光と波の記憶 17話
窓の外から か細い声が聞こえた。
嫌な予感が脳裏をよぎる
窓から外を見ると崖の下に有る路地で
レンが若い兵士に捕まり連れて行かれそうになっている。
「や 止めてください・・・」
か細い声で弱弱しい抵抗を抵抗を試みているが全く無意味の様だ。
兵士は容赦なくレンを押し倒そうとしている。
「やめな! あんた達のやって居る事は何なの?」
叫ぶが遠すぎて全く聞こえて居ないようだ。
全速力で其方に走っていった
そこに着くと既に セトが先に着いていた。
「おねえちゃんを苛めるな!」
そう言うと若い兵士の足にすがりついた。
「フールの民の分際で、生意気なガキだ
じゃあ こいつを殺して女はじっくり楽しむとするか」
若い兵士はそう言うとセトを足から引きはがし、地面に引き倒すと
その首に鋭い蹴りを入れようとした。
「だめ!! その子を殺さないで!
私はどうなっても良いから・・・」
そう叫ぶと レンはセトに被さり彼を庇った。
この光景・・・ 何処かで・・・
「くっ!」
レンの背中のあたりに、若い兵士の蹴りが当たり、
レンは苦痛の叫びをあげた。
セトが生きているのを確認して安心したように
「セト、良かった無事で・・・」
そう言うとレンはセトに倒れ込み意識を失った。
「レンお姉ちゃん!!しっかりして」
セトはレンをゆすったが返事は無い。
思い出したくない・・・
けど忘れてはいけない記憶・・・ 本当はずっと前から思い出していた。
今の仲間とか失いたくなくて封印していただけの記憶。
「そうだった・・・」小さく呟いた。
頬に温かい物が流れ落ちるのを感じる。
全部思い出した・・・
あたしの名前は・・・ そして何をやって来たのかも・・・。
「女も大人しくなったし、まずはガキから縊り殺すか」
若い兵士はセトの首に手を掛けようとした。
「強者が弱者をいたぶる光景って
ここまで醜い光景だったのね。
自分がやる時には判らなかったけど、
人がやるのを見ると良く判ったわ」
涙が後から後から止めどなく湧いている。
「お前 何言ってるんだ?」
若い兵士は唖然としている。
「あなたは今までに誰か殺した事は有るの?」
「え・・・有る訳無いだろ」
若い兵士は顔を曇らせた。
「もし無いなら、このまま立ち去りなさい
もしここで面白半分にその子を殺したら、ずっと後悔する事になるわ
この、あたしみたいにね・・・」
そう言うと愛刀を抜き、一瞬で兵士の背後に回り込んだ。
若い兵士は恐怖のあまり身動き一つできない。
「貴方は、人を殺める本当の怖さを判っていない、
あなたにも大切な家族が居るんでしょう?
その安らぎを永遠に失ってしまう。
殺めた命の重さで自分が奈落の底に落ちるの
・・・それが人を殺めるって事よ」
「た 助けて・・・」
若い兵士は青ざめて震えながら逃げ去って行った。
それで良いの・・・ あたしみたいにならないで・・・
いつの間にか降り出した雨が激しくなっていた。




