イブの苦悩
城の奥の小部屋で、ウッドとローズの声がしている。
「ローズ、いえ イザべラと呼んだ方が良いのかもしれませんね。
あなたはこれからどうするつもりなのです?」
「そうね、私は今夜のうちにでも手紙を残して静かに消えるかな?
私は今までもこうして生きて来たし、これからもずっとね。
ここの生活は本当に気に入って居たのよ、
かのんさんも バジルもセージもシルビアさんも
みんないい人ばっかりだからね。」
ローズはさびしそうな表情を浮かべている。
「そうですか・・・
私にあなたを止める権利は有りませんから」
ウッドも寂しそうに外を見ている。
「あなたは頭が良すぎますね・・・
まだみんなに甘えても良いんですよ、あなたはまだ子供なんだから
それでどうなってもローズあなたを誰も責めませんよ」
「ありがとう ウッド先生
でもこれは私の問題だから、自分で解決しないといけないの。
だから自分の意志で静かにこの村を出て行くのよ・・・。
かのんさん達には上手く言って置いて下さいね、
これ以上話して居ると出発しずらくなるから・・・」
そう言うとローズは部屋から立ち去って行った。
その背中を静かに見送るウッド、
「我が師 メゾン ピエーフの言葉、
『イブの苦悩が判るわ、どうしても救いきれないものもあるのよ。 判ると余計に苦しいの』
あの時は判らなかったその言葉の意味がやっと判ったような気がします・・・」
そう呟いて窓の外を見ると、
裏口から静かに出て行くローズの後ろ姿が有った。
冷たい月明かりが部屋に差し込み、静かに部屋を照らしている。




