ちょっとした記憶
何?
公園? それも広い公園、小さい頃・・・・・・
俺もなんか小さい頃広い公園ででっかい土偶の置物見た気がしてきたぞ。
「・・・・・・どうしたの? あ、ごめんなさい、私人形の事になると夢中になっちゃうみたいで」
彼女は顔を染めて俯いてしまった、そういえば今日初対面なんだよな、クラスでもこんな喋ってなかったようだった、人はとっかえひっかえ彼女の所に来てたようだが、ほとんどあの取り巻きのおっとり女子と男装女子で対応してたな、本当に好きなんだろう、この土偶が。
「まぁ、好きなものの事に夢中になることは、悪いことじゃないと思うよ」
何気なく言ってしまった、あーあんまり係わり合いにならないと決めてたのに、まぁいいか、クヨクヨしてもしょうがない過ぎたことだ。
「ありがとう、ミドリもサクマももっと見た目を気にするべきだって言って中々誉めてくれないんだー、こんなに頑張って可愛くしてるのに」
そりゃそうだろう、ちょっとあの二人に同情する。
「・・・・・・効果は凄いのに」
ん? 何かボソっと言ってたような気がするが突っ込まないようにしよ、怖いもん。
「あーほんと最初のヒミ君はおしかったなー、何で壊れちゃったのかなー、だーれも居ない公園にあったはずなのにー」
・・・・・・そう、俺も誰も居ない公園で土偶を見たことあるんだ、なんか段々思い出してきたぞ。
確か昔一人で思い切り走りたいとおもって公園に行ったんだ、理由? 走りたかったからだよ、昔は落ち着きが無くてウロウロする子供だったからな。
いつも行ってる公園は広くて走るのに丁度良かったんだ、その日はたまたま誰も居なかった、今にして思えば誰も居ないなんておかしいよな、まぁ気にしなかった俺もおかしいか、とにかく誰も居なくてラッキーと思って思いっきり走り回ってた。
そしたら広場のど真ん中にデッカイ土偶が鎮座してた、こんなの今まで見なかった、折角誰も居ないのになんか不気味で気味が悪かったんだ。
だから俺は・・・・・・
「そうだ思い出した、この人形の見た目、昔公園で俺が"張り倒した"土偶に似てるんだ」
彼女が、え? という顔でこっちを見ている。
「いやー小さい頃さ、俺も広い公園で土偶見たことあるんだよ、それでバーンと土偶を倒しちゃったことあるんだ、まぁ子供のタックルで倒れちゃうようなヤツだったから、張りぼてかなんかだったんだろうな」
何気なく話しをしたつもりだったが、彼女はどうやらその話が気になるようだ。
「・・・・・・それはどこら辺の公園なんです? たとえば近くに池が多かったり」
「あー、池多かったよ、そんででっかい樹も四方にキレイに生えててさ」
それを聞いた彼女の空気が変わった。
「あ、あなただったんですね・・・・・・私のヒミ君一世を亡き者にしてくれたのは」
え、亡き者って大げさな、とか思ってると手を振りかぶって平手打ちをする姿勢をとっていた。