出撃ぷち魔王軍
台所の片づけが終わり 午後からはウッドが城の大広間の一角にある
魔王執務室で戦術の講義が始まった
内容は古典の戦術らしい。
大きな机を囲むようにして 何時もの面子が集まっている。
「兵は神速を貴ぶ」この意味は誰か判りますか?
ウッドが尋ねると
「速く行動することが最も重要って事ね?」
ローズが答えた。
「その通りです ローズくん」
ウッドがローズを褒めると嬉しそうに髪をいじっている。
「すぅ~ すぅ~」
かのんは涎を垂らしながらぐっすり眠っている。
「なんか ローズの態度偉そう」セージは毒づいた。
「つまりさ 先手必勝って事だろ?」
セージはバジルの方を向いた。
既にバジルは台所から大きなお鍋を持って叩かれるのに備えている。
「次に 「漸を杜ぎ萌を防ぐ」 」この意味は分かりますか?ウッドが
バジルが自分の方を指さしている。
「バジルのくせに生意気だぞ」
セージがバジルを叩こうとした瞬間バジルがお鍋をかぶり頭をガードした。
くわぁ~~~~ん 轟音が鳴り響き
セージは自分の腫れ上がった拳をさすりながらうめいている。
「自業自得よ」ローズが冷めた目でみている。
「その通りですね
叩かれそうになる前に防御の大なべを準備して
叩かれ始めたら早めに鍋を被って防御する
危険なことに対しては常に注意をはらい、
その兆しがあれば速やかに対策を立てるって意味です。
天然で分かっているじゃ無いですかバジルは」
ウッドが笑いながら話すと、
バジルは嬉しそうにはしゃいでいる。
「え? 何があったのかな?」
その轟音で かのんは目を覚ました。
その時、城内に村の初老の女が駆け込んできた。
「魔王様助けてください
うちの小麦畑に大きな兎とイノシシの群れが襲い掛かって
それを追い払おうとした 家のリーザが・・・」
「出番だぜ
今回は かのんお前たちで何とかしてみろ
何時かは一人でやらないと行けないんだからな」
ゾットが城の麓にある小麦畑を指さした。
かのんは力強く頷くと
城にかけてあった剣を掴み走り出した。
「わかったわ みんな小麦畑に行くわよ」
「かのん 無理するなよ オレの後ろに隠れて居れば良いぜ
オレが護るから」
セージが剣を握り反対側の腕をかのんの方を向いて拳を突きだすと
かのんもその拳に自分の拳を押し合てた。
「お互い頑張ろうね 戦友!」かのんが小さくガッツポーズをした。
バジルとローズは物置や台所から色々漁って準備している。
「バジル 行くわよ
忘れ物は無いわね?」
「うん たぶん大丈夫」
四人は小麦畑に向かって走り出した。
その様子をうかがうゾット
シルビアが四人の後を追おうとしたがゾットが制止した。
「どうして止めるの?
兎軍団結構強いのよ大の男でも歯が立たない位に、
あの子たちに何か有ったら・・・」
シルビアは不安そうに俯いている。
「俺やシルビアが今手伝えば確かにあっと言う間にかたは付くだろう。
だがな、今手を出したら ずっとシルビア無しで戦えなくなる
あいつらを信じてやるのも優しさだぜ」ゾットは静かに後ろ姿を見送っている。
暫く俯いていたシルビアは 四人の後を追いかけて行った。
少し傾きかけたお日様が魔王の城を照らしている。




