ブレイブソウル
いつの間にか雨が少しずつ降り始めだんだん勢いを強くしてきている。
しかし、竜は未だに起きる様子は無い。
「起きなさい!」
寝ている竜の体に、れいなは蹴りをいれると竜は目を覚ました。
「私が呼び出したご主人様よ、魔王が来たらそこの小娘を魔王の目の前で殺しなさい」
「・・・」
竜は突然れいなの方に振り向き、彼女の方に火炎を吐いた。
「くっ 」
彼女周りを紅蓮の炎に包み何かが燃え尽きたように見えた次の瞬間、
彼女の姿がゆらぎ
少し離れた場所からアンダーウエア姿の れいなが現れた。
よく見れば服や髪の一部がコゲ臭い臭いを放ち、
「はぁはぁはぁ・・・ 」
れいなは息を荒くしている。
「まさかあたしが飼い犬に手を咬まれると思わなかった、
もうこんな竜はわたしの物じゃない!!」
ペンダントを投げ捨てると
彼女は虚空にルーン文字を切ると何かを詠唱し
ふっと彼女の体が空に消えた。
竜はいまだに怒りが収まらないのか、無茶苦茶に火炎を噴きまくってる。
後ろ手に縛られたかのんは動くことも出来ずその場に倒れ込んだままである
土砂降りになった雨はかのんの傷口を無情にも痛め続けている。
彼女は「っ!」と声にならない小さな悲鳴をあげると、
竜は彼女の存在に気が付いたようで彼女の方に猛然と突進し
紅蓮の炎をかのんに浴びせかけた。
今度の人生は前より少しだけ勇気だして頑張れたかな?
かのんが心の中で呟いて静かに目を閉じた。
竜の炎で辺りが紅蓮に染まる。
次の瞬間
ぱさっ? 彼女に何かが覆いかぶさった。
「えっ?」
かのんが目を開けると
ゾットがかのんに自分のローブをかけ
竜の前にゾットが仁王立ちをして炎を食い止めている。
竜が炎を噴き終わった後には、ゾットの体が消し炭のようになっており
激しい雨が打ち付ける度に湯気が上がっている。
さらに竜が追撃をしようとした瞬間
ゾットは真っ黒いオーラを体から吹き出し竜を睨みつけた。
「おい ブルー
てめえ寝起き悪すぎるぞ、殺されたくなかったら目の前から消えろ!」
竜は恐怖に駆られたのか青ざめて空に逃げ出した。
「ゾット・・・ 体が、 体が・・・
どうして私なんかの為に?」
かのんが叫び声を上げた。
さらさらとゾットの体が崩れ始めている。
「お前の命が助かったんだ、気にするなよ
オレの体の一つくらい安いものだ」
そう言うとゾットの体がさらさらと崩れ落ちていった。
「ゾット・・・」
かのんが意識を失う中、遠くでシルビアたちの声が聞こえるのが聞こえた。




