風と羽が還る場所。
かのんの部屋の前で、ステラがドアにもたれかけて眠り込んでいる。
連日の看病で疲れ果てて眠り込んでいるようだ。
よく見れば ウッドもエドもジルも床で倒れ込んで寝ている
こちらはやけ酒で。
「ただいま~ ステラお婆さん
頼まれたもの買って参りました」
ローズがバジルと一緒に玄関から大きな袋を持って帰ってきている。
しかし 返事は無い。
「連日の徹夜が続いたから仕方ないわね、
バジル 私たちで何か作って置きましょ」
ローズがバジルに話しかけた。
「ぼくは何を?」
バジルは戸惑っている。
「じゃあ テーブルの上をかたずけておいてね。
その間に私が何か簡単なものを作るから」
テーブルの上に荷物を置くと、ローズは手際よく台所で何かを作り始めた。
バジルもテーブルの上にある酒瓶やごみをかたずけている。
いつの間にか、シルビアが人間の姿でローブを纏い
所々に包帯を巻かれてローズの傍に立っていた。
「あたしも手伝うよ」
「シルビアさん、もう大丈夫なの?」
ローズが尋ねた。
「ん~ まだ大丈夫じゃ無いと言えば大丈夫じゃ無いかな?
でも 何か手伝わせて欲しいんだ。
今はじっとしてられないから・・・」
シルビアはうつむき、床には小さな水たまりが点々と出来ている。
「泣きたいときは、思いっきり泣けば良いさ
弱さを見せれあうのが仲間同士だっただろ」
エドがシルビアの方を向いて話しかけた。
ウッドもいつの間にか目を覚ましていた。
「そうですね、思いっきり泣いて
つらい気持ちとか全部吐き出してすっきりしたらどうです?
私たちなら気が済むまで付き合いますよ」
「だれが泣いてるって? あたしが泣く訳無いでしょ? 」
シルビアは目を真っ赤にして涙を腕で拭うと笑顔を見せた。
「まったく不器用なんだから・・・
こんな時まで意地張らなくて良いんだよシルビア」
いつの間にかステラが目を覚ましていた。
「泣きたい時は私の傍で泣けば良いさ」
シルビアはステラの胸に倒れ込むと
号泣し嗚咽し始めた。
「どうして死じゃったのゾット様、まだまだいっぱい一緒にやりたい事あったのに・・・
私たちこのままじゃまた はみ出し者に戻っちゃうよ・・・」
ステラはシルビアの頭を優しく撫でながら語りかけた。
「別れと言う物は何時か訪れるものさ、
それが遅いか早いかの違いだけだよ。
いきなり逝くなんてそこがゾットらしいけどね
あいつはあいつなりの人生をまっとうしたんだよ」
ローズも肩を震わせている。
そろそろローズが作っている料理も完成したようだ、
良い香りが漂って来た。
「さ 出来たわよ 今日は生みたて卵のリゾットよ
しんみりしても始まらないから、熱いうちに食べようよ」
ローズができた料理をテーブルに置いた。
「バジル、二人の様子見て来て もしかしたら気が付いているかもだし」
かのんの部屋にバジルが入ると驚きの声を上げた。
「二人が目を覚ましてるよ!!」
「かのん もう体の方は大丈夫なのかい?」
ステラが驚きの声を上げた。
「もう大丈夫かな?」
かのんがベットから体を半分起こして答えた。
「みんな心配かけてごめんなさい、
突然だけど、みんなに聞いて欲しい事があるの。」
「彼は私を護って倒れた、
だから今度は護られた私がみんなを護るから。」
私が魔王になるわ。
私決めたんだ、ゾット様の代わりにみんなを護るから」
一同は唖然としてる。
「良いんじゃねぇの?」
セージが答えた。
「こんな馬鹿がやるって言うならオレも付き合うぜ
こんな最弱魔王なんてほっとけないからな」
「オレも賛成だぜ、
ど~せこのままじゃ俺たちも居場所無いしさ」
エドが吠えた。
「この際仕方ないですね、とりあえず
緊急措置という事で・・・」
ウッドも納得している。
はむはむ・・・ 何やら背後で聞きなれた声と音がする。
「いいね~その覚悟、魔王にぴったりだ。
魔王なんてやりたい奴がやれば良いのさ、オレでもやってたしさ
オレは かのんが魔王やるのは賛成だぜ」
「ん?」
一同が振り返ると
子供の様に小さくなったゾットが リゾットをむしゃむしゃ食べながら話している。
「お前がやれ」「あんたがやればぁ?」「あなたがやって下さい」
三人の声が同時に響いた。
「おかえりなさい ゾット」




