光と闇
「じゃあさ さっきの光とか闇とかの属性って、何が出るんだ?
あと かのんの風属性って気になるんだけどな」
セージがゾットに尋ねた。
「口で説明するより、見せた方が早いだろうな
かのん 魔力をまずは集中させてくれ
そうして大気中の精霊を意識して
「風精よ踊れ トルネード」って詠唱するんだ」
「わかったわ 集中させた後
「風精よ踊れ トルネード」って詠唱するのね
やってみるね」
かのんが意識を集中させると体中が淡く光りだし
伸ばした手の先に光が集まり始めた。
「風精よ踊れ」かのんが詠唱を始めると
かのんの周りに風を感じて彼女の髪が舞い上がり
風精の存在を感じれた。
「良い感じだ
風精を感じれたら 精霊に働きかける感じで更に更に集中させるんだ」
「お願い風の精霊さん 力を貸して」
かのんが呟くと 淡い緑色の光が集中させた魔力に集まり
魔力の塊ががつむじ風に変化している。
「そこでトルネードと詠唱する そこにある石をターゲットにしてな」
「はい
「トルネード!」」
かのんの手からつむじ風が放れると 小さな竜巻となって迷走しながら進みだした
いや 進んではいないようだ、セージの方に向かって行っている。
「おぃ なんか俺の方に進んで無いか?」セージが叫ぶと竜巻から逃げ出した。
しかし 無情にも竜巻はセージを追っている。
「ごめんなさい! 竜巻のコントロールってどうやるんですか?」
かのんが尋ねると
「最初に勢いよく放って進ませなきゃダメだぜ
風をコントロールできなきゃそんなもの、風任せだ」
ゾットがさらりと流した。
「ちなみに俺の居る方は風上だから
こっちに逃げてくれば安全だぜ」
一目散にゾットの方に走り出すセージ
「かのんのへたくそ~ オレを巻き込む気か?」セージが かのんに毒づくと。
ネコ口でかのんは「ごめんなさい!」とセージに謝っている。
竜巻は暫く暴走しながらも岩に命中したが、
テーブルの周りはめちゃくちゃになってしまっている。
「あの・・・ 魔法を使うのは勝手ですけど
ちゃんと周りの迷惑を考えて使って下さいね。
かのんさんも後かたづけるのを手伝ってもらいますからね」
ローズが顔をひくつかせて かのんに話しかけた。
「あたしも同意見かなぁ
かのんにも手伝ってもらわないと、
コレ片づけるのはは大変だよ」シルビアは笑顔で答えると。
「ごめんなさ~い」かのんが頭をひょこりと下げた。
「風属性は、気ままな性格がそのまんまだからな
かのんがズバリそのままなんだろうな」ゾットも大笑いしている。
「つぎに闇の方は、オレが試しにやって見せるから見てろよ」
そう言うとゾットは立ち上がり椅子の上で深呼吸をした。
「動くんじゃ無いぞ そう言っても動けないだろうけどな」
そう言うとゾットは真っ黒いオーラを体から吹き出し
小さい体の筈のゾットが巨大に見えるほどの
辺りが凍りつく程の殺気を放った。
「この技この前、ブルーとの時に見せた分だよね?」かのんが尋ねると
「そうだ、それにシルビアも使えるんだったな」
よく見れば かのんとローズは殺気を受け流しているが、
セージ バジルの二人は喉元に刃を押し付けられたような感覚で
身動き一つできず固まっている。
「な 何だよこれ、体が動かない・・・」セージの声が震えてる。
バジルは声を上げる事すらできないようだ。
「ちゃんと受け流さないと意識を失うわよ」
ローズが表情を変えずに二人に話しかけている。
「ちょ ちょっと ゾットやり過ぎじゃないの?
二人とも青ざめてるわよ」
シルビアが言うとゾットは殺気を放つのを止めた。
セージは青ざめたまま一言も喋れず、へたり込み
バジルの方もへたり込んでぐったりしている。
「わりぃ セージにバジル 少しやり過ぎたかも
温かいお茶でも飲んだら少しは落ち着くぜ」
ゾットが笑いながら答えた。
「これが闇の属性」
「ローズ、殺気を受け流すとは修行の成果着々と出ているな」
「じゃあ 私の光属性は何ができるの?」かのんが尋ねると
「オーラを集中してみろ
何でも良いから自分の好きな人とか物でも思い浮かべながらな
そうしてある程度溜まったら集中を解いてみるんだ」
きょとんとする かのん
「やってみるね」
かのんが集中すると、柔らかなオーラが、かのんの周りを包み込むと
春の陽気のようなほんわかした空気が辺りに立ち込めて、
凍りつく空気を塗り替えた。
「なんか ほかほかしてあったかい
生き返った感じがする」バジルの顔に赤みが戻っている。
「これが 光属性 希少な属性なんだ
そしてこの属性のままで居るのは更に難しいんだぜ。
今の かのんには自分では判らないかも知れないけどな」
ゾットはかのんを見て微笑んでいる。
かのんはその言葉の意味を理解できないで居る。




