえません。」


   「提案があります。

    グロスターは如何でしょう。

    グロスターは亡きジャン王の最初の妃の家である名門で、

    関わり合いの深い土地です。

    イザベル様からグロスター伯爵位を剥奪した見返りとしても、

    グロスターでの戴冠は大きな意味を持ちます。」


「うむ、名案だ。

 アイルランド、ウェールズとの架け橋ともなるグロスター。

 よし、では今直ぐグロスターへ向かおう。」


こうして1216年10月28日、

ジャンの嫡子アンリが、アンリ3世としてアングルテール国王に即位、戴冠式を済ませました。

新国王アンリ3世は9歳。

王冠は、ネックレスから作らせた即席のものでした。


「しかしこれで名実共にアンリ殿下が国王となった。」


   「教皇使節によって戴冠された、教皇庁承認の王です。

    ですが、ウェストミンスターを始めとした多くの諸侯が

    ルイ王太子を担ぎあげています。

    どう対処するおつもりです?」


「反乱を起こしている諸侯を納得させるには、

 再びマグナ・カルタを承認すれば良い。」


   「以前の条項は諸侯が好き勝手に作った為に問題が多過ぎました。

    私が添削してより正当な条約として作成いたしましょう。」


こうしてマグナ・カルタは修正され、

摂政らが署名してアンリ3世の名で新たに発行される事になりました。

1216年11月12日、マグナ・カルタの再発行により、

ウィンチェスターを始めとしたブリテン島南部から西部にかけては、直ぐに新国王アンリ3世に臣従しました。


  ―――……‥‥


摂政ウィリアム・マーシャルは、国民に訴えました。


「諸君には多大な迷惑を掛けてしまった。

 先王ジョンの罪はこの悲劇で赦していただきたい。

 先王は私に、

 嫡男ヘンリーを国王として戴冠させ、その摂政を務めよと仰せられた。

 まだ少年であるこの国王に、是非とも皆の協力が必要なのです。

 この王国は正式に認められた王国であり、

 その国王位はプランタジネット家によって受け継がれている。

 新しい国王ヘンリー3世はその正統な血を継いでいる。

 新しい国王はマグナ・カルタを忠実に守り、

 我々王室の重臣共もこれを厳守し、国民の意見を尊重すると約束しましょう。

 どうか、新しい少年王に忠誠を誓い、これを支えてやって欲しい!!」


摂政ウィリアム・マーシャルは国民に訴えかけました―――……


    ―――……‥‥・・・


  ―――その後、ウェールズは豪族同士が争うようになりました。


「イングランドと未だに繋がろうとする中部諸侯を許すな!

 真の主君は誰なのか教えてくれる!!

 このイオーウェルスの息子ルウェリンがウェールズを統一し、

 俺がグウィネズ地方を中心としたウェールズ大公国の大王となるのだ!!」


ウェールズ北西部グウィネズ地方を領有するグウィネズ王ルウェリン・アプ・イオーウェルス(1173-)は、

ウェールズ中北部のポウィスへの攻撃を再開させました。

グウィネズとポウィスは互いに仇敵同士の間柄でした。

 その当時、諸侯は一定の組織力を持ち始めており、

北西部のグウィネズ、中北部のポウィス、中南部のブレヒノク、西南部のデホーバース、

それぞれの領主がウェールズの覇者、即ちウェールズ大公位を巡って争っていました。

デホーバースがブレヒノクを併合したのは1045年。

以来デホーバース王国はウェールズ南部で最強を誇りました。

ところが1197年にデホーバース王リス・アプ・グリフィズが亡くなると、

アングルテール王国との関係を持っていたポウィス軍がデホーバースに侵攻。

ブレヒノク南東部の要衝ブイルスを舞台に激しく争いました。

そして1198年、ポウィス軍がリスの後継者グリフィズ・アプ・リスを捕らえてアングルテール王室に差し出しました。

これを以て事実上デホーバース王国の解体となりました。

ところが同年中にデホーバース王は解放される事になります。


  「諸侯らの説得に止む無く臣従する事を約束したが、

   朕はポウィス王を絶対に許さない!

   北部のグウィネズと共に挟撃する!」


デホーバース王は諸侯らの反対を振り切り、

グウィネズ王ルウェリン・アプ・イオーウェルス(1173-)と図って反撃に出ました。


     「グウェンウィンウィン様!

