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今日から魔王始めました  作者: くろねこ
1章 魔王誕生
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決着

「もう勝ち目はないから降参しろ、

降参して かのんとせーじの二人に謝れ。

そうしたら全部終わりにしてやる。」

ゾットがれいなに話しかけた。


「ちょっと ゾット様 勝手な約束しないでよ

あたしは仲間をこんなにした彼女を絶対に許さないんだから!!」


シルビアは不満そうだ。

彼女はしっぽを不機嫌そうに左右に振っていた。


気が付けばウッドもエドもこちらに戻ってきている。

熱湯風呂に落ちた手下どもはどうやら既に逃げ出しているようだ。


ゾットは続けた。

「たしかにお前は強いよ、

だがな、お前は大きな間違いを犯した。

いくらお前が強くても、最後の最後で支えてくれる物が無いんだよ

オレ達と違ってな 」


 「……」


れいなは何かぽつり呟くと、静かに剣を鞘に納め、うつむいた。


「判ってくれたようだな、二人に謝ったら

そこに倒れているお前の相棒を連れてここから失せろ 今回はこれで見逃してやる」

ゾットは倒れている ゆうじに目を向けた。


「まてよ 俺も反対だ、こいつは絶対に反省しないぜ

この女を痛い目合わせて判らせないと」

エドがれいなを見て話した。


「待って、私は平気だから、この人に酷いことをしないで」

意識を取り戻した かのんはエドに話しかけた。

「誰かが傷つけられるのを見るのは悲しいから」


「何処まで甘いんだよ」

エドはため息をついた。


「そうだな やられたらやり返すってのは人間の流儀だろ?

この女をなぶり物にして、腕の一本でも切り取れば二人の怪我は治るのか?

治らないだろ? そんな事をしても、かのんが悲しむだけだ。

おれ達までその流儀に付き合う義理は無い」


ゾットは答えた。



「ふぅ~ん 魔王まで愛や友情とかって言うの? 

それが何? ゆうじが相棒? 冗談じゃないわよ 

あんたにまで同情されるってマジで屈辱なんですけどぉ」


れいなは殺気の籠った視線でかのんを睨みつけた。

 

「でも魔王にまで、そんな事言わるとは思ってもみたかったなぁ」


れいなの体が怒りで小刻みに震えている。


「じゃあ その愛とか友情の強さ見せてよね!」

れいなの体中が青白く淡く光りだし、髪がふわりと広がった。


「れ れいなやめろ!! 俺まで巻き込む気か?」

ゆうじがうめきながら叫び声を上げた。


「自分で何とかしたらぁ? あたしはもう あんたには興味ないしぃ」


れいなはゆうじを汚いものを見るような目つきで見ている。

その表情に彼は青ざめる。


「じゃあねぇ 」


れいなを包み込んでいる淡い光がす~っと、流れるように手の先に集中して行った。

――そして、周りのオーラが収斂し、火の玉を太陽のような灼熱の光球に変化してゆく。

その状態を見たゾットの表情が真顔に変わる。


「ヤバい!

 コイツは爆炎(ノバ)系の魔法だ、みんな伏せろ!!」


ゾットがそう言う間もなく、れいなはたき火の傍にあるタルを蹴り倒し 何かを詠唱した。

タルの中の水がこぼれたき火にあたった瞬間水煙が上がり、

辺り一面が煙幕に包まれると同時に爆風が辺りを走り抜けた。


煙が抜けていき、辺りの様子がうかがえるようになると

その時にはれいなの姿は消えていた。


たき火の後にはぽっかりとした空洞が口をあけている。



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