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第3話 竹千代と小坊主天海

小坊主天海は、今度は幼少期の家康こと、竹千代にも、会う機会があった。


その間にも、世の中には、大きな変化があった。


1543年、種子島に流れ着いたポルトガル人によって、鉄砲が伝来した。


以後よさ=1543 ないか、鉄砲戦、


という語呂合わせで覚えたこの出来事だが、以後、鉄砲戦はむしろ戦の主流になっていくのだった。


時は流れ、1548年か、1549年の頃だったかな…。


その日、小坊主天海は、当時は松平家の居城だった、岡崎城に来ていた。

三河の岡崎城は今川によって占領され、竹千代は今川の人質になっていた。

「そなたは…。」

「そなたが竹千代か。それがしは小坊主天海と申す。」

実際に家康と関わるのは晩年のことだったが、早くも幼少の時から知り合いだったということになる。

そして、もう1人、この日遊びに来ていたのは、尾張のうつけこと、信長だった。

「よお、お主か。三河の松平の、今川に人質にされているという、竹千代というのは。」

これで、信長、家康、そして天海の3人が、一同に会したわけだ。

当時の信長はまだ若く、会う人会う人、誰彼構わず、悪態をつくことが多かった。

もちろん竹千代にも悪態をつく。世話役の平手政秀も、それには手を焼いていたという。

「まあ、お互いに仲良くやろうぜ。はっはっは!」

竹千代はただそれを聞いていただけ。

しかし次の瞬間、信長は小坊主天海の存在に気がついた。

「おい、そこの小坊主、名は何と申す?」

天海が答える前に、竹千代が答えた。

「はっ、この者は、小坊主天海と申す者にございます。」

すると信長は、

「天海か…。小坊主にしておくにはもったいないな…。

どうじゃ?わしのところに来ないか?」


この時はいったん考える時間をくれということで、天海はいつものように寺に戻っていった。


すると、寺の前の、広場になっているところで、日吉という少年が、何人かの少年と、少女たちを伴い、戦ごっこという遊びを始めていた。

日吉たちの組と、相手方の組とで、戦ごっこが始まった。


「ほら!そら!」


日吉は背後からしのびより、相手方の少年を、刀に見立てた木の枝でたたく。


「おい!後ろからは卑怯だぞ!」

「バーカ。戦に卑怯なんてあるかよ。

頭を使って、いかにして戦に勝つか、それだけだ。」


この時の日吉という少年こそが、草履(ぞうり)とりの足軽から、天下人にまでなる、後の羽柴秀吉、つまり、豊臣秀吉となるのだった。




これで、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人が、そろったわけだ。

それと、小坊主天海も。

歴史好きにとっては今さら説明する必要もないくらい、誰でも知っているような3人、信長、秀吉、家康であるが、


鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす

織田信長


鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ほととぎす

豊臣秀吉


鳴かぬなら 鳴くまで待とう ほととぎす

徳川家康


それぞれこの3人の性格を表したものだが、

そもそも戦国時代そのものが、「殺してしまえ」の時代だった。

信長に限らず、毛利にしろ、武田にしろ、そういうことをやってきただろう。

この戦国乱世を生き抜いていくためには、皆が皆、そうせざるをえなかった時代だったのだから。


戦国時代も次第に天下統一へと向かっていくとともに、

「殺してしまえ」の時代から、

「鳴かせてみせよう」「鳴くまで待とう」の時代へと、移り変わっていくさまを、詠んだのではないかと。

なお、「鳴くまで待とう」というのは、ただ単に待っているだけというのではなく、

チャンスの順番が来ないうちはひたすら待ち続ける、

そして、チャンスの順番が来た、と思ったら、ここぞとばかりに、つかみに行く、という意味合いだと、解釈される。


そして小坊主天海もまた、そんな戦国乱世を生き抜いていくことになっていくのであった…。



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