月夜の邂逅
塩気を含んだ生臭い風が城内を吹き抜けて行った。
満月の光が柔らかに窓から差し込んでいる。
その風でローズも目を覚ましたようだ、あたりをきょろきょろ見回している。
「セージ? セージは居ないの?」
「ついさっき 外に走って行ったぜ、何時もの事じゃないか
朝になって腹が減れば戻って来るだろ?」
エドが皿に張ったワインを飲みながら話している。
「今日は満月じゃない・・・
満月には伝説の化け物が出るんでしょ? 大丈夫なの?」
ローズが心配そうな顔をしている。
「ローズって意外とかわいぃ」
シルビアが微笑みながら答えた。
「伝説の化け物なんて居る訳無いしぃ、
あんな物子供を怖がらせて、悪い事をしないようにするために
大人が考えたものなんだからぁ
ウエアウルフとかゴールドドレイクとか信じてるなんて、
大人びてるように見えるけどローズって、まだまだ子供なのねぇ」
「・・・・・・シルビアさんが言うと、全然説得力無いんだけど」
ローズは答えた。
「違いねぇ そんな化け物居るなら見てみたいな」
エドもうなずいている。
「ウエアウルフは知らないが ゴールドドレイクは知ってるぞ」
ゴールドドレイクじゃないな ゴール ドラゴン ドレイク
ドレイクに到達したドラゴンって意味だ」
ゾットがワインを飲みながらさらに続けた。
「名前を聞かなくなって久しいが懐かしい名前だな・・・
本当の名前はブルー
あいつ寝起きがむちゃくちゃ悪くて、むりやり起こされると火を噴いてあたりかまわず
暴れまわるんだよなぁ、
よく寝てるあいつをあいつをたたき起こして遊んだっけ・・・」
一同は目を丸くしてゾットを見ている。
「大丈夫だ あいつはまだ起きる時期じゃない、あと数十年は卵で寝てる時期だ」
ゾットは笑いながら答えた。
「やっぱり気になる、セージを探してくるね
起きなさいバジル!」
ローズが眠そうにしているバジルを起こした。
「何 何? もう朝なの?」
バジルは眠そうな目をこすりながら起き上がった。
「セージを探しに行くの 私についてきなさい」
ローズが半分寝ているバジルの手を引っ張って城の外に消えて行った。