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今日から魔王始めました  作者: くろねこ
2章 秘薬エリクシール
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ホワイトムーン

 「この珍妙な生き物は何だ?」

 

 ルークは首をひねった。

 彼はシルビアの事をしげしげと見ている。

 どうやら、彼女が意識を失ったのでライブメタル制のレオタードが形を留めれなくなったようだ。

 シルビアは裸体のまま床に横たわって居た。


 シルビアは顔は掛け値なしで整った美人の顔だ。

 しかし、ネコのようなしっぽが体から直接生えて体は紛れもなく女性の体、しかも耳にはネコ耳がついている。――そして胸にはデカメロンクラスの巨乳。

 彼が珍妙な生物というのも無理はない。


 「ルーク様、彼女は人猫ウエアキャット感染者です」


 シェリルはクールに返事を返す。

 先程の表情が嘘のように。

 

 「人猫ウエアキャット?」


 ルークは目を見開いた。 

 まるで伝説の生き物を見るような表情を浮かべて居る。


 「そうです人猫ウエアキャット。 ルーク様、見るのは初めてですか?」

 「人猫ウエアキャットと言うと、人を食うという人狼ウエアウルフの類か?」

 「大まかな分類では……」

 

 シェリルはぽつり呟く。 

 

 「人狼と何か違うのか?」

 「決定的な違いがあります、心です」

 「心?」


 ルークは深く考え込む。

 

 「人狼ウエアウルフの心は獣ですが、人猫ウエアキャットは人です」

 「そうか……」

 「しかし、危険な敵には変わりません」

 

 ルークはシェリルの説明に納得したのか踵を返す。

 そして、自分のマントを後ろに投げた。

 ――マントはシルビアの体を覆い隠す。


 「シェリル、この娘は手当てをした後処刑するまで牢にいれておけ」

 「この子はどうしましょう?」

 「お前に任せる」


 シェリルの問いにもルークは振り返らずに歩き出した。

 

 「ルーク様、かしこまりました」


 

 …奴も見込み違いか……


 白銀の月が照らす中、ルークは自分でも気がつかないうちに呟いていた。




「はぁはぁ……、やっと陸地に着いた……」


 月明かりが照らす波打ち際。

 波に揉まれるれいなは荒く息を切らせていた。

 胸元には抱き抱えられ意識を失っているかのんがいる。


 危機を転移魔法で脱出したれいな達。

 しかし、落下中では精密な詠唱が出来ずコントロールを失った。

 そして彼女達はミッドランド近海に墜落し、ギリギリで陸地まで泳ぎ着いていた。


 「かのん、目を覚ましなさい」


 れいなの呼びかけにもかのんは返事はない。

 フランス人形のようにぐったりしている。


 「その娘かのんって言うんだ。 私たち運が良いみたい」

 「だれ?」


 声にれいなは顔をあげる。

 そこに居たのは青いレオタードの少女達。

 その数2人。


 ブルーローズの小隊だ。

 彼女たちは笑顔で口を開いていた。


 「海に落ちた物は、潮の流れの関係でここら辺に流れ着く事がおおいのよねぇ」

 「二人を見つけれるなんて私たちツイてるわね」

 「きっとコレはシェリル様から特別ボーナス物よね~」


 顔を見合わせ言いたい放題の彼女たち。

 れいなは彼女達をキッとにらみつける。

 刺すような視線だ。


 「あんた達はブルーローズ?」  

 「いきがっても無駄ですよ、魔力も残ってないんでしょ?」

 「……まだ残してあるかもよ?」


 不敵に微笑むれいな。

 しかし少女たちは平然と答える。


 「魔力が残って居るなら、この場で転移魔法で逃げ出すのに逃げ出さない……つまり魔力切れでしょ? 無駄な抵抗せずに大人しくしてください」


 少女達は拘束用のロープを取り出した。

 

「あたしを甘くみないでね、魔力が残って居なくても……」


 れいなは起き上がろうとした。

 ――しかし、体が動かない。


 其れを見た少女たちの口角がゆるむ。


「波に揉まれて体力も限界のようですね」

「後少しで魔力が回復するのに!!」


 れいなは地面を叩きつける。


「今はあきらめてください、例のブツももう品切れでしょうし」


 少女達は歩を進める。



 ……焼キ付クセ…グラン…


 ――刹那

 奇妙な詠唱とともに火玉がれいなの頭上を飛び去った。


「なにっ?!」


 少女達もれいなとの間合いを離した。


 炎に照らされ暗闇に巨体がちらり浮かび上がる。

 まるで熊のような巨大な体躯。

 巨大ウサギだ。

 しかも1匹や2匹ではない匹数だ。

 突然の襲来に空気が変わる。


 「巨大兎?」

 「運が悪いときは重なるものですね、私たちに捕まるか、兎さんに殺されるかどっちにします?」

 「どちらもイヤよ!」


 青ざめるれいなに少女達は気の毒そうな表情を浮かべる。


 「オマエ達ガ消エレバ済ム」


 兎は呟くとれいなとブルーローズの前に立ちふさがった

 まるで邪魔をするように。


「何? どうして巨大兎が?」


 兎は唖然とする少女に熊のような剛腕をふりおろす。

 そしてブルーローズに戦いを挑み始める。


 兎と少女達の乱闘が始まった。

 ――戦況は、兎の方が不利そうだ……。

 少女たちは無傷の中、だんだん無傷の兎だけは減って居る。


 「助かったわ兎さん、でもあんた達は大丈夫なの?」


 兎はれいなの方をちらり振り返る。

 そして目で合図を送った、これは逃げろと言う意味だろう。


 「…人間ニ借リハ残サナイ」

 「何か解らないけど、ありがとう」

 「……金髪ノ娘、此処デ死ヌノハ困ル」

 「……あんたもかのんが気に入ってるんだね、恩に着るよ」


 深呼吸するれいな。

 ルーンを切るとかのんと二人虚空に消えていった。


 波打ち際では兎と少女たちの乱闘が続いてる。

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