最弱魔王?
かのんは部屋で着替えると 町まで駆け出した。
「かのん~~~家では走らない~」
ステラが叫んでいるが、かのんは聞いて居ないようだ。
「暗くなってくる前に戻って来るんだよ~晩御飯作って待ってるからね」
半ばあきれ顔でステラは喋っている。
「ごはん?」
ごはんのフレーズにかのんが反応したようだ。
「ハンバーガー希望~~」
かのんは答えた。
「はんば???」
ステラは何がなにやら判らないようだ、きつねにつままれたような顔をしている。
「楽しみにしてるからね~ステラおばあちゃん~」
かのんは笑顔で手をふって町まで駆けて行った、
”””
町の中は雑貨屋や八百屋などに交じって武器屋や防具屋などの見慣れない店が並んでいて、かのんはそれらに興味津々のようだ。
武器防具屋と言っても売っているものはかなり通常とは異なっている。
売っている品物は綿の詰まったぬいぐるみの剣やおよそ戦いには不向きなものばかり並んでいて武器防具屋と言うよりおもちゃ屋である。
小さな子供がぬいぐるみの剣をもって「魔王退治行くんだ~」とはしゃぎながら大通りを走ってけ抜けて行き、町のはずれのほうに向かって行って居る。
かのんも思わず後を追ってみた。
”””
子供たちの行き着いた先は北の町はずれにある石作りのお城であった。
中から不気味な声が聞こえて来て居る。
「魔王の居城に来た事を心の底より後悔させてやろう、魔王の恐ろしさとくと思いしれ!」
おそるおそる かのんが城の中を中を覗き込むと玉座に座った年老いた老人のような魔王が、ぬいぐるみの剣を持ち、スカーフをマント代わりにした小さな勇者たちと対峙している。
「魔王覚悟!」
と小さな勇者たちが叫び、ぬいぐるみの剣を魔王に振りかざした。
その剣は、ぽふっとなさけない音を立てて魔王に命中した。
「ぐぉぉぉ~~ 」
魔王は断末魔の叫びを上げ玉座から倒れ込んだ。
小さな勇者たちは満足して剣を高く上げ、
「世界の平和はこれで守られた 正義はいつも勝つのだ!」
と嬉しそうにはしゃいでいる。
暫く小さな勇者たち暫くはしゃいでいたが、満足したらしくその場所から立ち去って行った。
小さな勇者たちの声が聞こえなくなったのを確認してから魔王は起き上がり
「もう良いな?」とつぶやいた。