世界に不幸あれ
男は、わずか24歳にして自殺を望んだ。
男は、幼い頃から大人に決められて行動してきた。
唯一、自ら決めたことをやり遂げるため真冬の山に登った。
(あぁ...死ぬんだ)
男は一歩、一歩、雪道に足跡をつけるたび、身に宿る未練を捨てた。
山頂に着くと、男は軽装で来たことに気がついた。
だが今から死ぬ男にとってどうでもいいことだった。
崖に立った。下には雲がかかっている。
男は、身を投げた。
鋭い空気の音、鈍い音が身体中でなった。
何度も転がり皮膚がズタズタになる。
再度、落下する感覚に襲われ
終わった頃には、木の太い枝が胸を貫いていた。
(世界に不幸あれ)
とろけるような心地よさが包み込む。
(やっと、死ねる....)
「ちょーーーと待ったぁ!」
薄れる意識の中、男は微かな春の匂いを感じとった。
(ん....?)
(え..?死んだはずじゃ)
男は状況を把握しようと目を開けた。
真っ暗な空間で白くうごめく物があった。
(白い猿....)
「ほぅ...つまらない人生だな。お前。」
(はぁ...神か...分かりやすい登場で助かる)
「そう、いかにも。世は君たちの言う神である。」
(死んだあとも引っ掻き回されるのか...俺らしい...)
「まてまて、世は貴様にやり直すチャンスを与えるのじゃよ」
(二度もあの世界で生きるのか?俺にはそんな気はない。)
「知っておる。世の提案はまだ別の話じゃ。」
(図々しいやつだな...)
「世は世界を二つ作った、
一つは、化学が発展した世界。
もう一つは、生命エネルギーが循環している世界。」
(生命エネルギー?)
「魔法の世界じゃ、ふぁんたじーじゃ。そこで貴様に、魔法の世界での感想を聞きたいのじゃ。」
(・・・・・)
「人生をもう一度やり直せるのじゃよ?」
(別の世界、生まれ変わる)
「そうじゃ、特典もつけるぞ」
(分かった....引き受ける)
「では、ふぁんたの世界でまたなのじゃ」
(ファンタジーな....)
その後....光が襲った