プチ暴走その2
かのんは町に着くまで老夫婦と今までの事を話してみた。
車にはねられて気が付いたらこの草むらに倒れていたこと、気が付いたら自分の住んでいた世界とは違う世界に迷い込んだらしいこと。
老夫婦はうなずきつつ、気の毒そうに彼女をちらちらと見ている。
どうやら強いショックで記憶が混乱している可哀そうな人と思われているようだ。
彼女の記憶が戻るまでどうするか、身の振り方を案じて夫婦で話し合ってくれている。
老夫婦のほうもいろいろ話してくれて少しは分かって来た。
旦那の名前はジル 奥方の名前はステラ。
町はずれの家に住む夫婦で二人暮らしという事だった。
年齢は結婚して50年は立つというから二人ともそれ以上の年であることは間違いない。
子供の話は出なかったが、どうやら二人の間でその話題は不文律ではあるがダブーとなっているようだ。
かのんは分かる筈も無く、二人に子供の事を聞いてみた。
「ジルおじいさん、おじいさんたちの子供って今どこに居たりするんです?
もしかして、たまにその家に戻って来たりするの?」
老夫婦とかのんの間にしばし沈黙が流れた。
干し草を満載した上にちょこんと、かのんを乗せた馬車は以前にも増してぎしぎし壊れそうな音を立てつつゆっくり町まで進んでいく。