      大変です!

      ディー川一帯にグウィネズ軍が!

      フリントとチェスターがグウィネズ軍に奪われました!」

     「北部のファードッグがポウィスからの独立を宣言し、

      グウィネズに協力したようです!!!」


ポウィス王グウェンウィンウィン・アプ・オワイン(-1216)は机を叩き立ち上がりました。


「なんだと??ファードッグが?!!?チェスターが?!

 くそっ!!図られた!!

 デホーバースは北のグウィネズと共闘するつもりだったのか!」


ここで大敗北を喫したポウィスは北東部のグウィネズからも攻撃されてしまいます。

1202年、ポウィス王グウェンウィンウィンはグウィネズ王ルウェリンに忠誠を誓う事を余儀無くされました。

するとグウィネズ王は、かつてポウィス王とデホーバース王が争ったブレヒノク領にも侵攻し勢力を拡大しました。

グウィネズは、ポウィスを従わせ、ブレヒノクを占領し、デホーバースと同盟し、ほぼウェールズの全土を治める事になりました。

 ウェールズの覇権に近付いたグウィネズ王ルウェリンは、

アングルテール国王ジャンとも良好な関係を築く事に成功し、

ルウェリンはジャン王の娘ジョアン(1191-)と政略結婚する事になります。


その後、さらに勢力を拡大させたいルウェリンが目をつけたのは、

ポウィス南部のポウィス・ウェンウィンウィン王国でした。


「ポウィスには従わない諸侯も多い!

 その責任はポウィス王にある!ポウィスを攻めよ!!!」


ルウェリンは、ポウィス王を反逆者とみなしてポウィス・ウェンウィンウィン領に侵攻、

1208年にポウィス王グウェンウィンウィンを捕らえ、ジャン王の元に送りました。


  ――ジャン陛下……。

    グウィネズ王の言う事は信用出来ません!

    何か裏があるに違いありません。

    ポウィス王の反逆を許し、ポウィス城に返した方が得策でしょう。――


「ううむ、これまでの忠誠心を考えると、どうもおかしい。」


1210年、ポウィス王グウェンウィンウィンは解放されるばかりか、所領の一部も回復しました。


「ジョン国王陛下!!

 そこまで信頼していただけるとは!

 このご恩は必ずや!

 それにしてもルウェリンめ!良くもこの俺を騙したな!

 貴様の所業は絶対に許さんぞ!」


その後ジャン王の没落と共に、グウィネズ王とジャン王の関係は悪化していく事になります。

グウィネズは独立に向けて動き出しました。

そして今度はポウィスがアングルテール王室に接近しました。

しかしそのジャン王が亡くなると、ポウィスはアングルテール王国の保護を失う事になります。


「ポウィスは保護を失ったぞ!!」


グウィネズ王ルウェリンはニヤリと笑いました。


「今こそポウィスを征服する時だ!!

 全軍ポウィスに攻め込め!!!」


 ――ポウィス王国南部ポウィス・ウェンウィンウィン王宮(ポール城)。


  「グウィネズ軍が侵攻だと?!!」


    「ポウィス・ファードッグ王が降伏!!」

    「諸城が落とされ、グウィネズ軍は破竹の勢いです!!」

    「ブイルス城が奪われてブレヒノク方面からも攻撃されています!」

    「ウェンウィンウィンはもう持ちません………!!」

    「王様!どうかお逃げ下さい!!」


「くっ………!!」


北のチェスター、西のアベリストウィス、南のブイルスをなどなどの諸都市がルウェリン大王の所領となっており、

ポウィス・ウェンウィンウィン王領は完全に包囲されていました。

その状況ではポウィス諸侯も直ぐに屈服してしまい、中心地ポウィス城は窮地に陥りました。


「おのれぇぇ!!グウィネズ王め!!!

 絶対に許さぬ!!!

 いつの日か必ずやポウィスがグウィネズ王を討ち取ってやるぞ!!!」


ポウィス王グウェンウィンウィンは亡命するも、同年のうちに死去してしまいます。

こうしてグウィネズ王はポウィスにまで勢力を拡大したのです。

しかし、グウェンウィンウィン王の王子グリフィズ・アプ・グウェンウィンウィンはこの時既にアングルテール王国に保護されており、

その後彼はアングルテール王国内で育つ事になるのでした―――……


    「父の仇は、必ず討ってやる……!!」


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