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愛好会

 そんなこんなで適当に終わった! とりあえずあんな高スペックな連中がクラスに居たんじゃ色々心の整理しとかんとな、泥にまみれる心構えとかな、そんなことを考えていると。


「篤ー、部活見学とか行かないのか?」


 仁にそう言われたが。


「いや、今日はゲーセン行って帰るよ」

「そうか、俺も入る気あんま無いけど、それなりにアクティブな所を見せとこうと思ってな」


 誰に見せるんだか。


「じゃまた明日なー」


 そういって俺は廊下に出た、学校は綺麗で過ごし易そうだった、まぁ特に用事もないし構内をぶらついてから帰っても良いかと、気まぐれをおこして歩いていると。


「ちょっとそこのキミ」


 ギクッっと顔をしかめて、内心うわぁっと思って声の方へ体を向けると。


「すまないが、この荷物を持っていくの手伝って欲しいんだ、先生は用事があって持っていけなくなってね」


 ガーンだな・・・・・・別に俺は気立ての良い好青年じゃない、面倒くさいものは面倒くさい、しかしここは何気なく事をこなすか。


「ええ、良いですよ」


 快く二つ返事で了承した、しかしこれでこの教師に媚を売ったことになるんだろうな、もうこんな手伝いしてやらんぞ!


「そっか助かるよ、えっと・・・・・・新入生だよね? じゃ場所を言っても分かり辛いだろうから、この紙の場所に持っていってくれる?」


 分かり辛いじゃなくて分からんだろうが! 新入生って分かってるなら頼むなよー。


 先生が書いてくれた紙の場所に行くと人形作り愛好会という張り紙が貼ってある部屋にきた、なんだ? 人形作りってアバウトだな、裁縫部とかそんな感じのものかな、しかしさっきから思ってたがこの荷物やけに重い、裁縫道具にしては重すぎるし、まぁとっとと渡して帰ろ。


「失礼します」


 扉を開けて入り中を見渡すが、とくに何も無かった、人の気配も無い、荷物を置いて周りを確認したがやはり誰も居ない、まぁ荷物は届けたし問題ないだろ。


「誰か居るの?」


 不意に声がドアの方から聞こえた、振り返りそしてその声の人物を見たとき俺は心臓が飛び出るかと思った、例のお嬢様だった、同じクラスなんだから多少の接点は覚悟していたが、なんかこんな運命っぽいシチュエーションは嫌だぞ!


「あ、同じクラスの 朝霞君だよね?」


 うわーい名前覚えてもらってるー嬉しくないよぅ、これは逃げねば!


「あーうん、先生にこの荷物持っていってほしいって頼まれてさ、ここで良いんだよね?」


 当たり障りない問答をして、荷物の受け渡しの確認をとって退散だ!


「あ! そうなんだ! ありがとうわざわざ、重かったでしょ? 自分で持ってくって言ったんだけど先生が持ってきてくれるって言うから頼んじゃったんだ」


 そういう世間話はいらんから、てかあの教師自分で持ってくって言っておいて出来てないのかよ!


「いや、先生も用事が出来たって言ってたからしょうがないよ、じゃあこれで荷物届けたからね」


 そういって部屋を出ようとしたら。


「もしよかったらちょっと見てみない? 人形、私の行きたい部活が無いから自分で作っちゃったの、まだ部員居なくて、だから愛好会なの」


 助けてくれー、普通の男子ならこんな美人にフレンドリーにされたら嬉しいだろうが、俺は帰りたいんじゃー。


「い、いや人形とか良く分からないからいいよ・・・・・・」


 なんて言ってる間に何か出してきた、何だこれは? 土偶か? 


「どう? 可愛いしカッコいいでしょ!」


 なん・・・だと・・・

 さっきまで俺が運んでたのは粘土と土人形だったようだ、なるほど人形作り愛好会ね。


「これなんかとってもシャープでイケメンだよねー♪」

「そ、そうだね」


 ふえぇ、この子が何を言ってるのか分からないよう、これはやべー奴だ、見た目とは裏腹にとんでもない趣味感性をお持ちでらっしゃる。


「今日は天気が良くて風も気持ち良いぐらい出てるから、お人形さんが作りやすいのよねー」

「へーそうなんだ」


 ちょっと返事が投げやりになってしまったかな? しかし分からないものにあれこれ言ってもしょうがないしな。


「ふふっ、ごめんね? 良く分からないでしょ? なんなら教えてあげるよ!」

「いっ いや間に合ってます」


 宗教勧誘じゃねーんだから、いや? もしかして俺狙われてる?・・・・・・


「あ、そうだ! これ見てこれ! これ自信作なの!」


 自信作、なにやら不穏な響きだ、どうやらその自信作は大きくはないようでカバンの中から取り出してきた手のひらサイズの土偶さんだ。


「どう? このサイズでこの張りツヤ、表情もハッキリ見えて凄いでしょ♪」


 まぁ確かにこれを自分で作ったってのは凄いと思うなぁ、ん? なんかどこかで見たことあるような。


「私の自信作のヒミ君シリーズ、手のひらサイズは中々難しくてね、で―――」


 何か語りだしたけど、俺はどうもこの人形見たことある気がするんだよなぁ、どこだっけかなぁ・・・・・・

 彼女が意気揚々と語っている側でこのモヤっとした思い、記憶を辿っていく作業に没頭した、ふと小さなころのことが頭にちらついた気がした。


「―――でね? ヒミ君シリーズは私が小さい頃作ったのが最初の子なの、でも最初の子壊れちゃったんだー、残念無念だよ・・・・・・広い公園に置いておいたんだけど倒れちゃってたみたいで、未だにトラウマなんだー、だからその後はなるべく私の目の届く所に置いてあるの!」


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