魔王始めました
「ローズ良い判断だったぜ、ありがとうな。
お前の香水のおかげでオレもかのんも何とか助かったみたいだ。」
あの状態に香水を振りかけてくれたから
大丈夫な部分だけを緊急分離してこのサイズで何とか復活できたんだ。」
でもオレは前の力は全然残ってないからな。」
ウッドは何かに気が付いたようだ。
「その件は置いておきましょう。
あと二人があの状態から復活したのも内密に。
ローズ後で話がありますが良いですか?」
ローズの顔が少し厳しい顔になった。
「わかりました。」
何時の間にやら、リゾットの周りにかのんとセージがこっそり近寄って
ネコ口でリゾットをつまみ食いしている。
「ね~ お腹が空いてると余計に美味しいね」
「美味しいな」 「ね~ 」
背後に怪しい影が忍び寄り
ぼこ! バコ! くわぁ~ん!!
「いったぁ~~」 「いてぇ~」 「くぅ~~」
ステラが かのんとセージとゾットの頭をほうきの柄で撫で叩きした。
いや ゾットはフライパンで叩かれている。
「つまみ食いするんじゃないよ!
まったく 油断も隙もあったものじゃない
この悪ガキどもに行儀作法を教え込まないとね」
「まったくみんなお子様なんだから」
ローズは澄ました様子で、リゾットをつぎ分けている。
「オレもお子様に含まれるのか?」
ゾットは頭を押さえている。
「言わずともじゃないのぉ?
どう見てもお子様だしぃ」
シルビアが笑いながら答えた。
「違いねぇな 」
エドもうなずいている。
ステラは呆れている。
「魔王ってのは、台所を荒らすのが仕事なのかい?
それが魔王の仕事ならこの三人は魔王の素質ありありだけどね」
ゾットは笑いながら答えた。
「ステラ婆さんもああ言ってるし
かのん お前が今日から魔王な」
かのんは目を丸くしてる。
「ゾットは魔王やらないの?」
「俺はこんな状態だし、魔王は無理だ」
ゾットがさらに続けた。
「オレが大魔王になって、手伝ってやるよ
だから かのんお前が魔王ね」
かのんは満面の笑顔で
「うん、 魔王頑張ります。
だからみんな手伝ってね」
いつの間にか雨が上がって、雲の切れ間から日の光がこぼれ始めていた。




